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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

さり気なく コマーシャル ?

昨日も 午後には雷が鳴り、暑くなったり、涼しくなったり 不安定なお天気でした。今日は 一日良いお天気だったのですが、西から低気圧がやって来ているそうです。じゃあ、晴れの日も今日が最後だから 南側の牧草地で 倒れたままになっていた木を どうにかしなくてはと Jといっしょに見に行きました。

牛たちが これからどんどん下りて行くことになっている南の区画は 所によっては もう私のひざの高さまで 草が伸びています。今年は 冬の間 雨がたっぷり降り、気温もずっと高めのせいでしょうか 去年に比べると 草の伸びがうんと良いようです。木の葉の成長も速く、最後に残ったオークの種類以外は どの木も たわわに緑の葉を付けています。今年は 害虫も比較的少なく 久しぶりに春らしい風景になりました。

でも、牧草地を歩いていると、鳥の歌声(少々うるさい)に混じって 何が聞こえたと思います?  今、ここでも聞こえているのですが、こおろぎの鳴き声です。日本では 秋の虫ですが、こちらでは 夏の暑い時に鳴くものです。フランス映画を見て お気付きになった方がいらっしゃると思います。今は夏でとっても暑い という場面では このこおろぎの声を流します。で、そのこおろぎが集団で 鳴いているのです。これって 大丈夫なのかしら。まだ、5月にもなっていないのに。たしかに 今日は 気温が25℃まで上がりました。でも、せっかく 春らしい春で喜んでいたのに、『いや、もう夏よ』って言われたみたいで ガックリです。

Jが 倒れた木を切って 薪置き場まで運ぶのを 手伝うつもりだったのですが、いらない と言われたので お絵かきを始めました。次の《ドナドナ》が決まり、これから お客様にお肉の販売日をお知らせします。今回は “子牛組からのお知らせ” にしようかな とちょこっと 描いてみました。

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左から順番に コラ、カシュー、かな、ベラ、ボラン、シュパ です。

これで JのOKが出たら、カードにしてお客様に送ります。それを見てもらって、ご希望の方にご予約いただく というシステムです。お知らせの入ったカードをご希望の方は どうぞご連絡ください。ただし、生ものですので 原則として 商品はお客様に取りに来ていただくことになっております。

先日 ボラン農場の案内図に 《お馬の親子は相変わらずここ》と書きましたが、それに対して Jからクレームが出ました。私が知らないうちに お馬さんたちは 牛たちがいた北の区画に移動していたのです。これからは 牛の食べ残しを馬が食べる(また 馬の食べ残しを牛が食べる)システムの再開です。これだと 効率も良く、それぞれの寄生虫対策になります。これは ボラン農場の大事なシステムなので 強調せよ とのことです。
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雨のち熱帯

昨日は 午前中も午後も雷が鳴り リンリンにとっては悪夢のような日でした。雨は一日中降ったわけではありませんが、北よりの風が吹き 寒々とした一日でした。ところが 今日は朝から《ぬくい》と言う表現がぴったりの暖かさで、午後になると 湿気たっぶりの 熱帯のようなお天気になりました。おかげで 草がどんどん伸びそうです。

一昨日の夜私が仕事から戻り ほっとしたのもつかの間、昨日はまた 朝から 眠気がいっぺんに吹っ飛ぶようなことがありました。8時半に電話が鳴り、『これから子牛をつれて行く』という 人工授精センターのトラック運転手さんだったのです。そんな予定をしていなかった私たちは 大あわてです。朝からせかされるのが大嫌いなJは たいそうご機嫌斜めで 今からボランを牛舎に入れようとしても間に合わない と もうセンターを出発していた運転手さんを Uターンさせてしまいました。

もう わけがわからず、人工授精センターの担当者に連絡しました。母親のおっぱいの心配がないように 少なくともボランが6ヵ月になるまで 待って欲しかったからです。幸い、まだいつかわかりませんが、もう少し後にしてもらえました。でも その後 Jが ボランのことでメールが来ていたことを思い出し、もう一度よく読んでみると、《4月末か5月初めにセンターに入る。》と書いてあったのです。今はもう4月末です。だからもうお迎えが来ても おかしくありません。おっぱいを飲んでくれる子牛がいなくなったら 母親をどうするかは 考えておかないといけなかったのです。私たちは とんでもない飼い主です。ただ、出発の日がいつになるか 知らされていなかっただけで あんなにうろたえてしまって。

