ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

居残り四人組

羊飼いのジョンさんちに行かなかったのは マルキーズ、だふね、ユーチカ、すもう(本名カリプソ)の4頭です。そもそも、去勢していないすもうを かな(お母さんにしないことに決定)や だなえ(もう8ヵ月)といつまでもいっしょにしておけない というのが理由です。

すもうをみんなと向うに連れて行って、かなとだなえはここに残す と言う手もあったのですが すもうのお母さん、ユーチカが12月中旬に出産予定なので トレーラーに載せるのはひかえた方が良いのでは と思ったからです。

すもうも もう10ヵ月で お母さんがいなくても大丈夫な歳なのですが みんなに好かれる礼儀正しい種雄牛になるには まだお母さんの教育が必要です。だから わざとお母さんから離さないようにしました。

じゃあ、なぜマルキーズまで居残り? という疑問が出て来ると思います。(だふねは まだ小さいのでお母さんといっしょ。)

マルキーズは だふねを産んで間もなく第一回目の発情をしたっきり 音沙汰なしです。マルキーズの息子(6頭続けてメスだった)を種牛にする という話ももう不可能になり、じゃあ、すもうがいるうちに彼に面倒を見てもらおう ということにしたのです。

マルキーズは すもうのおばあちゃんですが わざと血の濃い関係で マルキーズの特徴を固定するのが狙いです。と言うのも、マルキーズの子の代は すらっとした牛なのですが 孫になるとまたデブ牛に戻ってしまうからです。はたしてそれが成功するか、種が付いてくれるかさえ定かではありませんが ボラン農場の将来にとって大事なプロジェクトの一つです。

おっぱいが大きくて、スリムな美人 とアイドルになりそうなマルキーズですが、その性格と言ったら 毎日付き合うのがつくづくイヤになるほどです。昨日はまた だふね脱走事件の後、放牧地を移動させようとしたら だふねを連れてわざと正反対の方向に行ってしまいました。マルキーズの性格を知って 少し脅して言うことを聞かせましたが その度に私まで走り回るのはやめたいものです。

どこの牧場にも なんでこんな牛いつまでも飼ってるの と言われるのがいるそうですが うちではマルキーズがまさにそうです。それに マルキーズだけだったらまだガマンもできますが かなもだふねも母親と同じ性格で 先が思いやられます。

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そして、4頭しかいなくなった

まだ10月なのに 真冬の寒さ(朝は2~3℃で午後も10℃以下)のボラン農場です。牛がたったの4頭になって、ガラーンとしてしまいました。でも、あとの13頭は?! はい、羊飼いのジョンさんちに行きました。

子牛たちの眼騒動がなければ もうとっくに出発するはずだったのが やっと今週移動しました。ボラン農場は もう草が少なくなってしまったのですが、それよりも 向うは草が伸び過ぎて,このままにしておけないので 牛たちに草刈りに行ってもらうようなものです。

なぜ、マルキーズ、ユーチカ、すもう、だふね の4頭をここに残したか というのは次回のテーマにします。

さて、牛たちの移動は 今週の月曜日から始まりました。午前中に向うの用意をして 夕方暗くなるまでに 第一陣の ユプサ+だごべえ、バランチーヌ+カランバー、アーニカ+だなえ、ベルナデット+だいご を連れて行きました。うちの家畜運搬トレーラーは 2頭載せられるのですが ストレスをなるべく避けるために 母子をいっしょに載せることにしました。

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母牛たちは もう何回かトレーラーで移動しているので 難なく乗ってくれました。子牛もお母さんが先に乗っていると 自主的に乗ってくれます。

でも、いつもは素直なアーニカが抵抗するので いったいどうしたのかと思いました。

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良く考えてみたら アーニカ以下は 今まで一度も乗り物に乗ったことがありません。一昨年、母牛たちをジョンさんちに連れて行った時は 子牛たちはイッジーばあちゃんとボラン農場でお留守番でしたから。

それでも、どうにか乗ってくれたので 今度は アーニカの子、だなえを牛舎から押し出すと ひとりでお母さんのところに行ってくれました。

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でも、一番かわいかったのは ベルナデット母子でした。

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お母さんがまだ乗っていないのに、だいごが牛舎から出て来て 私のうしろに並んで待っていました。 

昨日の第二陣(火曜日は私が留守だったのでできなかった。)はトレーラー未経験の みよ+デラックス、ベラ、コラ、かな でした。

一番手を焼かせたのが 意外にもみよ、デラックス母子でした。

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そう言えば 事あるごとに みよは物事が良く理解できないのではないか(アホではないか)と心配になります。でも、今は牛舎の自分の場所も覚えたみたいだし、根気よく教えればわかるみたいです。

