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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

病気のファンタ

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もう一週間ほど前のことです。夜、もうそろそろ牛たちを放牧地に帰そうか という時、Jおじさんが私に、
『ファンタの具合が悪いのに、気が付けへんかったんか。』と恐い顔をして言うのです。

そう言えば、もうその何日も前から、ファンタがいやにおとなしくなったけど、そんな年頃なのかな と思っていました。ふぶきにミルクをやる時も、じゃましに来るのはふみだけで、ファンタは、知らん顔で土手の草を食べていましたから。

また、そう言えば、ある日牛舎で、ファンタの母親、バランチーヌ、がファンタの方を見て、
『おまえ、ミルク飲めえ!!』(バランチーヌの口調は決して、ねえ、ミルク飲んでぇ ではない。)と叫んでいるのに、ファンタは隅でうずくまったまま、完全に無視でした。あまりの騒音に、私はファンタを起こして、バランチーヌのところまでおしりを押して行かせましたが、ファンタはバランチーヌの横にボーッと突っ立ったままで、おっぱいを飲もうとはしませんでした。

それは知ってたけど、そこまで具合が悪くなったのは知りませんでした。その日は、もちろんファンタとバランチーヌをジゼル、アーニカ親子といっしょに、牛舎に寝かせることにしました。

いったい、ファンタはどうしたの と観察していたのですが、本当にしんどそうで、いくらバランチーヌが叫んでも、うずくまったままでした。どこが悪いかわからないので、とりあえず、《子牛がおっぱいを飲みたがらない時》のレメディー(ホメオパシー)を口に入れてやりました。

そうしているうちに、ファンタが立ち上がった と思ったらいきなり、おしっこと間違えそうな液体のうんちをしました。ああっ、下痢してる! と今度は、《スラッとした体型の子牛が下痢をして、元気がない時》のレメディー+《脱水症状を防ぐ》レメディーを与えました。

その次の日は、お天気が良かったので、Jおじさんが牛舎を掃除する間、牛舎居残り組全員外に出ていました。その後、他の牛たちも居残り組も牛舎に来たのに、ファンタだけは来ませんでした。私が獣医さんのところへ行って水分補給・栄養剤を買って戻って来た時には、牛舎につながれたバランチーヌは、ファンタの姿が見えないので怒り狂っていました。

やれやれ とファンタを呼びに行くと、牛舎から遠いところでうずくまっていました。でも、私の顔を見ると立ち上がり、牛舎に向かって歩き始めました。ところがそのノロいこと。倒れはしなかったけれど、本当に一歩一歩ヨロヨロとしか進めませんでした。どうにかこうにか牛舎までひとりで歩けたけれど、体をさわると熱いような気がしました。

私が、水分補給・栄養剤を哺乳瓶に入れて持って行くと、最初に飛んで来たのは、ふぶきでした。(哺乳瓶は自分のもの と思ってる。)それをファンタに見せると、競争心からか、勢い良く食い付いたのですが、なぜかうまく飲めなくて、すぐにあきらめてしまいました。

哺乳瓶がいけないのかな と思って、ふぶきのバケツに入れてもう一度試したのですが、やっぱりうまく飲めませんでした。ファンタは、ふぶきの代わりにミルクを上手に飲んでたのに・・・。何も飲まないのはいけないので、Jおじさんとふたりがかりで飲ませようしたのですが、飲みたくないのか、飲めないのか、ほんの少しかお腹の中に入って行きませんでした。

次の日も、ファンタは、牛舎の隅でうずくまったままでした。前日のように水分補給・栄養剤を飲ませようとしてもダメで、もちろんおっぱいも飲まず、バランチーヌは、泣き叫ぶばかりでした。

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ミルクも水分補給・栄養剤も拒否するファンタですが、乾草だけには興味があって、少しだけどクチャクチャ食べて、お母さんたち用のバケツの水を飲み、寝そべったまま反芻までしていました。うんちも、これ便秘じゃない? と思うほど硬くなったので、お薬は《子牛がおっぱいを飲みたがらない時》のレメディーだけにしました。