午後からは 前うちにいたつぼみちゃんのお母さん、Pさんが来ました。つぼみちゃんは Pさんのところへ行って間もなく オスの子牛を産みました。写真を見せてもらうと あんなにスリムだったつぼみちゃんは たいそうふっくらして、子牛もコロコロしています。Pさんのところは ここからそんなに離れていないのに 段違いに良い土壌で 草もどんどん生えます。その子牛も大きくなり お肉になったので、代わりに牝牛をもう一頭増やしたい ということで うちの牝牛たちを見に来たのです。

Pさんがいる間に、Jは 牛たちを新しい区画に移動させました。今までいた区画には まだ草が残っていて 牛たちはもう腹ぺこ軍団ではないので おとなしく歩いて来てくれるだろうと思ったら 大間違いでした。Pさんが見ているのに みんなあさましい姿で突進して来たため、子牛たちが途中ではぐれてしまったのです。食べることとなったら 自分の子供のことなんか忘れてしまう 情けない母親たちです。みんなにちゃんとついて来たのは コラとカシューだけでした。でも、一頭だけですが 絶対に子供を放り出したりしない 毋牛の鏡がいました。あのマルキーズです。後からおっとり歩いて来たマルキーズについて、かな、ベラ、ボランが来ました。ところが シュパだけは 道の向うで止まってしまって 迷子に。

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シュパは 売って良い組に入っています。たかが道を横切るだけで あんなに手こずらせたのに Pさん シュパでもいいんですって。良かったね、シュパ。Pさんの牧場って ごはんがおいしそうよ。それに Pさんやさしいし。

天敵様御一行のご到着

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とうとう、Jの菜園作業が始まりました。土を耕して、種を蒔くところまでは 絶対に自分でやらないと気がすまないのです。Jのことですから、何事も早めにすることは まずありません。そう言えば 去年は けっこう早め と言うか 世間並みでした。写真によると 去年は4月11日に始めたので、今年はかなり出足が遅れています。とにかく、ニンニク、エシャロット、タマネギ、ジャガイモ、エンドウ豆だけは 急いで植えて(蒔いて)しまうつもりでした。ところが 始めてみると エシャロットもタマネギも ぜんぜん足りないのがわかり Jはあわてて買いに行きました。ふつうなら3月に植えるものだから いまさら見つかるかどうか と私は言ったのですが、やっぱりもう売っていなかったそうです。

《林のヒヤシンス》と言う名前の ブルーのかわいい花が咲き出して、いよいよ木の害虫のシーズンになりました。今年は 木々がどんどん緑になって、もしかしたら大丈夫かな と思っていたら やっぱり来ていました。写真では黒い点しか見えませんが、あの恐ろしい若葉キラーイモムシの成虫です。

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その成虫は いつも高いところにいるので じっくり見たこともないし、名前も知りません。ハエが針を持ったような感じなのですが、その針がお腹の下に出ているのか、お尻から出ているのか 定かではありません。それが 木のどこかにタマゴを産むのでしょう。毎年 今ごろになると そのイモムシがものすごい食欲で まだ若い、出たばかりの葉っぱを食い尽くしてしまうのです。木の下にいると 食べている音なのか、食べながらフンを落としている音なのかわかりませんが まるで雨が降っているような音がします。

裸にされる木は その年によって違いますが、一番被害が大きいのは オーク類です。そのオークでも、今年は 一番先に葉が出る“柏もち”の葉の種類は セーフです。葉がもうかなり大きくなったので 多少食べられても平気です。あと 葉のもう少し小さい種類も どうにか すべりこみセーフではないかと思います。一番心配なのは まだやっと芽生え始めた種類です。まだ若くて元気な木なら 食べられてもまた葉を出してくれるのですが、年取った木は 死んでしまうこともあります。その若葉キラーイモムシが来てしまったのだから 心配してもしょうがないのですが、すごく気になって 窓から見える木たちに『早く早く』って言ってしまいます。

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《林のヒヤシンス》が咲いたので、これもシーズンになりました。土手の上にも、道にも そして牧草地にも ニョキニョキ生えるシダです。この種類は はびこらせておくと 私の背より高くなります。こんなにすくすく伸びるのに もったいないのですが、弱毒性があって 動物はだれも食べてくれません。聞いたところによると これをお料理される日本人の方々がいらっしゃるそうで、よろしければ あるったけ差し上げますので ご連絡ください。

ほんとに 心配でしょうがないけど 自分ではどうしようもないこと ってイヤですよね。そんな落ち着かない毎日が これから2週間続きます。

がんばれ イッジーばあちゃん

木曜日から仕事で留守をしていたのですが、帰ってみたら また緑が一段と広がっていたボラン農場です。リンゴの花が真っ盛りで、今のところ木の害虫も来ていないし、ライ麦もしっかり伸びて来たし、牛たちの牧草もたっぷりだし、ここはもしかしたら《天国のひと駅手前》?

