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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

あ~あ、また夏時間

今週から、夏時間になりました。先週までは、朝、夜明けと共に起きていたのに、今はそんなことをしてると、もう8時です。その分、夜は8時まで明るくて、牛たちのごはんが終わって、放牧地に帰った と思ったら、あら、もう10時?!

日本との時差は、これで7時間に縮まりました。(例:日本の正午はこちらの朝5時、日本の夜7時がこちらの正午)家にある全ての時計を合わせるのがめんどうで、まだ冬時間のままのものも。

このところずっとお天気が良くて、例年になく、日に日に春らしくなるのが感じられました。でも、昨日から予報通り雨。この季節は、雨が多い方が草の伸びが良いので、大歓迎です。

雨が降り出す前に とJおじさんが、ほとんど一週間かけて土手の補修をしました。

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並木道すぐ横にある南の放牧地の入り口です。前を通るたびにほれぼれ見とれてしまい、家の窓から見える風景を撮ってみました。Jおじさんさえ、すぐにこれがボラン農場とは気が付かなかったほどの出来映えです。

土手の入り口は、土が崩れて来ないように、大きな平べったい石を立ててあります。でも、それがなくなってしまったところもあり、また昔のままだと幅が狭すぎて、トラクターが通れないので、Jおじさんが少しずつ改修しています。こんな石なら、そのへんにいくらでも転がっているので、適当なのが選べます。

この家から見える南の放牧地の入り口部分は、私たちがボラン農場にたどり着いた時(今から19年前)、片方が完全に崩れていました。その時、とにかく通れるように入り口を作り、それがそのままになっていました。

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今までこんな感じで、カッコ悪く、石ももうありませんでした。家から見えるところだし、せっかくの景色が栄えない というのが大きな問題点でした。でも、もう一つ困った事がありました。

並木道の北側の放牧地にいる牛たちを、南の放牧地に移動させる時(または、南から北に移動させる時)お互いの入り口がそっぽを向いていて、見えません。だから、よくわかってる先頭の牛たちは、向いの放牧地に駈けて行く(新しい放牧地は、草がたくさんあっておいしそうだから)けれど、列の最後でのろのろしている子牛たちは、急にみんなが見えなくなってパニックになってしまいます。

そうなると、一番おとなしいばあさん牛をもう一度元の放牧地まで連れて行って、迷子になった子牛たちを集めて、いっしょに並木道を渡らせるようなことを、何度もやって来ました。

それが、今回の修復で、景色が良くなっただけではなく、両方の入り口が正面に位置するようになり、子牛たちも問題なく並木道を渡れるようになるはずです。

向かいの入り口も少し幅を拡げて、思っていたよりずっと大規模な工事になったけれど、Jおじさんは、こんな庭園造りのようなことが大好きです。立てた石がなんとなくブルターニュ名物のメンヒルに似ているので、《メンヒル屋さん》と呼んであげました。

でも、今度は・・・・

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そうです。昨日、やっと待望の窓が届きました。(窓だけでドアはまだ。)担当の方と寸法を確認して、OKでした。やっぱり、このメーカーの方がずっと立派で、仕上げも私たちの好みです。やっぱり、メーカーさんの大きなラベルが、誇らしげにガラスに貼ってあります。思い通りのものが来て、大満足のJおじさん。これからは《窓屋さん》となるのです。
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ふぶきは泣かない

私たちばかりこんなにのんきにしていて良いのかしら と思うような、春らしいポカポカ陽気が続きます。お天気が良くなるとなぜか風も強く、ちょっと乾燥気味ですが、文句は言いません。そのうちに雨も降るでしょうから。

さて、いつの間にか《私の牛》になってしまったふぶきも、もう4ヵ月になるので、そろそろミルクは止めよう と少しずつ準備をしていました。

(私の顔を見ると条件反射でこうなる。)
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朝は、ミルクを用意して、牛舎の横から放牧地に一歩入っただけで、私がバケツを下げてやって来る気配を感じるのか、遠くからふぶきの呼び声が聞こえました。夜は、牛舎で、Jおじさんがみんなにバケツで水を飲ませるころになると、また私を呼び始めました。どこにいても、私とバケツを見ると駆けて来るのが、もうかわいくてかわいくて、朝晩のミルクをめんどうに思った事はありません。

それまで4リットルずつ飲んでいたのを、3週間ちょっとの間に、まず3リットルに、そして2リットルに、恐る恐る減らしました。幸い、ミルクの量が減っても、『もっと飲ませてぇ。』 と私の後を追ったりはしませんでした。あきらめたのか、その分草や乾草をたくさん食べるようになりました。

そして、いよいよこの週末から、ミルクはなしに。
朝、いつもの時間にそーっと外に出て、ふぶきの叫び声がしないか耳をすましてみたけれど、何も聞こえませんでした。夜は、Jおじさんがみんなにバケツで水を飲ませ始めると、ふぶきの声がしたけれど、知らん顔しているとすぐに泣き止みました。そして、それ以来ピタッと何も言わなくなりました。

