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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

晴天続くもJおじさん故障休場

Parc M2 201902

あのぉ〜、今まだ2月なんですけど・・・、って言いたくなるようなぽかぽか陽気が続くボラン農場です。

ほんと、北風ピューピューの冬の晴天、ではなくて、まるで春。鳥は朝からうるさいほど鳴くし、ひなぎくも咲くし、ハエも出てきたし・・・。日中は気温が20℃近くまで上がるのは、やっぱり異常でしょう。

やっとお天気が良くなったので、Jおじさんはいよいよ木こり作業。牧草地にはじゃまになる木の枝がたくさんあるので、それを切って再来年用の薪にします。

Jおじさん、はしごを使って高いところに登るので、危ないな、と心配してたら、地上で細い枝を短く切っている時に、チェーンソーが跳んで左手を切ってしまいました。

土曜日で、かかりつけの先生はお休みだし、どっちみち開業医さんはケガの処置はしてくれないし、近所の看護師さんに来てもらっても傷が深くて対応できないだろうし、救急病院に行くことに。

一瞬、どこに行こうか迷ったけれど、とにかく一番近いところを目指して走りました。

近いと言っても、距離は短いけれど、細い田舎道ばかりで、45分かかります。次に近いところも45分くらいで行けるけど、そこもあまり評判が良くないのであえて行かず、この辺りでは最悪と言われている隣の県の病院を選んだわけです。

その病院に駆けつける車の中で、Jおじさんも言ってたけど、緊急時の病院の遠さをしみじみと感じました。大きな町に住んでると、すぐ近くに公立の病院があって、こんなに時間がかからないのに・・・。

緊急時は、こちらでは公立病院の救急科しかありません。開業医さんに連絡しても、救急病院に行け、と言われるだけです。だから、救急科のある病院は急患であふれ、待ち時間が非常に長い、と問題になっています。

私立の病院もあるけれど、急患の対応はしてくれません。実際にあった話 : 県で一番立派な私立病院に入院している知り合いのお見舞いに行って、帰りに病院を出たところ(病院の玄関前)で転んで、顔を強く打った。顔なので派手に出血してます。それを見た病院の受付の人が、『どこか薬局へ行って、手当てしてもらった方がいいですよ。』

その病院では何もしてくれないんです。

さて、話をJおじさんに戻して、さすが評判の悪い病院です。救急科はガラガラで、すぐに診てもらえたけれど、さんざん待たされたあげく、当直の外科医と連絡が取れず、土曜日は一旦家に帰されました。

牛舎で食事中の牛たちをつないだまま家を出たので、私は早く帰りたくて気が気ではなかったけど、みんな何事もなかったようにごはんを食べ終えているところで、ホッと一安心。

で、もう牛たちを放牧地に帰す時間なんだけど・・・・、Jおじさんは左手が使えません。ということは(車の運転はできても)、牛の首のチェーンを外すことができない?!

ということで、牛の世話は全て私の仕事になりました。草架に乾草を入れて、牛たちを呼んで来て(これは今までもやってた)、つないで、食べ終わったら外に出して、掃除をして・・・と全部です。それに、おんまさんたちのごはんもあるし。

いえ、私にできればそれに越したことはないのですが、ジョンさん牧場にいる去勢くんたちの世話は、私にはできません。

以前から、いつ何時何が起こるかわからないから、Jおじさんにしかできないことがあっては困る、と感じていました。それが今回、現実となり、これではいけないのをJおじさんも理解してくれた、と思います。これからは、私一人でもやって行けるボラン農場にして行かないと、と大きな課題ができました。

さて、翌日の日曜日、外科医さんが見つかって、手術を受けたJおじさん。心配された傷の化膿もなく、2ヶ月もすれば完治しそうです。リハビリもすぐに始め、少しずつ指が動かせるようになって来ています。

せっかくいいお天気なのに、木こり作業も何もできない、とぼやくけど、それは自業自得でしょう。チェーンソーは、必ず両手で持つもの。軽くて片手で持てる機種は、事故が起きやすくて危ない、って自分で言ってたのに。

このぽかぽか陽気ももう数日で終わり。また、雨ばっかりになりそうだけど、その間に、新しいボラン農場の構想でも練ることにします。
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暑さ続く(でも、今日で終わりだとか)

