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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

私たちはあきらめない

2月の寒かった時に家に入れたスイセンも咲きそろい、すっかり春めいたボラン農場です。

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冬中さえずっていた鳥の声もますます盛大になり、日なたにいるとまぎれもなく《春》を感じます。

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こんなぽかぽかお天気の今日、Jおじさんは、この間注文した断熱材のグラスウールを取りに行きました。

と言うと、どうってことないように聞こえますが、この断熱材を手に入れるのに半月以上かかりました。

断熱材と言っても、今は、環境にやさしい天然素材の物がたくさん出ています。人口170人のT村にも、なんと麻の断念材を製造販売している会社があるのです。(T村やったら、大麻ちゃうの? とよく言われる。)でも、その断熱材になる麻は Bio(無農薬有機農産物)で、私たちが買えるような値段ではありません。

他にも、木をベースにしたものとか良いものがあるのですが、断熱効果を考えると、従来から一般に使われているグラスウールに比べて、どれも4倍位高く付きます。

断熱材にお金をかけてしまうと、後が続かなくなるので、私たちは、グラスウールでガマンすることにしました。今は、グラスウールにホルムアルデヒドを使わない方向になって来ていると聞き、それなら大丈夫だから、絶対にホルムアルデヒドなしを買おう と決めました。

でも、そこから半月かかってしまいました。

いつも行っている隣町のお店。《ホルムアルデヒドなし》はないけれど、《低減》ならある とそのお店の駐車場に高々と積まれた黄色のグラスウールを勧められました。なぜ、《なし》ではなくて《低減》なのか という説明付きで。

Jおじさんは、他のメーカーが作っている《なし》のが欲しかったのですが、そのお店では扱っていませんでした。よそのお店から取り寄せればある と言うことで、値段を調べてもらいましたが、黄色い《低減》に比べて割高でした。ここのお店は、ガラスメーカーのサン・○バン系列なので、どうしてもその《低減》を売りたいようです。

ホルムアルデヒドなしの真っ白なグラスウールなら、私がよく行くDIYのお店のカタログに載っているので、そこで買えます。でも、なんで《なし》は《低減》に比べてこんなに高いのか、なんで、わざわざ白い色にするのか、など疑問が出て来ました。

それで、もう一度インターネットで調べてみると、別のメーカーが見つかりました。そのメーカーは、従来の黄色いグラスウールから全面的にホルムアルデヒドなしの製品に移行し、同じ値段で販売している ということでした。

こんな良心的な会社の製品を買わない理由はない と、Jおじさんは、またいつものお店に聞きに行きました。でも、そのメーカーのグラスウールは全く扱っていない という返事でした。

ここで、普通の人なら、『はい、そうですか。じゃあ、そこに山積みになってる《低減》にします。』と言うでしょう。でも、Jおじさんは、そのまま帰って来ました。

建材を売っているお店なら他にもいっぱいあるので、ちょっと遠くなるけど、カレの町まで行ってみよう というのが、次の手でした。

そこでは:
J『これ黄色いけれど、ホルムアルデヒド低減ですか?』
店員さん『ホルム??? なんやそれ。グラスウールは黄色に決まってるやろ。』
J『○○○社のホルムアルデヒドなしのはないんですか。』
店員さん『○○○社はやってない。グラスウールやったら、昔からみんなこれ(黄色)やで。』
と取り付く島もなし。(その上、《低減》らしき製品の値段を聞いたら、バカ高かった。)

これっ! というのがあるのに、どこにも売っていない というのは、煉瓦ブロックでも経験したことです。何でも主流のメーカーがあって、それ以外はなかなか手に入らないので、ほとんどの人はあきらめて《ふつう》のにしてしまいます。

でも、そこであきらめてしまわないのが私たちです。

先週の土曜日、うちから30キロ弱の町に、けっこう有名なチェーンのお店があって、エコ断熱材も扱っているそうなので、Jおじさんとふたり(+オスカル)で見に行きました。