ミルクが飲みたくて、どんなに泣かれるか心配していたけれど、わりとあっさり離乳できて、ホッとしました。でも、昨日は牛舎に行く途中、ふぶきだけ列を離れて私の上着をペロペロなめに来ました。おねだりされてもミルクはないので、ふぶきが好む首の下側をしっかりなでてあげました。

通常、子牛にはミルクの代わりに穀物を食べさせるのですが、うちにはそんなものはありません。だから、できるだけたくさん草を食べさせてやろうと、今日は、ロープで草のあるところに連れて行きました。

(上を向くように、Jおじさんが草を食べさせてる。)
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これくらいの月齢のうちにロープ誘導に慣らしておくと、後々楽なので、順番に子牛全員を教育するつもりです。昨日は、一番楽そうなファンタを使って、私のトレーニングをしてみました。ファンタはあんまり喜ばなかったけれど、初めてにしてはまずまずの出来でした。今日のふぶきは、あまり歩いてくれなかったけれど、草だけはモリモリ食べました。小さい時、脚を踏ん張って一歩も動かなかったユーチカも、今はふつうに歩くので、心配はいりません。

今年は、メスの子牛ばかりで、みんなそれぞれかわいくて、将来がとても楽しみになります。

牛たちの平穏な日々

ちょっと曇りがちだけど、穏やかな毎日が続きます。牛たちは、雨が降っていた間に伸びた草ももう食べてしまい、次の放牧地に行きたくて、その入り口で毎日抗議集会をするようになりました。でも、そこは、来週Jおじさんが留守をする日のために取ってあるので、まだダメ。かくて、ハラペコ軍団は、午後に食堂(牛舎)が開くと、我れ先に走って来るのです。

子牛のフェスト・ナットもフリゼットも、もうすっかり慣れて、自分の席に直行するようになりました。フリゼットは、とっても良い子で、Jおじさんのお気に入りです。

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でも、Jおじさんが一番おもしろがるのは、フェスト・ナットです。

お母さんの横で、もりもり乾草を食べ(隣のおばさんにかなり盗まれるけれど)、夕方、おっぱいタイムに放してやると、瞬時に180度反転して、おっぱいに直行。それが終わると、フリゼットの席に行き、残った乾草を食べて、それも平らげると、今度はもっと小さい子牛用の乾草を食べに。ある日は、みんな放牧地に帰ったのに、ひとりだけ牛舎に居残って食べ続けていたそうです。

ある日の午後、私が牛舎に入ると、フェスト・ナットが横たわっていました。それを隣のみよがつつき、反対側にいるお母さんがペロペロなめていたので、あわててしまいました。でも、落ち着いてよく見ると、つながれたまま寝てるだけでした。

(フェスト・ナットお得意のスタイル。)
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もう、寝る時ぐらい、ふつうの寝方をしてもらいたいものです。

さて、心細かった乾草も、ムダなく大切に食べたので、今月の末まで持ちそうです。ただ、今年は復活祭がいやに遅いので、暖かくなって草が伸び出すのも遅いかもしれませんが、今のところ心配なしです。

春三月 桃のお節句 春霞

二月は雨ばかりで、気温も10℃以上だったのに、三月に入ったとたん、急に北風がピューピュー吹き出し、また寒くなりました。今日は晴天。風もおさまって、日なたにいるとポカポカしてきます。でも、快晴にしてはちょっとどんより。これ、春霞?

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(ファンタとお母さんのバランチーヌ。)

こんなにお天気が良くなったので、きこり作業のチェーンソーの音が、あちこちから聞こえます。Jおじさんも、お天気が良くなったらきこり って言ってたけど、今日はまだ、納屋と牛舎の東面の板張りをしています。

ここは、南西の風が強いので、納屋は(家もだけど)東向きに建てました。東風の時は雨は降らない と思って、東面は全開でした。ところが、雪が降る時に限って、東ないし北東の風が吹き、納屋の奥まで雪が入るので、この冬ずっと、家の窓もまだ来ないことだし、Jおじさんは、板を張って扉を取り付ける工事をしていました。

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(少し前の写真。今はもっと進んでいる。)

さて、気持ち良さそうにひなたぼっこの牛たち。

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(ジゼルとお母さんのアーニカ)

午前中は、ほんの少し伸びた草をしっかり食べたし、午後からの乾草はもういらない? と思ったら大間違いです。Jおじさんが口笛を吹くと、みんな立ち上がり、バランチーヌを先頭に牛舎にやって来ました。このごろは、ぐずぐずしていると、牛飼い犬オスカルが登場するので、みんなさっさと牛舎に入ってくれます。それでも反抗するのがいたら、追いかけるのはオスカルの役で、私はずいぶん楽になりました。