雨が少し降った後も、まだまだ半そでの夏が続くボラン農場です。
昨日も暑かったけれど、今日はまたいっそう暑くなる予報。

大収穫の乾草ロール片付け中のJおじさんいわく、
夏はこれくらい暑くてふつう。
例年の雨ばかりの夏が異常だとか。

まあ、極端な気候の土地ですから、この後また雨が降り続くことを想定して、納屋に入りきれなかった乾草は早めに片付けてしまいます。

水分不足で牧草も枯れ始めたけれど、まだ心配するほどのこともなし。
いざとなったら乾草はたっぷりありますから。

だいたい、乾草がたくさん採れる年は、良いことなしだそうです。
果物や木の実は全部ダメ。そう言えば、穀物も収穫量は少なかったとか。


ママたちがいる囲いから脱走してばかりの四人組。

4V + Oscar

この後、あんまり近づきすぎて、オスカルに怒られ、一目散に逃げて行きました。

おんまさんたちは、子牛が侵入して来ても知らん顔。
暑さのせいか、母牛たちも子牛のことなどどうでも良いみたいです。

気候が変わってしまったら

ここで雨が降らなかったら草は枯れてしまう、というギリギリのところで降りました。

大した雨ではなかったけれど、地面が少し緑がかったような。(気のせいかも。)でも、これから1週間は晴れの予報。まだまだ油断できません。

何度も言いますが、ボラン農場は花崗岩でできた丘の上にあって、土は申し訳程度しかありません。あちらこちら岩肌が出ていて、杭を打つのも難しいほど。すなわち、定期的に雨が降ってくれないと、草は枯れてしまいます。

草と言っても、牧草にするために蒔いた草ではなく、勝手に生える野草、と言うか雑草ばかり。そういう丈夫なものしか生きられない環境です。

こんなボラン農場に26年もいると、極端な気候も各種経験しました。

まず、大雪。2週間ほど閉じ込められました。台風並みの嵐も毎年秋に来ました。最高風速が時速180キロを越すこともありました。(秒速にする計算方法がわかりません。)谷間の木がどんどん倒れます。1970年代にはもっと強力な嵐があったとか。夏の干ばつで牧草が全て枯れてしまったことも、数回ありました。気温が39,8°Cまで上がったことも。(牛たちといっしょに木陰で寝てた。)

その都度、牛がこれだけしかいなくて良かった、と思いました。頭数はその時代によって3頭だったり、20頭だったり、まちまちだけど、それ以上いたら全員のめんどうを見きれなかったでしょう。

これからは、ますます極端な自然現象が起こるとか。それなら、牛は少数精鋭でやるしかない、と思うんです。

今、T村の南地区(ボラン農場のすぐ南)では、農地争奪戦の真っ最中。ちょうど、どの農家も世代交代に時期。子には良い条件で継承させてあげたい、という親子心からでしょう。土地さえたくさん持っていれば安泰ですから。

ヨーロッパ共通農業政策の助成金制度が現在の形になってから、土地の取り合いが激しくなりました。簡単に言うと、それぞれの土地にそれまでの履歴で価値が付いていて、毎年申請をすると、牧草でも生やしておけば、その金額がもらえる仕組みです。だから、別にこれ以上土地が必要なわけじゃないけど、借りれるものなら借りておこう、と言う人も現れました。土地の借り賃より、そこの助成金の方がはるかに高いので。

でもね、そんなに土地を広げて、動物の頭数を増やしても、その世話をする人数を増やさないで、どうするの。これから、今までに経験したことのない厳しい気候が待ってるかも知れないのに。

若い後継者の話は、また次の機会にでも。

Miyoko Ollie

みよこちゃん、あんたは生き残れるわ。(電気牧柵の下から食べる子。)おりいちゃん、ママ大丈夫だから、心配しないでね。

アニマルウェルフェアって言うけれど

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アニマルウェルフェア(日本語は?)って言葉をよく聞きます。
一般市民や団体が、畜産業界でごく普通にやっている動物虐待はもう止めよう、と言う提案をしても、業界側が反対して、なかなか法律に反映しません。(グリフォサートの禁止しかり。)

だんぼくんの1カ月前に、リュリュくんが出発した時のことです。
パリにある会社に買い取ってもらったもので、いつもとは違う屠畜場のお世話になりました。

以前、いなりくんを買ってもらった会社であり、屠畜場も場所は違うけれど前と同じ会社で、あの時と同じように大切に扱ってもらえるだろう、と信頼しきっていました。

だいたい、出発の数日前に屠畜場からお迎え時間連絡の電話があった時、『運転手に銀行口座証明書を渡してくださいね。』と言われて、はぁー? 担当の人は、リュリュくんは屠畜場(を経営している会社)に買ってもらうのではないことを知りませんでした。で、いや〜な予感が。

当日、お迎えのトラックを見ただけで、後悔しました。

トラックはオンボロで、汚れたまま。車体を下げる装置は壊れていて(いつから?)、リュリュくんは、私の背とほとんど同じ位の高さまでよじ登らないといけませんでした。中にすでに小さなホルスタイン牝牛がいて、きっと乗せるのに苦労したんだと思います。トラックは、予定の時間を40分ほど遅れて来ましたから。

運転手さんは、牛を前進させるために電流で脅す装置(日本語で何て呼ぶんでしょうか)、バットのような棒、ロープの三種の神器を出してきました。

リュリュくんは、他のメンバーのように、うちのトレーラーに乗るのは慣れています。牛によっては(例えばマルキーズ)いったん足を踏ん張って乗るのを拒否し、これから行くところを充分観察してからでないと乗らないのもいますが、時間さえ与えれば、決心して乗ってくれるものです。

でも、トラックはとてつもなく高く、どんなに慣れた子でも、ずんずん乗り込むわけがありません。

私たちがリュリュくんのおしりを強く叩いたりしないので、イライラし始めた運転手さんは、
『まだ、あと、雄牛二頭乗せなあかんのやから、早よしてよ。』

あの、あんたが遅れて来たんですけど、とは言いませんでしたが。。。

運転手さんに叱られて(叩かれて)、いやいや汚いトラックに乗り込んだリュリュくん。

あの小さなホルスといっしょに、一番前の仕切りに閉じ込められたので、あとから乗ってくる雄牛たちにいじめられる心配はないけれど、でも、でも、これから何時間走るのやら。で、最終目的地に着いても、時間的に生産ラインは止まっているだろうから、明日の朝まで待たされる?

