ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

今年はM



ぜんぜん寒くないけれど、ずっとお天気が悪くて、ルーシーとルーは(ママたちも)まだ夜は牛舎にお泊まりでした。でも、この日、1月28日から、みんなといっしょに完全放牧開始。というのも、この子が生まれたから。

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今年生まれの子牛は、Mから始まる名前です。Mなんていっぱいあるけど、せっかくだから、

《ももたろう》と名付けました。本名は長いから《ももたん》と呼んでます。

ももたんは、朝起きたら子牛が落ちてた、のパターンでした。ママ(イッチー)が初産だから気をつけてたのに。安産だったみたいだから、良かったけど・・・。

イッチーとほとんど同い年で(10日違い)、同じ日に人工授精をしたダネット(本名、ジャネット)はこちらです。

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イッチーの2日後の出産だったけど、ダネットは、かわいそうに4時間ほど苦しみました。ちょうどJおじさんが用事で出かけた直後にお産が始まって、私が(お昼ごはんを中断して)ずっと付いてました。前足(正常)が出てからもなかなか進まず、よく見ると巨大な足(=巨大な子牛)。Jおじさんが帰るのを待って、引っ張り出してもらいました。

イッチーもダネットも羊のようなくるくる巻き毛。子牛たちも、どちらもくるくる巻き毛のオスです。ももたんも、ぬいぐるみのようにかわいいけれど、大きい方もかわいいです。えっ、そのコの名前?

まさお、と名付けました。
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牛飼いの適性



みなさん、何かの講座か講演会に出席していて『今日は先生の話よう解るわ。私、やっぱりアタマ良かったんや。』と思ったことはありませんか。

そういう時は、実は講師の先生が優秀で、誰にでも解り易く、生徒に関心を持たせる話ができる才能のある人だからです。

私が自分で『牛飼いの才能あるわ。』と思うのも、ボラン農場の牛たちが賢くて、特に私に協力的なおかげかも知れません。

牛たちを牛舎に入れるのに、私が牛たちのいるところまで行って、戻って来る時間だけしかかからないので、牛舎で待機しているJは、たいがい、不意をつかれます。(すぐに来るとは思ってないので。)

先日、やっと、ふぶきの人工授精がありました。

午前中に電話したので、授精師さんが来るのは午後2時以降。お昼ごはんがすんだら、ふぶきを牛舎に入れることにしました。ところが、午前中の仕事が長引いて、ごはんを食べ始めたのが1時半ごろ。Jが食べ終わるのを待っていたら2時には間に合わないので、私ひとりで、とにかく牛たち全員を牛舎裏まで連れて来る、ということにしました。

それから15分くらい経ったでしょうか。Jが牛舎まで様子を見に来た時には、牛舎で、マルキーズ(同伴者)とふぶきがつながれてお食事中。Jおじさん、信じられない!というような顔で見てました。

牛舎裏まで来たのは、マルキーズ、ふぶき、牛舎大好き牛いちまとそれぞれの子供、りりとりらでした。関係者以外はお引取り願って、みんなのところに戻したので、牛舎裏はすでに空。

たまたま、牛舎まで来ていたけど私が見落としていた、らなちゃんをつなぐ以外は、Jがすることは何もありませんでした。

何をさせても中途半端でダメな私だけど、牛飼いの能力だけはある、と自己満足しています。適性のあることをしていると、無理をする必要は全くありません。何をしても楽しくて、夜遅くまでかかろうが、夜中に起こされようが、苦になりません。

フランス(特にブルターニュ地方)の畜産農家が、赤字続きで廃業寸前だとかで、もう何ヵ月も前から、時々道路を占拠したりして政府に訴えてはります。私は、フランスはもとより、世界中の食糧を支える農家が無くなっても良い、とは思いません。でも、もしもその中に、生きた動物を棚卸資産としか考えられない人がいたら、動物を飼う適性がない可能性があるので、他の仕事に転職された方がみんなのためだと思います。

反対に、農家出身でなくても、農業への適性を潜在的に持っている人が大勢現れ、勉強して就農できるようになれば、失業率も下がり、世の中が明るくなるのではないか、と私は思うのですが・・・。