症状は違うけれど、去年3ヵ月になる直前突然亡くなったエバンのことがあるので、私たちはかなり心配しました。Jおじさんはもうダメだと思ったそうです。こういう時、ふつうは獣医さんを呼ぶものです。でも、私たちは最初から呼ばないことにしていました。べつに費用がかかるからではなくて、今までに牛が病気で獣医さんに診てもらって治った例は、一回しかないからです。

エバンの時も、イッジーばあちゃんの時も、ダメな時は手の施しようがありませんでした。ずっと昔の話だけど、ジュリエットは医療ミスで死んでしまったし。だから、今はホメオパシーのレメディーだけで治療しようとしています。牛たちには、自分で自然に治す力を付けてもらわないといけませんから。ホメオパシーのレメディーは、(ほとんどみんな)薬局で処方箋なしに買えるし、もしも間違えても毒にはなりません。それに、お砂糖で丸めてあるので甘く、子牛たちは喜んで食べてくれます。

こうして、ファンタは何日もフラフラしていたけれど、だんだんおっぱいも飲むようになり、昨日の夕方は、ジゼルと納屋の乾草置き場に侵入して、乾草ロールと格闘するほど元気になりました。私を見るとペロペロなめに来て、牛舎の掃除をするのにじゃまでしょうがないのですが、元気になって本当にうれしいです。

ファンタの全快を喜んでいたら、今度は、ジゼルが猛烈な下痢をしました。はじめは《長引く下痢だけど、子牛の衰弱はなく、ミルクは飲む時》のレメディーを、それから、ちょっとしんどそうにしていたので、《体は子供っぽいのに、顔はじいさん・ばあさん顔の子牛の下痢》のレメディーを飲ませました。今朝は、牛舎の床に疑わしいものは何も落ちていなかったので、多分もう大丈夫です。
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マルキーズはアルモリカン最年長

今朝、いつものようにミルクの入ったバケツを持って、牛たちがいる北の放牧地に行くと、ただならぬ光景が・・・。子牛がおっぱいを飲んでいるのに、一年生牛(ふくすけ)がお母さん牛のおしりに貼り付いて、今にも乗ろうとしているのです。

あれーっ、バランチーヌとみよはこの間発情したばっかりやし、ええーっ、だれ(どの牛 と言うべきでしょうか)? と思っていたら、おっぱいを飲んでいた子牛が、急に私を目がけて走って来ました。私の子牛、ふぶきです。と言うことは、ふくくんに乗られて、『何すんねん!』と怒ってるのは、マルキーズ! まあ、お母さん、元気、元気。

いつもなら、知ら~ん顔してるマルキーズなのに、少し離れたところでふぶきにミルクを飲ませていたら、猛スピードでやって来て、するとふくくんまで付いて来て、ふぶきが押しつぶされないか ひやひやしました。

マルキーズはもうすぐ15才。短命で3産したら良い方 と言われていたらしいアルモリカンにしたら長寿で、子牛ももう12頭産みました。

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どうも、今生きているアルモリカンの中で、マルキーズが最年長らしいです。何年も前に、その時の最年長牛で18才(だったと思う)の牛を紹介されたことがありますが、いつの間にかマルキーズが最年長に。

1996年に生後一週間で買って来て、私がミルクで育てたマルキーズ。小さい時から、超美少女でした。

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(もう、アカン みたいに寝転がっているのは、同じところから買って来た アルモリカン×シャロレのマストックくん。ミルク嫌いで、哺乳瓶を受け付けず、バケツで少ししか飲まなかったので、大きくならなかった。3才で枝肉重量200キロちょっと。子牛料金にしてもらった。)

マルキーズは、小さい時にそうして育てていなかったらどうなってただろう とため息をつくほど愛想のない牛です。でも、私の言うことはけっこう聞いてくれる(哺乳瓶の恩?)ので、けんかになることはありません。