私たちとしたら、それはイヤなので、いつもは、待ち時間のないタイミングで、自分たちで屠畜場まで連れて行くようにしています。

リュリュくんの扱われ方は、私たちにしたら大NGです。さっそく、会社にクレームしました。(あと2頭ではなくて、3頭だった。)

なにも、うちの牛たちだけ特別扱いしてもらいたい、というものではありません。これから死んでいくものに、あんな扱いはない、と思うんです

業界にすれば、牛も豚も家禽も、みんな大量生産の原料。動物も感性のある生き物、という認識を持ってもらうまで、まだまだ時間がかかりそうです。

でも、もっと認識を変えないといけないのは、生産者だと思います。

特に肉牛の場合、どこも完全放牧です。畜主のすることは、柵の管理と飲み水を持っていくことぐらい。牝牛の種付けは雄牛がしてくれるし、お産もたいてい助産なし。(子牛には耳標を付けてやらないと。)牛が人間と関わり合う機会はほとんどありません。たまにあったとしても、怖いことや、痛いことばかり。

いえ、完全放牧がいけない、と言っているわけではなくて、牛が好きでもなく、本当は興味のない人に飼って欲しくないんです。

人間を知らずに大きくなった牛が出発する時、無理やりトラックに乗せられたら、恐ろしくて、恐ろしくて、暴れるでしょう。牛があんまり暴れるので、屠畜場の係の人も、武装して立ち向かうしかありません。

牛は野生の動物のように、自然の中で一生を終えるわけではありません。どうしても人間と関わらないといけないのだから、たとえ最後は裏切ることになっても、人間好きな牛に育てたいんです。それも、アニマルウェルフェアでは?

牛もそれぞれ性格が違って、中にはいくらやさしく接しても、信頼してもらえず、逃げてばかりの子もいます。でも、顔見知りになるだけでも、恐ろしさは軽減されるはずです。

ほんとに人間好きの子は、たとえ脱走しても、ちゃんと戻って来てくれますから。

人工授精の危機?

農業でも、一般の企業でも、大きくならないと生き残れない、と言うのが常識になっています。

ボラン農場当初から来てもらっている人工授精コープも、数年前に大きなグループに統合され、去年はそれがまたもっと大きなグループの一員となり、料金設定に変更がありました。全国で統一しよう、という名目だけど、そういうのは、必ず値上げになります。

2016年は、授精師さんに一回来てもらうと39ユーロ。付かなかった場合は、3回まで無料、それ以降は半額でした。

2017年は、上記とほぼ同等のサービスが55ユーロ。ただし、2回目以降は出張費が有償で、8ユーロちょっと。

そんな一回では付かないことを想定した(ホルス向けの)高いサービスなんかいらない、と私たちは、第1回目34ユーロ、以降はお種ストロー1本10ユーロ+出張費8ユーロを支払う、という契約をしました。いえ、したつもりでした。

契約が2017年の2月。9月になってようやくその新しい会社から7カ月分の請求書が。

各牛1回目が55ユーロ。のべ10頭分だからほぼその10倍。

契約とは違うので支払い拒否です。いろいろもめたけれど、訂正してもらえて、やっと2017年1年分支払ったのは先週のこと。

アルモリカンは発情の発見が難しく、人工授精ではタネが付かないことがよくあるので、以前から雌牛数頭でも雄牛を飼う人がいました。それが、上記のように人工授精が法外に高くなると、そうだ、雄牛にお任せしよう!、って誰でも思うでしょう。私たちもそう思ったもん。(思っただけ。)

せっかく若い雄牛を人工授精センターに入れたのに、その冷凍精液はほとんど使われなくて、ほとんどの生産者が自前の雄牛で繁殖したら、アルモリカンの将来はどうなんでしょう。

実際、多いんです。雄牛を探してるとか、うちの雄牛と交換しないかとか。本当に良い牛だからそうするのなら、悪いとは言わないけど。。。

確かに、大規模にならないと生きて行けない時代だから、アルモリカンも肉牛らしく、繁殖は雄牛にお任せ、か。

今日は、私の大好きなルーシーの人工授精がありました。げんきの娘で、ママにそっくりなちょっとこわい顔をしてるけれど、性格はママよりもっとかわいい。

Lucy Hiver 18

授精師さんに何度も来てもらうと高くつくから、一回でOKになりますように、というのはうそです。

また、ジュリーのエコー検査もついでにしてもらいました。2回目の人工授精はOK!

冬の間、牛舎の席が足らなくて賢い牛になる(繋がれる)教育を受けられなかった一年生3頭のお稽古もできたし、今日はほんとに良い日だった。

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