反対に 意外におとなしかったのがかなで 抵抗せず乗ってくれました。コラとなると こんなことは毎日やってる みたいにさっさと乗ってくれました。さすが イッジーばあちゃんの孫娘。マルキーズ系とは性格の良さで差を付けています。

このところ にわか雨の多い不安定なお天気で ジョンさんちの牛たちが心配になります。ボラン農場とは違って 土手がなくて風が吹きっさらしなので。でも、毎日見に行っているJによると みんなわき目もふらず草を食べているそうです。

回る 回るよ

忙しさにかまけて ボラン農場案内図を更新しないでいるうちに 牛たちはどんどん放牧地を移動しています。

もうこの季節になると 草の伸びが牛たちの食欲に追いつかず この数日間 牛たちから抗議の声が上がっていました。それで・・・

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場所が替わえると気分が変わって 今のところはおとなしくしてくれていますが、これもそう長続きしないと思います。

昨日は一日中雨、今日は曇で 一気に冬に突入したような気分です。明日からはとうとう冬時間に戻り これからはどんどん日が短くなります。

Jおじさんは 明日から1時間遅くなるのがうれしいのか もうさっさと納屋の大時計を遅らせました。これで 日本との時差は8時間です。

時計の針を回すと その昔 お友達のK子さんが大好きだった歌をふと思い出しました。

元気、元気!

このところ 私の翻訳や通訳の仕事が重なり 何もかも放ったらかしにしていた間に 牛たちは もう北の最後の牧草地に移動してしまいました。子牛の眼の治療も 先週の金曜日に終わり、それからは 牛たちの牛舎通いもなくなりました。

今日は久しぶりに通常営業で 私が牛たちの様子を見に行っています。

片目がなかなか完治しなかったデラックス(左)とだいご(中)も 今は両眼を開けられるほど良くなりました。
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でも、もっと元気なのが マルキーズです。
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爪を切ってもらってからは 普通の歩き方になりました。先週なんかは 牛舎に行くのを嫌がって みんなを反対に方向に連れて行く などということもやってくれました。

それにしても 食欲の秋というのがぴったりな 牛たちの食いっぷりです。

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写真を撮るのにこちらを向いてもらおうと いくら呼んでも知らんふりして食べるばかりです。こんなスピードで食べ続けると たった一週間で1ヘクタールの牧草がなくなってもふしぎはありません。もっと恐ろしいことに 牛たちは夜も寝ないでこうやって食べ続けるのです。

昨日の夜、もう12時近くになって 牛の大声が何度も聞こえたので、ただごとではない とJといっしょに見に行きました。放牧地に行くと なんと牛たちは全員 草を食べ続けているではありませんか。いくら 冬支度 とは言ってもあきれてしまいました。夜は寝るもの と怒ってももちろん聞いてくれません。

それで あの大声の主ですが みよでした。どうも、おっぱいを飲んでもらいたくて 息子のデラックスを呼んでいたらしいのですが 当の本人は寝ていて(この子だけはまとも)来てくれませんでした。みよはずっと叫び続けて あんまりうるさかったので Jがみよのすぐそばで寝ていたデラックスを起して おっぱいのところまで連れて行きました。むりやり起されたデラックスは わけが分からず ぼーっとしていたので みよの方は叫びっぱなしです。そのうち、デラックスがおっぱいを飲みだしたので みよの叫びは治まったのですが、なんでこれぐらいのことで大騒ぎするのか 理解に苦しみます。

牛たちがありったけのものをせっせっと食べるのも 冬が近づいたからでしょうか。このごろは 朝の気温は5℃以下だし、日も短くなりました。でも、例年の秋の長雨はまだなので 今のうちに私たちも冬支度に取りかからないと。

ペディキュア屋さん

いえいえ、私ではないんです。牛のペディキュア師さんのことです。牛の爪の手入れをする人のことをこう呼ぶそうです。

牛の蹄の手入れは牛の健康のためにとても大事なこと とは聞いていたのですが、 私たちは 今まで一度もしたことがありませんでした。でも、このごろマルキーズの脚の具合が悪そうで その原因を知るために まず伸び過ぎた爪を切ってもらおう ということになりました。

ただ、爪の手入れが必要なのは マルキーズだけではありません。ユプサ、ユーチカ、バランチーヌの中年おばさんたちはなんともないのに、なぜか まだ若い新米ママのアーニカ、ベルナデット、みよの3頭は 爪がヘンな伸びかたをしています。