少し前の話に戻りますが、一年生雄牛2頭が ジョンさんちの牧場に行ってしまった日の夕方、ブルータス君のお母さん、イッジーばあちゃんは 我が子がいなくなったのに気付いて 泣き出しました。イッジーばあちゃんは みんなと新しい牧草地に行ったのに ブルータス君を探しに 牧草地の入り口まで来て、牛舎を向いて ずーっと叫んでいました。あの子 もう11ヵ月よぉ なんて言っても本人は納得しません。ブルータスは その日の朝まで おっぱいを飲みに来ていたのですから。草をお腹いっぱい食べたせいで イッジーばあちゃんのおっぱいが張って来たのでしょう。でも、11ヵ月目のミルクなんて 水っぽくておいしくないので 搾ってやらずに放っておきました。

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次の日も イッジーばあちゃんは 泣いていました。私は 朝のうち何回か牛たちを見に行ったのですが、イッジーばあちゃんは どうしても私といっしょに牛舎に行きたいようでした。私が 帰ろうとすると 後ろからついて来ました。イッジーばあちゃんは もう数年前からリューマチか何かで足首が痛いみたいで、歩き方がゆっくりです。最年長でみんなのリーダーだから 牧草地から牛舎に来る時は いつも先頭なのですが 道中 みんなに追い越されてしまいます。その遅さと言ったら、今にも止まりそうなスローモーションです。

イッジーぱあちゃんが後からついて来た時 私は少し早めに歩きました。私が牧草地を出る時 いっしょに来てしまわないように 電気の通ったワイヤで脅すようなことは したくなかったのです。ところが ばあちゃん、私にしっかりついて来るではありませんか。そのスピードに あんた、そんなに速く歩けたの とびっくりです。

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その日も イッジーばあちゃんは 牛舎を向いて一日中泣いていました。後でJに聞いたのですが、ジョンさんちに去勢牛たちの様子を見に行ったら、ブルータス君は 正確にボラン農場の方向を向いて泣いていたそうです。ジョンさんちとボラン農場は 直線距離だとそれほど離れていません。間に丘はあっても 牛たちの叫び声は聞こえます。ブルータス君には お母さんの声が聞こえていたようです。ところが お母さんの方は 耳が遠いのか いっしょうけんめい牛舎を見ていたのです。

それもどうにかおさまった次の日、イッジーばあちゃんは 発情してくれました。ブルータスを産んでもう1年近く、春になっても発情しないので、ホルモン治療するべきか 迷っていた矢先です。それが 自然に発情して、受精師のフィリップさんが来てくれた時は ちょうど良いタイミングだった と言うことで もう最高です。

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イッジーばあちゃん、14才どころか20才でもお産する牛がいるそうだから、まだまだがんばってよ。来年 また子牛が生まれたら 思いっきりかわいがってやってね。

(まだ)ドナドナではないけれど

今日も 朝は霧、お昼からは晴れのお天気です。気温もほどほどで、日に日に 目に見えて木々の緑が広がって行きます

今日の大イベントは 牛たちの移動です。毋牛(7頭)と一年生牝牛(3頭)と子牛たち(5頭)は 《パーク・モルバン》という名の付いた北の区画で やっと伸びた草(と たんぽぽ)を食べています。これで うちの牛たちが 今朝までいた区画のお向かいの牧草地にいるF君の牛たちを やじることもありません。

一年生の雄牛たち(アスプロとブルータス)は と言うと 新品のトレーラーに乗せられて行きました。

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行き先は・・・いえいえ、羊飼いのジョンさんの牧場です。向うもかなり草が生えたので、とうとう一人前に 去勢牛(バリウム、アルフォンス、アトム、アルセーヌ)組に合流です。アスプロやブルータスがお肉になるのは まだずっと先のことですが、私にしたら もうあんまり会えないので けっこうつらいお別れです。ジョンさんちの牧場は ボラン農場から4~5キロほどしか離れていないし、よく車で横を通るのですが、やっぱりよその家だから 用もないのに入るわけにはいきません。

