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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

おんまさんの爪切り

このところ急に寒くなったボラン農場です。土曜日なんか、気温が2℃まで下がり、最高気温も5℃で、Jおじさんが『雪になるで。』と言ったら、本当に雪が降りました。すぐに雨に変わったけど、10月に雪なんて、初めてのことです。

さて、今朝は、馬の爪切り屋さんに来てもらいました。ボラン農場のおんまさんたちは、蹄鉄を付けていないので、長く伸びた蹄を切ってもらうだけです。

Jおじさんが自分で手入れできる前足だけではなく、後ろ足も、となると、ちゃんとした枠が必要です。そして、その中に入るだけでも、慣れていない馬にしたらものすごい恐怖です。

いつもはおとなしい(どちらかと言うとぼぉーっとしてる)ごはんくん(1歳半)は大暴れ。けがをしないか心配になるほど抵抗してくれました。ごはんくんはまだ小さくて、軽いから、どうにか取り押さえられたけど、おかずくんは・・・、

Okazou 20181029

意外とリラックスして、半分寝てます。獣医さんが怖くて、獣医さんの車が来ただけで、手をつけられないほど暴れる子だとは思えません。

多分1トンはあるだろう超大型馬に本気で暴れられたら、どうなっていたことでしょうか。(獣医さんは注射でおとなしくさせた。)来ていただいた爪切り屋さんは、輓馬専門なので、枠も特別丈夫にできているでしょうけど。

ブルトン種は、一般的におとなしく、調教しやすい馬です。中でも、おかずくんのように、自分で考えて行動できるかしこい子は貴重です。

ブルトン種を知り尽くしている爪切り屋さんだから、やっぱり、あのことが話に出ました。

今、人といっしょに仕事をするブルトン種の輓馬が、絶滅の危機にさらされています。

いえいえ、アルモリカン牛の時のように、頭数が激減しているのではありません。そうではなくて、生まれる子牛がほとんど全て肉用に買い占められているからです。おかげで、おかずくんが生まれた年は、子馬1頭600ユーロから買えたのが、ごはんくんの年は1000ユーロ、今年は、なんと1600ユーロに高騰しているとか。(比較のため : アルモリカン母牛1頭1300ユーロから。)

子馬を肉用に高く買い取ってもらえるのに、調教していっしょに仕事をしたい、という人にそれ以下で売ってくれるわけがありません。あんまり高いので、農作業用の馬が必要な人は、ブルトンはやめて大型のポニーで代替えしているそうです。

今までは、フランス国内の馬肉の消費が減り、繁殖用または調教用に売れ残った子馬だけが、安い値段で肉用に買い取られていました。言わば、輓馬や乗馬に向いていない子馬が淘汰されていたわけです。

ところが、数年前から子馬の値段がバカ高くなり、人と仕事をする資質のある馬が、生き残れなくなっています。その張本人が・・・、

日本人 !

と言われてますよ。その高い馬肉の行き先が日本だから。Jおじさんのように馬と仕事をするのが大好きな人たちから、日本人は悪者にされてます。

でも、本当の悪者は、子馬の高値のおかげで大儲けしている人たちであって、一般の日本人には関係のないことですよね。

私には、他人のビジネスをとやかく言う権利も何もありません。でも、《ボラン農場の牛たち》を読んでくださっている方々には、今、フランスのブルターニュ地方で、貴重なブルトン種の輓馬が危機に直面していることを、知っておいていただきたいのです。
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おかず二世は何色か?

このブログを始めた2006年12月に《バイバイおかず》と言う記事を書きました。初代おかずが、調教師さんのところに買われて行った時です。

性格は良かったけれど、おっとり(デレッと)し過ぎで、歩くのが遅く、仕事はお母さん任せで、後から付いて行く悪いクセがあったので、手放すことにしました。その初代おかずは、その後、馬を使って農業や林業をしている方のところに行って、三頭立ての真ん中で働いています。実際に見たわけではないけれど、それが写真集のような本になって、それを見せてもらいました。なるほど、二頭に挟まれると、いっしょに歩くしかないでしょうね。

その後、姉のポポットが急死し、お母さんのリュチックしかいなくなり、Jおじさんは、いつかオスの子馬を買って、去勢馬《フィンダスとピカール》の二頭立てにする、と言っていました。

それを聞いた近所の方が、オスの子馬を紹介してくださいました。そのうち一頭は、Jおじさん好みの粕毛!今は、家の工事もまだまだ終わっていないのに、子馬のめんどうを見る時間がないからダメ、と言いながら、とうとう一頭だけ買ってしまいました。去年の12月のことです。

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栗色系の粕毛と聞いていたのに、血統書にもそう書いてあるけど、ボラン農場に来た時は、リュチックと同じ栗毛で、ちょっとがっかり。でも、今まで全く人間と付き合いがなかった子馬にしては、物事を良く理解するかしこい子で、Jおじさんはご満悦。

血統書には、規則通りの《E》で始まる名前が付いていましたが、本人(本馬)もそんな名前で呼ばれたことがなく、もっと良い名前をと、私の提案が、

将来の《ごはんとおかず》の《ごはん》!

でも、Jおじさんの選択は

《おかず》!

で決まりました。おかず二世です。

そのおかずくん、学習意欲旺盛で、あっという間に、良い子馬なら今のうちに覚えておかないといけないことを全部マスターしてしまいました。

先月は、ジョンさんち牧場に行くのに(まだ向うに行ったきり)トレーラーに乗りました。

Okazou2.jpg

えっ、これおかずですよ。色がちがう、って?