看板を目指してお店の前まで行くと、Jおじさんが、『あっ、ここか。あかんわ。この前、ここ通った時、つぶれたとったで。』と。

確かに、建物もみすぼらしくて、看板がなければ、ここにお店があるなんてだれも想像できません。よく見ると営業中のようだったけれど、『こんなしけたお店に気の利いた物があるわけない。』とJおじさんは、帰りかけました。でも、せっかくここまで来たんやから と私が無理やり引き止めたら・・・

まるで奇跡のようにそのお店にあった○○○社の《ホルムアルデヒドなしグラスウール》。

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素材のままの自然な茶色です。

こだわるとすぐに壁にぶつかるけれど、あきらめなくて良かった といつも思います。
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この冬のJおじさんの作品

あの大寒波ももうとっくに終り、再び小鳥のさえずる声が聞こえるボラン農場です。ここは、最悪の時も、気温が-6℃までしか下がらず、水道がその時凍っただけですみました。子牛のげんき(2ヵ月半)が下痢をしたので、気温が氷点下の間はお母さんと牛舎にお泊まりだったけれど、もう何日も前からみんなと外で寝ています。

さて、しばらく話題にしなかった家の工事ですが、(お金がなくて)進んでいないわけではありません。だからと言って、住めるようになるのはまだまだ先のことです。

前回11月以来、進化したのは、家の裏口のテラスになる所を埋め立て、納屋に板を張った時開けておいた穴(すなわち窓穴)に透明なプラスチック製の板を入れたことです。そして、

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ちょっと小さくて見えにくいですが、牛舎の中庭側に引き戸が付きました。(写真、一番奥。)これで、風が入らなくなったので、みんなで牛舎の中にいると、けっこうポカポカします。見た目もちょっと日本家屋風で、私のお気に入りです。

そして、先週めでたく完成したのがこれ。

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Jおじさんこだわりの天井の骨組みです。これに板を張ると、かまぼこ型の天井になります。

Jおじさんがひとりで考案した骨組みは、この二つの部分から成っています。

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これを組み合わせるとカーブができて、それをもともとあった屋根の骨組みや梁に取り付けます。

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これひとつでカーブの片方だから、全部で50組近くを材木から切って取り付ける というずいぶん時間のかかる仕事でした。

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それでも、Jおじさんは、牛たちやお馬さんたちの餌やりや牛舎の掃除の合間に、こつこつ夜遅くまで作業を続けました。教会のような天井を実現するために。

でもその間、できる限り牛たちやお馬さんたちの世話をしていた私の忙しさ と言ったら、もう大変なものでした。とにかく落ち着いて座っていられる時間がなくて、翻訳の仕事はいったいいつできるのーっ!! みたいにキリキリしていました。(通訳の仕事で出張の場合は、全て放り出して行くので、私としてはまだ楽だった。)

次は、カーブの骨組みの間に断熱材を入れ、天井板を張ります。でもその前に、キコリ作業が待っています。去年の冬もあまり時間が取れなかったし、とうとう暖房用の薪が底をついたので、どうにかしてもらわないといけません。それに、ボラン農場外側の私道(お城の領地)にうちの木の枝が突っ張り出して、(道と同じ幅の大型)トラクターが通れない とクレームが出たので、それも急ぎです。

キコリ作業よりも、天井を続けたくてうずうずしているJおじさんですが、そちらが早くすむように私も手伝うことになると思います。そういう私たちのリズムとか、こだわりとか、きっとふつうの人から見ると異常なんでしょうね。

家のアクセサリーが増えました

もう、何週間という単位ではなく、何ヵ月も続いた家の下水工事。昨日は、雨どいからの排水管設置がめでたく完了しました。

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こうして見ると、金物の(ブラスチック製ではなくて)雨どいは、けっこうステキなアクセサリーです。