こうして本格的な春が来ると みんな なんとなくそわそわして あのJでさえ かなり活発です。私は と言うと あさっての午前中に立ち上げてしまわないといけない 仕事用のサイトと あさっての午後に予定してある《日本人とうまく仕事をする》講座(正式な名前をさがしています)の準備で 頭を抱えています。その次の日は 半日だけど また通訳の仕事があるし、自分でも よくこんなことを書いている時間がある とあきれています。

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では、次は今週末になると思います。それまで みなさまお元気で。

今日はのんびり日曜日

うちでは 定時勤務の人はだれもいないので 週日も週末も関係ないのですが、でもやっぱり日曜日は 特別のんびりです。何か足りない物があっても、請求書の支払い期限が過ぎていても お店もなんにも開いていないので 明日 月曜日になるのを待つしかないのです。

朝のうちは 濃い霧にすっぱりつつまれて、一年生牛たちは こんなことをしていました。犯人は みよです。みよは ベルナデットに比べると こういう時も静かで 休み休み叫び声を上げてくれます。

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これはおまけです。かなはまだ 他の子牛たちといっしょに遊びません。お母さんのしつけのせいかも知れません。

その霧も午前中早いうちに晴れ、午後は良いお天気になりました。気温は いよいよ20℃を越えました。(Jの袖無し姿にご注目ください。)

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ポポットの初めてのお仕事です。今日は タイヤではなく“マグワ”(?? 写真 見えますか ?)を引いています。ここは 牛たちが冬の間ずっといた区画で、糞はいっぱい、草は踏みにじられ ひどい状態なので マグワの歯で土の表面を掻いて行きます。見た目より力がいる作業なので 今日は 1ヘクタール弱の区画の半分だけにしました。残りは 明日です。ちょっと神経質そうで心配していたポポットの働きぶりに Jはご満足なようです。

アルモリカン牛は乳牛 ?

昨日の夜からまた雨になり、今日は どんより曇り空です。でも、まだ夏日など来てもらいたくないので、このお天気で満足です。

今日は 久しぶりに買い物に行きました。この数日間 あり合わせでしのいで来たのですが、とうとう野菜も底をつき しょうがなく一番近くのスーパー(うちから約12キロ)まで。それくらい 私は買い物が嫌いです。買い物に行くたびに うちには 母牛が7頭もいるのに なんでミルクはもとより、バターとかチーズとかも買わないといけないの と複雑な気持ちになります。

うちの母牛たちのミルクは みんな子牛たちが飲んでしまいます。私たちが飲みたいからと言っても 小さい時からおっぱいをさわられたことがない牛は そう簡単に搾乳させてくれません。だから、今まで どうしても 母牛のミルクを搾ってやらないといけない時だけ、私たちも自家製のミルクが飲めました。まだ2~3ヵ月の子牛を売ってしまった時とか、子牛を離乳させたけど お母さんのおっぱいが張って機嫌が悪い時などがそうです。その時は クリームを採ってバターを作りました。でも、毎日何リットルも脱脂乳ができるので、私たち二人では飲みきれず、余ったミルクの使い途に四苦八苦でした。だから、あえてミルクを搾る気にはならないのです。

これは マルキーズ(かなのお母さん)にオスの子牛がいた時だから、もうかなり前の話です。子牛はもう6ヵ月をとっくに過ぎていて、離乳させてもいい歳でした。マルキーズは 乳牛顔負けのでっかいおっぱいをしています。じゃあ、マルキーズのミルクを私たちがもらおう ということになりました。ミルクを搾ってしまうと、子牛の分がなくなって、自然に離乳するだろうと思ったのです。

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私たちは マルキーズがほっぺを緊張させて ガマンしているのに気がつきませんでした。牛にこんなことができるのを知ってからは 子牛とミルクを分けようという考えは やめにしました。

持って生まれたもの

この間、晴れが続くのも良いけど 適当に雨も降って欲しい と言ったら、今朝は 雨が降りました。つい、空に向かって 勝手ばかり言ってすみませんねぇ って言いそうになりました。ライ麦を蒔いたところなので、まさに恵みの雨でした。