と言うことで、全員初めての経験です。

みよ『えぇーっ?!』
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みよ『助けてー!』
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ベルナデット『なにしてんのぉ?!』
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アーニカ『ううっ?!』
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マルキーズ『???』
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今日は めずらしくおとなしかったマルキーズですが 牛舎の自分の場所に戻る足取りも 軽かったような・・・

さて、子牛3頭の3つの眼の治療はまだ続いていて、牛たちは毎日牛舎通いです。パドック横の牧草地の草は もう食べ尽くしてしまったので 日曜日の夕方から 北の牧草地にも行けるようにしました。それからは あまりお腹が空いていない牛たちに 空のバケツを見せて だましながら牛舎に入れています。

そういうこともあって ボラン農場案内図の更新をしたいのですが 今週は 仕事をたくさんいただいて(ありがとうございます。)時間がないので 来週にします。

教育訓練牛舎

不安定なお天気も数日だけで、今日も 昨日に続き 青空が広がる穏やかなお天気になりました。

牛舎での子牛(+かな)の眼の治療も今日で6日目で、だいたいみんな 自分の場所を覚えました。《みんな》と言うのは 大きいのがみんな牛舎に入ってしまわないと 治療をしないといけない子牛たちが来ないからです。

カランバーとだごべえは それぞれ10ヵ月半と8ヵ月なのにほとんど同じ大きさで 場所が足らないので 馬のボックスに入れています。もう慣れたもので 2頭そろって牛舎を横切り ボックスに行く柵が開くのをその前でちゃんと待っています。

反対に 一番わかっていないのはみよで、必ずマルキーズの横に行ってしまいます。まだ子牛の時にいた場所です。そこからテコでも動かないので、毎回Jがロープで正規の場所まで連れて行きます。

小さい子たちは まだ決まった場所はないけれど 治療のためにつながないといけないので それが教育になっています。

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つながれる時 他の子たちより強く抵抗するデラックス。かわいそうに思っていると 餌箱に突進して 乾草を食べ始めるので笑ってしまいます。

土曜日の夜 みんなを牛舎に入れた時、すもうのことが心配でした。何しろ、うちで去勢していない雄牛を飼うのは 初めてのことです。すもうも もう10ヵ月で 一目で雄牛なのがわかる体格をしています。背は カランバーより低いけれど 体重はずっと重そうです。そんなのが つながれるのを嫌がって暴れたらどうしよう とびくびくしていました。

ところが、怖そうな顔に似ず、すもうはおっとりしたおとなしい子で、『席に行きや。』とやさしく言うと ちゃんと行ってくれます。昨日の夜は お母さんのユーチカと居残りのお泊まりだったのですが チェーンを外してやるとお母さんの横に来て そこで寝ていました。

でも、なぜすもうがお泊まりになったのでしょうか? 

昨日、牛たちを牛舎に入れていた時 すもうは かなのおしりに貼り付いて来ました。かなのことはずっと前から疑っていたのですが やっぱりタネが付かなかったのです。それで そのまま放っておくと良くないことが起こりそうなので 今回のかなの発情が治まるまで離しておいた というわけです。

はじめは 冬でもないのに牛たちを毎日つなぐのはめんどうだ と思ったのですが こうして結構楽しくやっています。放牧地でみんなが草を食べてるのを眺めるのも良いけれど やっぱり近くで見たり、触ったりすると牛を飼っている実感がわきます。

子牛の眼騒動

先週の週末は お肉の販売で大忙しでした。土曜日は 友達のAも大口注文を取りに来てくれ 家の工事もお休みで 久しぶりにのんびりできました。

夕方、Aと牛たちを見に南の放牧地に下りて行ったはずのJが ものすごい勢いで 小屋に駆け込んで来ました。

『大変や。早よ、獣医さんを呼ぶんや。』《獣医さん》 と言うことは けが人は AでもJでもないと一応安心したのですが Jの様子を見ると ただごとではなさそうです。

Jがあわてていたので いったいだれがどうなっているのか はっきりしなかったのですが 大まかに言うと 子牛のほとんど全員の眼がつぶれている というようなことでした。

昨日も柵を開けに行ってみんなの顔を見たのに、なんで気が付けへんかったんや、牛飼い失格や とかJは自分を責めるのですが、私もその前日 暗くなる直前に牛たちを見に行っています。かなが数日前から眼をしょぼしょぼさせていたので注意していたのですが 子牛たちの眼までいちいち見ていませんでした。

6時過ぎに獣医さんが到着し、私もいっしょに牛たちを見に行きました。来てくださったのは一番若い先生だったのですが 一目見て、今流行っている角膜炎 と診断されました。隣のLさんが言っていた眼の病気です。隣では 種雄牛が失明したとかで 私も気になっていました。