今は、雨水を一カ所に集めるためのプラスチック製の管や、集水箱がミエミエですが、家の土台のコンクリートが見えている部分は、テラスで隠れる予定です。

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こちらから見ると、管は上部を湾曲させて壁に固定し、下部は箱に入るちょっと前でまた湾曲しています。この溶接(ろう付けではなくて溶接だそうです)が大変そうですが、Jおじさんは、ハナウタなど歌いながら機嫌良くやっていました。

それよりも、Jおじさんがめちゃめちゃ怒りながらやったのが、下水管設置の方です。こちらは、(未来の)浄化槽に行く方です。

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こちらは、今まであまりお見せしなかった裏口側ですが、下水管はこちらを通っています。そこに、別のところに行く雨水の管も通っていて、それらを上手く交差させて、しかも、必要な傾斜を付けて ですから、その設計だけで、何週間もかかりました。

そして、プラスチック製の管は、はめ合いになった部品を接着剤でつないで行くのですが、その接着剤が早く乾き過ぎて、端まで入って行かないNG続出で、さんざんでした。部品は、きっかり必要な分だけ、お店を何軒も廻ってやっと揃えたのに、接着NGでダメにした分を買い足しに走ったり、生産性最低でした。

まあ、悪夢のプラスチック管設置も、雨どいの前に終り、あとはここを埋めて、テラスにするだけです。何でも、ひとつひとつに時間がかかり、絶望するほど遅いですが、それでも、家の工事は確実に進んでいます。

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おまけ:私が写真を撮っていると、いつもポーズしに来る名犬オスカル。

そして、忘れないうちに。
こちらは、日曜日から夏時間になりました。(日本に比べて8時間遅れ。)と同時に、牛たちも、もうひとつ北の放牧地に移動しました。

約束の日

お肉のお客様が来始める14日の金曜日の朝、注文していた(はずだった)薪ストーブを配達し、設置する という約束どおりになるか、ちょっと気がかりでした。

でも、一週間前に、お店の係の人から電話で、家の煙突はどんなになっているか問い合わせがあり、Jおじさんがメールで写真を送ったり、いくらかやりとりがあったので、『ああっ、もしかしたら。』と希望がわいて来ました。

そして、約束の日、約束通り、あの薪ストーブが来たのです。

お店のストーブ設置係の方(二人)は、礼儀正しくて、仕事もていねいで、あの当て外れのトラブルも許してあげよう という気になりました。

ストーブは、本体の周りに石の板を組み立てるようになっています。その石が傷付きやすいので、床に置く時は、ちゃんとカーペットを敷いて(最後は、ちゃんとお掃除まで)。

そして、職人さんたちを監視(?)していたJおじさんに、それぞれ、どの板をどこに入れようか相談してくれました。と言うのも、自然の石(岩)だから、それぞれ色も違うし、模様もまちまちだからです。

そして、でき上がったのがこれです。

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3メートル50の天井(まだできてないけど)だから、2メートル12(重さ547キロ)の背の高~いストーブ。まるで、この家のために作ってもらった特注品のように、ぴったり合います。ちょっと贅沢だけど、これでまた家の格が上がったような・・・。

金曜日は、充填材のシリコンが固まるまでそっとして置いて、昨日、土曜日の朝、いよいよ火入れ式を行いました。

説明書通りめらめらと火が舞い、無事に点火できました。

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そして、ブルーの煙突と空になびく煙・・・(ほとんど見えないけど。)

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昨日は、こんな青空のお天気だったし、ストーブも入り、お客様に寒い思いをさせずにすみました。

そして、夜になって、Jおじさんはストーブの前に座り、『ああ、これにして良かった。』と大満足で、いつまでたっても小屋に戻って来ませんでした。

でも、でも、薪の燃え方がイマイチで、オーブンの温度があまり上がらない と今朝、燃焼用の空気の取り入れ口をちょっと変更しました。すると、炎がぐんと大きくなり、前に立っていられないほどの暑さで、Jおじさんは、ますます大満足です。