雨だから いつもより早めに食堂を開けたのに、お客さんたちは 入り口でぐずぐず。

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このところ もうすぐ人工授精センターに入るはずのボラン君のことで あわただしくなりました。もう前から決めていたのですが、ボラン君の採取の後 うちに返してもらっても困るだけなので、手放すことにしました。それで、ボラン君を買ってくれるレンヌのエコミュージアムから 値段はいくらか というメールが来ていたのです。それに私たちがやっと回答したのが 金曜日でした。

その件を片付けて ホッとしたのもつかの間、土曜日に人工授精センターから小包が届きました。血液と糞の検査用の容器が入っていました。同封の書類をよく読んでみると、4月10日(火)に獣医さんに採血してもらって、証明書にサインをもらって、その日のうちに全部ラボ宛に発送するように と書いてあるのです。先週の土曜日のことです。翌日は復活祭で月曜日は祭日でした。あわてて獣医さんに電話すると 運良く 火曜日の午後に来てもらえることになりました。(もう、採血の日にちを指定するなら 予め言ってくれれば良いのに。)

そうして、もう一度落ち着いて 人工授精センターからの指示を読んでみると・・・なに、適当な時期に除角しておくこと?! ええーっ。そんなこと今までに一度もやったことがありません。

火曜日になり、獣医さんのM先生が来てくださいました。採血のついでに ちょうど時期が来ていた カシュー君(1月1日生れ)の去勢もしてもらいました。M先生だから痛いことはしないのですが、カシューとしたら みんなから離されてストレス気味で かわいそうだったので 写真は撮りませんでした。M先生に ボラン君の除角について聞いたら、もう大きくなり過ぎて良くない と言うことでした。やっぱり 生まれてすぐでないとダメみたいです。

角のある牛は 人工授精センターでは受け入れてもらえない と言われても、今さらどうしようもありません。とにかく、その時は 隣町の集配郵便局の締め切り時間が迫っていたので、Jの運転で郵便局まで走りました。(Jは 汚い作業着のまま郵便局の中に入りたくない、私の運転ではとうてい間に合わない。)道中どういうわけか、ひやーっとすることばかリでした。駐車していたトラックから道側に材木が大きく突き出ていたり(すぐ近くまで来ないと見えない)、対向車がその前の車を追い越そうと 私たちの車のすぐ前に出て来たり、みんな陽気のせいで頭がおかしくなったのではないか と疑いました。

やっとの思いで郵便局にたどり着くと・・・郵便物収集トラックは もうとっくに出ていました。私の勘違いだったのです。出発時間は5時15分前ではなく 4時15分前でした。出発は一日に一回だけなので、次の日の4時15分前までありません。

そう言われて、私は いったいどこの未開発国にいるの と唖然としてしまいました。特急便さえ同じ時間(トラック)なんですよ。わざわざ田舎に住みに来たのだから ある程度の覚悟はしていました。でも、これじゃあ、公共事業も何もあったもんではありません。うちの電話は 回線の半分しかないので 高速インターネットが通せないとか 今までの恨みつらみもあります。今でこうなんだから、この先(もうすぐ大統領選挙)いったいどうなるの と不安がつのります。

血液とうんちの入った小包は 郵便局に置いておけないので、うちに持ち帰り 低温で保管できる場所(?)に入れました。角のことは 今 人工授精センターにいるアルモリカン種雄牛の飼い主に 問い合わせました。その牛は 大きくて立派な角をしているそうです。

今回は 切らなくて良いとしても、角にはいつも悩みます。牛と人間の安全のためには 確かにない方が正解です。でも、生まれた時から付いている物を取ってしまうのは 抵抗があります。オスだけでも取ろうか とは言うのですが カタログで除角用の器具を見ると 痛そうで使う気にはなれません。私たち(特にJ)ほど優柔不断な人間はいないと思います。

今日のボラン君。どうしても立つのはいやだそうです。

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近所迷惑のベルナデット

昨日は復活祭、今日は 復活祭の次の日(月曜日)で祭日です。そのせいか、ご近所はたいへん静かです。だれもトラクターに乗ったり、草刈り機やチェーンソーを使ったりしません。