もう子牛は多分ふぶきが最後で、ふぶきにも私がミルクをやって、大きくなったらマルキーズの代わりになるのかなぁ と思っていたので、今回のマルキーズの発情は、ちょっと意外でした。もう危ないかな? という気持ちもありますが、そこは自然に任せて、せっかく本人がシグナルを出しているので、人工授精をトライしてみました。ダメでもかまわないから。

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一番下の妹が生まれて、ちょっとお姉さんになった三人娘。ミルクを飲んでよだれをたらしている真ん中のが、ふぶきです。(左:ファンタ、右:ふみ)お母さんのように美少女になれば良かったのに、似ているのは性格と体型だけ?

跳ねろ、ジゼル!

昨日の朝は霧が出たけれど、標高270メートルのボラン農場では、早いうちに青空が。せっかくのお天気なので、ちょっと早いけれど、ジゼルを外に出すことにしました。牛舎で跳ね回るよりも、ずっと健康的ですから。

ところが、お母さんはいそいそと出て行ったのに、ジゼルは、『ここがいいの。』とばかり、座り込んだまま動きません。そこを立っちさせて、おしりを押して外に出しました。この子も、おとなしい、のんびりした子です。

ちょうど他の牛たちがすぐ横の放牧地に来ていたので、ジゼルとアーニカは、みんなに合流。

最初は、子牛たちが見に来ました。他の子牛たちが大きく見えます。

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おねえさんたちに追いかけられて、走り回るジゼル。

今度は、大きなおばさんたちがやって来ました。

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おかあさんのアーニカは、ジゼルを守るのに大忙しです。

ああ、しんどかった!

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ジゼルの放牧おデビューでした。

PS:ジゼルの写真、エリオットの写真など、この下に追加しました。どうぞご覧ください。

ジゼルです

昨日の朝のことです。いつものようにふぶきにミルクを飲ませるために、牛たちを探して一番北の放牧地まで行くと・・・、知らない子牛が落ちてました。

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そう言うと、無責任なようですが、一昨日の夜は、もうそんなに寒くなかったたし、アーニカのことだから大丈夫 と信頼していました。それに、予定日はまだ一週間先だったし。

アーニカは、ちょっと離れた所にいたので、子牛の脚をそっと持ち上げて見ると、女の子でした。これで連続6頭目。名前は予め用意してあったので、すぐに《ジゼル》と呼んであげました。

(みんなを追って食堂に向かう、アーニカとジゼル)
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今年生まれの子牛は、Gから始まる名前です。(去年はFだった。)ガ・ギ・グ・ゲ・ゴ で始まる日本語の名前はまずないので、今年の子牛の命名は、Jおじさんに一切任せることにしていました。

でも、女の子なら《ジゼル》というのは私のアイディアです。いえいえ、バレエは関係ありません。私がその名前を言うと、Jおじさんが大笑いしたのは、子牛の登録をしている機関で、いつも私たちがお世話になっている方のファーストネームだからです。

それに、今日気が付いたのですが、ボラン、すもう、エドゥが人工授精センターに入った時、事務手続きでお世話になった方も、ジゼルさんでした。この名前、決してよくある名前ではなくて、むしろ、今はもうほとんど使われないちょっと古くさい名前らしいのですが・・・。

うちのジゼルは、昨日生まれたばかり と言うのに、他の牛の踏まれないように と入れたポックスの中を飛び跳ねています。体重は34キロで、アーニカの子にしてはまずますの大きさです。(今まで、だなえもエドゥも、生まれた時は小さかった。)

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お母さんのアーニカは、あとで足すのはめんどう と餌箱に詰め込んだ大量の乾草をあっと言う間に平らげ、バケツで水をたて続けに二杯飲み干し、あきれるほどの大食い能力を発揮しています。性格の良い牛なんだけど、私たちには耐えられません。ジゼルも大食いにはなりませんように。