そう、そうなんです。冬の間に、おかずは白馬になってしまいました。それに少し色が付いて来ていますが、遠くから見ると、頭だけ栗毛の白馬です。そうやって、色が変わるのが粕毛の特徴なのでしょうか。

もともと、ブルトン種の馬は、主に粕毛だったそうです。同じ種類で交配を続けると、そうなるものなのでしょうか。でも、色が混ざっていると雑種のように見られるので、栗毛一色(足の先は白)が好まれて、近年、粕毛馬は稀になりました。

その毛色の好みは、アルモリカン牛も同じです。もともと、白地に赤の斑点だったのが、赤が多い牛が好まれて、今は、おなか以外は赤一色の牛が主流になりました。

でも、牛にしろ馬にしろ、みんな同じ色じゃつまらないですよね。

夏の終り

乾草第1ラウンドと第2ラウンドは、雨が降る前に無事終了し、その後、ギリギリセーフで第3ラウンドも完了し、先週の《猛暑》(ここはちっとも暑くなかったけど)の間にすっかり乾いたロールを全部納屋に入れました。乾草作りのお道具もみんな片付けると、ボラン農場はもう秋です。

今年は、例年に比べて一ヵ月遅れの乾草だったので、いつもなら小さくて気にならないあざみ(毒じゃないし、けっこう栄養があるけど、ちくちくして食べにくい)が、巨大に成長してしまい、乾草にできなかった所もあるけれど、それでもロールが120個以上穫れて、この冬は楽々越せそうです。

今年は雨が多かったせいで、草はたっぷりあり、牛たちは、幸せな日々を送っています。本当に、あらゆる所の草が伸びたので、牛たちそしてお馬さんたちも、あちこちくまなく草退治をしてくれました。

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今、牛たちがいる《大畑》上側は、お天気が良ければ乾草にしようと思っていた所です。結局、乾草は足りてるし、8月も下旬で、湿気が多くなって来たので、草は牛たちに食べてもらうことにしました。

せっかく伸びた草が踏んづけられて、もったいないけれど、その下にはクローバーや低い草がぎっしり生えていて、かなり食べごたえがありそうです。

これから南側の牧草地を順番に回っている間に、北側の牧草地の草もまだ伸びそうで、牛たち(とお馬さんたち)の幸せな日々は、まだ当分続きます。

食欲の秋

10月も下旬になると、冬支度で大忙しのボラン農場です。
今朝はとうとう霜が降りました。

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明け方(と言っても9時頃)の気温はほとんど0℃。生まれたばかりのフリゼットが心配になりますが、本人は至って元気です。これも巻き毛のおかげ?

久々に、ボラン農場案内図です。

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大した仕事もなく、たいくつなお馬さんたち。牧草地のローテーションも牛二頭(フリゼット以外)対馬二頭では、お馬さんたちのお掃除がうんと速く終わってしまって、すぐに失業状態です。

草を求めてどこにでも行ってしまうし、前を通るたびに、『おいしいもん食べさせてぇ。』とうるさいので、昨日とうとう、道の向うに連れて行きました。(島流し?)でも、食欲おう盛なお馬さんたちのことだから、そんなに長くは持たない と思います。(次、どこに連れて行こう?)

真夜中の脱走

昨日の夜 と言うか,もう今日になった夜中の2時半ごろ,小屋の近くを 象かなにか体重がとてつもなく重い動物がドシドシ走る音で目が覚めてしまいました。

でも,ここはボラン農場ですから 象ではなくお馬さんたちです。お馬さんたちは 先週も 同じところから脱走しました。なのに その後も 牧柵にちゃんと電気を通してなかったのを 見抜かれてしまったようです。

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自由に走り回って 得意になっているように見えるお馬さんたちも やっぱりどこか してはいけないことをした という罪悪感があるみたいです。

とにかく 前回と同じように ひもで脅して(お馬さんたちには 電気が通ったワイヤが大脅威)元の場所に戻しましたが 今度こそ 電気を通さなければ と Jおじさんは 牧柵の検査を始めました。すると お隣の牛たちがいる放牧地との境界になっている柵が めちゃめちゃなのが判明しました。(よくお馬さんたちがここから出て行かなかった・・・)

めずらしく一日中青空だった先週のある日,夕方になったので洗濯物を取込もうと 図中(3)で示してあるところまで行くと そこには 数十頭の牛が!! なんでうちの牛たちがこんなところに?! と一瞬思ったのですが,良く見てみると 黄色くて目の周りが白いリムザンでした。

またもや,お隣の牛たちが侵入して来たに違いありません。ちょうどその時,Jがオスカルを連れて ジョンさんちの去勢たちを見に行っていたので 私一人。とにかくハラがたって 大声でどなり付けると みんな林の中に逃げて行きました。と言うことは 多分、林を通ってうちに来たのだから 勝手に自分たちの家に帰るだろう とそのままにして Jおじさんの帰りを待ちました。

その後,Jがオスカルを連れて林を見に行ったのですが,意外なことに 牛たちはうちの林をタムロしていたそうです。そこで、Jおじさんはオスカルをけしかけて お隣まで牛の群れを押して行ったのですが いったいどこから入って来たのか わからないままでした。

そのなぞが 今日やっと解けたわけです。杭の曲がり方を見ると 隣からうちに向ってワイヤを引きずった としか考えられません。隣の牛たちも しばしばうちに入って来て 困りものだけど、うちもうちで 電気牧柵にちゃんと電気を通しておかないと 役に立ちません。

結局,めちゃめちゃになった柵を修理するのに1時間,修理した柵に隣の牧区から電気を持って来るための電線が切れていて それを修理するのにまた1時間近くかかり 全部OKになったのは朝の5時でした。

一年中放牧の牧畜って 大してすることがないんだから 牧柵だけはちゃんとしておかなくては といつも思います。だって,動物たちには どうやって柵を越えようか考える時間が 一日に24時間あるから。