それなのに うちだけは例外です。Jは やっとライ麦の種まきが終わった北の区画に ローラーをかけに行ったので かなり派手な音を出しました。

それと、もうひとつの騒音源はこれです。

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一才になったばかりのベルナデットです。昨日から発情で 知らない人が聞いたら 虐待しているのではないかと思われそうな 大げさな叫び方をします。

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もしかして、お腹が空いてるからよけいに騒ぐのかな と思ったら、午後 牛舎に来てからも

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と 子牛たちが みんな外に逃げ出してしまいました。

ベルナデットは13ヵ月ちょっとだから、種付けは まだ先のことです。私は 15ヵ月になったらトライしたいのですが、多分Jは 早すぎると言うと思います。

牝牛の初めての種付けの時期は いつにするか というのが なかなか決断できません。私たちは 当初 誰が教えてくれたのかよく覚えていませんが、16ヵ月 としていました。ところが、アルモリカン牛は 成長が遅いため(だからお肉がおいしい)16ヵ月ではまだ子供っぽいので 来てくれた受精師さんに『こんなに小さいのに 良いの。』といつも聞かれました。

でも、結果は良好でした。マルキーズは 2才の誕生日の一日前に初めての子を産み、出産後も成長を続けて 今の大きさになりました。ただ、2才になる前に 毋牛になったため、統計上特別扱いのお星様が付いているのが なんとなく 正しくないことをしたぞ と言われているような気がします。

その後、うちの牛たちがよそより小さいのは お産が早すぎるのかも知れない と半年ほど遅くしてみた時期があります。でも、効果はありませんでした。たまは 小さいままだったし、当時うちにいた“たたみ”は 待たせたせいか 発情しなくなって、初産が3才を過ぎてしまいました。

最近 専門誌で見たのですが、ホルスタインで調査した結果、今までのように3才ではなくて、2才で初産にしたら 繁殖障害が減った という報告がありました。

だから、私は 15ヵ月を過ぎたら始めて(一回目は付かないことがあるので)確実に2才で初産 を狙いたいのですが、どうでしょうか。牛飼いのみなさんは どうなさってます?

どのお父さんがいいかなぁ

木曜日あたりから 申し分のない晴天になりました。ほんとうに春らしい、気分も晴れ晴れの日が続いています。天気予報によると、来週もこのお天気が続くそうです。そう言われると今度は いつになったら雨が降るの と気になりますが。

昨日の夕方 牛たちを牛舎から放り出した後 ユゴリンが しきりに独特の金切り声を上げていたので Jが見に行きました。少なくとも15分間は見ていたと思います。やっぱり発情でした。

人工授精の申し込みをしようとした時 ふと気がついたのです。指定された牝牛たち用に、秘蔵の冷凍精液を出してもらうことばかりに気を取られていて、ユゴリン用ととユプサ用は 何も注文していなかったのです。そうすると、受精師さんの冷凍容器に入ったままの 去年の残りを使うしかありません。でも、いったい何(誰)が残っているのかはっきりしないので、人工授精センターの申し込みは 単に《アルモリカン》とだけしておきました。

アルモリカン種で自由に使えるお父さんは 全部で9頭です。その中で 私たちが今まで使ったのは6頭です。(後の3頭は 最近生まれた牛で なんとなく気が向かなくて使いませんでした。)今までの経験から 私たちはそれぞれに こんな評価をしています。

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これは あくまでもうちの牛の場合だし、例外ももちろんあります。ユプサは アジルの子なのに 赤ではなくて黄色っぽい色をしています。みよは ロランの子なのに ブヨブヨではありません。(あー、良かった。)

さて、ユゴリンですが 今朝 受精師さんが来た時 どのお父さんにするかじっくり考えました。結局 可能なのは “バンブー”しかありませんでした。角がびっこでかわいそうだけど、お肉にするなら なるたけ大型の牛が良いか なんて 無責任な飼い主です。

そのうち この間好機を逃してしまったユプサも また発情するだろうから、急いで もっとハンサムなお父さんを注文するつもりです。

アスリートの家系

お天気は良くなったものの 北風が吹きまくっています。お天気が良くなったらするはずだったことも こんなに寒いと おっくうになってしまいます。

一昨日から他の牛たちといっしょのかなは お母さんを見失わない範囲で 走り回っています。かなは とてもとても小さいので 牛舎への出入りがむずかしいかな と思ったのですが 心配いりませんでした。さすがにマルキーズの子です。運動神経は抜群で、頭の回転も速そうです。