嗚呼、薪ストーブ・・・

お天気が良くなって、朝はめっきり寒くなりました。そろそろ、ストーブが再登場する季節で、新しい家の薪ストーブも、9月中に設置 という段取りでした。

薪ストーブと言うと、メーカーの数が信じられない位あって、各社が燃焼技術を競い、それに凝ったデザインを施し、星の数ほどの種類があります。

私は、昔ながらのクッキングストーブが欲しかったけれど、Jおじさんは、炎が見えるストープの前にロッキングチェア とかいうのが夢だそうで、リビングに置いても見苦しくない というのが条件となりました。このごろは、ふつうの(リビングに置ける)ストーブにオーブンが付いたのがあるので、Jおじさんも、いつでもパンやお菓子が焼ける利点に同意して、そのタイプに絞りました。

そのタイプだけに限定しても、まだかなり数があります。でも、よく調べてみると、中には、オーブンで何が焼く2日前に、薪をくべて熱しておかないといけないもの(一番高いメーカーので、どうせ私たちには手が届かない)、オーブンと言っても低温だから、焼きリンゴ位しかできない と販売店がはっきり言っているもの(一番安い、今小屋で使っているのと同じメーカー)など、いろいろです。

そして、私たちの予算内で、大きなオーブンの温度が180℃以上上がる という条件に合ったストーブが見つかり、そのメーカーも、その販売店も、ご近所で使っていて、信頼できることを確認しました。

でも、でも、機能は満足しても、これが玄関のドアを開けたらすぐに見えて、リビングの中心になる にしてはちょっと貧弱、という意見が出て来ました。

そこで私が、前から気になっていた、スカンジナビアのストーブを売っているお店に行ったのです。

そのデンマーク製のストーブは、以前問い合わせた時、夜寝る前に薪をくべないで、火を自然に消して、朝になったらまた火を点ける使い方を推奨 というのでボツになったものでした。何しろ、ストーブは、夜寝る前、薪を入るだけ詰め込んで、朝は、残った火をおこすだけ という使い方をするものだと思っているので、上記のストーブのように薪がたくさん入るのが良いのです。

でも、でも、それは、大気汚染のためには良くない。そのデンマーク製のストーブだと、薪を燃やすだけではなくて、その時に発生するガスも燃やすので、薪の消費は少なく、大気汚染も最低限 という話を聞いて、フムフム、21世紀にもなって、昔ながらストーブではつまらないかも という気になって来ました。

それに、それに、お店に展示してあった超シンプルな(オーブン付き)モデルは、ちょっと高いけど、きっとJおじさん好み。それで、次にJおじさんに見に行かせて、その後も何回かお店に足を運んで、注文したのが6月のことでした。

そこのお店は、ストーブ専門店ではなくて、県庁所在地であるサンブリユーの大きな通りにある、食器だとか台所用品を売っている大きなお店です。今時、店員さんがゴロゴロいて、お客さんはみんなかまってもらえて、在庫も、二階が倉庫になっているので、たっぷり という、奇跡のようなお店です。

そんな老舗だから と安心しきっていた私たち。

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煙突に続いて、ストーブを置く台も完成したので、いつ配達してくれるか電話してみたら・・・、なにっ、まだ注文してない!! なんと、うちは新築だから、工事は通常遅れるものだから、私たちから《準備OK》のサインが出るのを待っていた と・・・。

ほんと、ウソばっかり! 6月に注文した時、数十パーセントを前払いしたその時、『じゃあ、すぐに工場に注文します。』って言ったでしょ。納期は2ヵ月だけど、うちは9月に欲しい って言ったら、『うちの倉庫に保管しておきますから。』って言ったでしょ!

ああ、ここはフランスだった。

でも、10月にはお肉のお客さんが来るのに、おい、どうしてくれる と脅して、やっと10月14日に配達・設置の予約が取れました。お客様(お友達)が来るのが15日。今度はウソではないことを祈るばかりです。

でもこれ、デンマーク製だったから早めに来るメドが立ったけど、もしこれが、最初に決めていた(フランスよりもひどい)イタリアのメーカーだったらどうなっていたでしょうか。