先生によると角膜炎にかかっているのは3頭で 症状がかなり進んでいるだいご以外は 薬で治るだろう と言うことでした。お薬をもらったので 暗くならないうちに牛たちを牛舎に入れて すぐに治療です。

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牛たちが牛舎から遠いところにいたので 通路に柵をして 牛舎横のパドックまで連れて行くだけで もう暗くなってしまいました。久しぶりに牛たちを牛舎に入れると どっちを向いても大きな牛だらけで 暗かったせいか 押しつぶされそうな気がしてちょっと怖かったです。

牛舎にみんなが一斉に入って来て押し合いにならないよう ほとんど一頭ずつ呼びに行ったので 子牛以外の全員をつないだ時はもう9時過ぎでした。そこで やっと正確な状況がわかりました。一番危ないだいごの片目以外は デラックス、だなえ、かながそれぞれ両眼(普通は片目だけとか・・・)、すもうが軽症だけど両眼 と思っていたより多い患者です。

あるったけの薬をそれぞれの眼に塗り、診療所まで予防のための別の薬を取りに行ったり、放牧地に水桶を置いて水を入れたり と牛たちが牛舎を出て 放牧地に寝に帰ったのは夜中の12時半でした。やれやれ、これも大事な監視を怠ったせい と深く反省しています。

治療も今日はもう5日目で すもうは治ったし、デラックス、だなえ、かなの片目はもう大丈夫 と効果がはっきり出ています。眼が痛そうにしている だふねをのぞいた(すごい丈夫!)一番小さい3頭が特にかわいそうだったけれど、だいご以外は大事に至らずほっとしています。

くじらの脂

今日は 箱に詰まったアルフォンスが お客様にお知らせしていたより一日早く 業者さんから戻ってきました。

先週、業者さんと箱の内容を打ち合わせた時は 22箱で見積もっていたのですが、Jは 売れ残るのを心配して20箱しか作らないよう頼みました。ところが 今日受け取った20箱の詰め合わせは 一箱10キロ未満です。枝肉で452,8キロあったのが いったいどこに行ったのか 私は首をかしげてしまいました。(業者さんの手間賃は枝肉の重量がベースなので 特に気になる。)

Jが箱を冷蔵庫に納めている間 私は 業者さんからのデータを 表にインプットして行きました。ステーキやローストにする柔らかい部分の重量を見ると 今回のアルフォンスは 枝肉の重量が384キロしかなかった前回のアルセーヌとほとんど同じ位しかありません。

ははー、ネックだとかスネだとか煮込み料理にするところが多いのか と思って 続けてデータのインプットを続けて行くと そうでもありませんでした。

そうすると 答えは一つだけです。今回、考えがあって 余分なバラ肉を別売りのソーセージにしたり、煮込み用に形を整えないで 骨を抜いたままの状態でもらいました。アルフォンスは ちょうどそのバラ肉分 体重が重かったのです。

脂身を落として加工すると だいたい25キロ位に減るものが 今回は 45キロのバラ肉の山。だいたい1キロ前後の真空パックになっていて、手に取って良く見ると 半分以上は脂身です。確かに こういうのを見ると『食べるとこがない。』と嘆きたくなるでしょうね。肉用牛の場合は この部分もほとんど赤身ですから。

でも、昔はこの牛脂も 大切な資源でした。アルマンゾ(大草原の小さな家です。)のお母さんが これでろうそくを作っていました。その他 皮の手入れもにも使ったし、石けんにもなります。今でも 北フランスやベルギーでは フライドポテト用の牛脂をスーパーで売っているのを見かけました。

そういう風に見てみると この大量のバラ肉も 私の感覚で言うと くじらのようにありがたいもの(歳がわかる?)のように思えます。

さて、(大急ぎで話題を変える)今日のお昼にさっそく品質検査をしました。いつものように ステーキの中で一番かたいソトモモの部分です。同じパックに この2種類が入っていました。いつも検査に使うのは前の丸い方です。

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これをフライパンでこんがり焼いて(うちは焼き過ぎの方)、写真を撮る間もなく食べてみると・・・ お肉に張りがあって かたそうに見えるわりには 今までになく柔らく、おいしかったです。(ぺんぎんさん、安心してください。)脂身だらけで 私たちは儲からないけど みんな おいしいお肉になってくれて ありがとう。

今日は またまた不安定なお天気でした。晴れた と思ったら突然どしゃ降りになったりで Jは家のブロック積み作業をあきらめました。それでも、なぜかJが外に出る度に、しかも出ている間だけ雨になって、私はつい『わざとしてるんちゃう。』と言ってしまいました。ちなみに 私はJの反対で 家に入ると雨が降ります。

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