マルキーズが 生まれた牧場からボラン農場に来た時は まだ生まれてやっと一週間でした。トラックに乗せるのに 大人3人がかりで やっと取り押さえたそうです。すばしっこくて、どこにでも登ってしまって まさに野生の動物でした。

そんな子牛を哺乳瓶で育て、どうにか家畜らしい行動をする牛になったのですが、マルキーズのアスリートの才能は 確実に 子供たちに受け継がれています。

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かなには ほんとうにたまげてしまいました。牛舎入り口の排水用の溝は 子牛たちに 恐れられています。ある程度大きくなるまでは みんな 溝が始まるすぐわきを 怖そうに ササっ と通ります。それを初日から 一気に飛び越えたかなちゃん。将来が《楽しみ》と言うか《心配》と言うか、ただ者ではないのは確かです。

かなちゃんの放牧デビュー

今日は ほんとうに春らしいお天気でした。午後 出かけていたのですが(お天気が良いうちにコインランドリーへ)、遠くに ぼやーっとかすみがかかり、色とりどりの花が咲いていました。車の中で つい うとうとしてしまいそうな陽気です。

今朝は まだ曇りがちでしたが、かなちゃんは 生まれた日以来 初めて外に出ました。お母さんの後にしっかりついて、みんなのいる区画まで来ると いきなり しっぼを立てて走り出しました。

みんなを意識して ちょっと気取ったかなちゃん。

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あんまり走り回ったので、ちょっと休憩。

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お昼になると みんな 牛舎にごはんを食べに来たのに、かなちゃんとお母さんだけは 気が向かないみたいでした。
しぶしぶ 牛舎までは来たけれど。。。

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この後 ふたりとも Jおじさんに叱られて、無理やり牛舎に入れられました。

今晩から かなちゃんも外で寝ます。もう寒くないし、かなちゃんにしたら 思いっきり走り回れる外の方が 好みだと思います。ただし、電気の通った牧柵だけは 気をつけないと。私が見ていた時だけでも 2回叫び声を上げましたから。

おうちが欲しい

いやー、もうびっくりしました。もう ずっと前からお願いはしてたんですけど、まさか 本当にやってくれるとは。それに 今日は日曜日だし。いえ、朝 目が覚めたら 我が家建設予定地に これが 建ってたんですよ。

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このあたりには 昔から 一晩で教会を建てるチーム(天使さんって言ったっけ)がいる って言う話 やっぱり本当なんですね。それに これは ふつうの家ですよ。すっごーい。

なんて だれも信じてくれないでしょうね。今日は エープリルフールだから、なんか大ウソをついてみたかったのですが、やっぱりダメか。

でも、おうちが欲しい っていうのは 本当です。もう15年もこの話をしているのですが、いまだに掘建て小屋住まいです。まだ、前の小型トレーラーハウスよりは マシだけど。

ここにもともと建っていた家は こんなのでした。  

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これを補修して住みたかったのですが、年々 少しずつ崩れ続け(特に地震があった時)、補強よりも 壊して立て直した方が無難 と言う状態にまで来てしまいました。上の写真は 去年の夏 とうとう撤去した時のものです。

新しい家は 湿気のない 快適な家にしたいので、石造りにはしません。でも、外回りの装飾にと 家の石は全部取ってあります。

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こうして 家の建築予定地は 更地になったので 後は 必要な建材を注文して建てるだけ なのですが、そこでもうずーっと 止まったままになっています。建てる役のJが 忙しいせいもあるのですが、とにかく モノが手に入らないのです。

いえいえ、モノ不足 という意味ではないのです。建材を売っているお店が 売ろうとしない なんて信じてもらえるでしょうか。いつも 《じゃあ、営業に連絡させます》で それっきりになるのです。だれも連絡して来ないので また問い合わせても 同じ返事で 全くコトが進みません。

そんなことをしているうちに 家の造りなんかに 新しいアイディアが浮んで、設計担当の私に 設計変更のリクエストが来ます。この10数年で 何回、何軒の家を設計したことか。

今週は 壁になるブロックの寸法が変更になったので、それに合わせて 家の寸法を調整しました。ついでに 洗面所を少し広げて とかカンタンに言うのは、アップルワークスで図面を書くのが どんなに大変か 知らない人です。

夢があるのは良いのですが、このまま おばあちゃんになっても 図面を書き続けるかも知れないと思うと ゾーッとします。