上の写真:朝晩の牛の点呼に手間取る霧の日。

ふくを着た馬現れる



その日の午後、ボラン農場北側の村道を通りがかりに見たのは、子豚10頭ほどがお団子になって道ばたの草を無心に食べているところでした。子豚たちがピカピカのピンクで、その光景は、夢か映画にしか見えませんでした。

でも、この日はこれだけでは終わりませんでした。

夕方、もう暗くなりかけた頃、ジゼルとげんきは、早く子供を連れて牛舎に戻りたくて、柵の前で抗議を始めていました。

Jおじさんが突然『ノン、ノン!』と言うので、どうしたのかな、と見ると、牛たちの前に馬らしきものが。

えっ、リュチックとおかずが脱走?!

とよく見たら、知らない馬が三頭! またまた、どこかから脱走したのが、ボラン農場入り口の並木道から入って来たようです。

よく見ると、三頭のうち二頭は頬綱(馬の場合は別の呼び方?)をしていて、そして、三頭とも、

服を来ていました!

競馬馬に着せる派手な衣装とは違って、ツイードのような生地の服で、長いジャケットのような感じでした。

村では馬を飼っている家は多いけれど、服を着せられた馬なんて見たこともありません。そんなことをしたら、きっと笑いものになることでしょう。

とにかく、保護しないと交通事故を起こしかねないので、Jおじさんは、三頭を牛舎に収容しました。牛たちを牛舎に入れる時間なのに、ほんとにいい迷惑です。(牛たちの乾草は馬に食べられるし・・・。)

いったいどこから来た馬なのか、Jおじさんがご近所に訊きに走り、しばらくして戻って来るなり、

『警察(田舎は警察ではなく、憲兵とか言うらしいけれど)が見に来る。飼い主に連絡してくれた。』と。

(後で聞いた話:飼い主からの連絡で、脱走した馬の足跡を追っているところに、たまたまJが出くわした。)

べつに警察がコワいわけではないけれど、無責任な飼い主に腹が立ってたし、ここは全部Jに任せて、私は引っ込みました。

(パトカーの到着とか、飼い主(女性)の涙のご対面とか、省略)

三頭の馬は、飼い主に連れられ、一番大きい馬を先頭に、パトカーの護衛付きで、歩いて出発しました。先頭の馬は、頬綱を付けていなかったので、うちのリュチックのを貸してあげました。

みんなが帰り、ジゼル、げんき、ルーシー、ルーもやっと牛舎に戻れて、ホッとしたところで、ふと考えると、その日は、東方の三博士がイエス様を牛舎まで祝福に来た、というキリスト教祝日の数日後でした。

ふく(福)を着た三博士の訪問なんて、新年から縁起のいい話です。なにか特別に良いことがある前ぶれでしょうか。

ただ、貸してあげたリュチックの頬綱は、いつまで経っても返しに来てくれなくて、新しいのを買ってやらないといけません。

今さら、新年

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新年にあたり、ボラン農場よりみなさまのご健康とご多幸をお祈りいたします、

と、せめて松の内にごあいさつしたかったのですが、こんなに遅くなってしまいました。すみません。

言い訳ですが、
去年のクリスマスの翌日から電話回線が故障してました。べつに固定電話はなくても良いけれど、インターネットがまともに使えないのには困りました。

最初にO○○○geに(携帯で)電話したら、『遅くとも12月31日までに復旧の予定。』と。
クリスマスとお正月の間の、みんながお休みの時なので、まあしょうがないか、とのんびり待つことに。

でも、何も言わないでおくと、故障していても平気だと思われそうなので、12月30日に『復旧工事はどうなってますか。』と問い合わせたら、
『昨日修理に行った技術者から、復旧した、と連絡なかったですか?』と。
もちろん、私達はそんなこと知りません。
調べてもらったら、どうも、その日は修理できなかった様子です。

そう言われて、私達にはピーンと来ました。電話回線の修理は、接続ボックスの中をいじる会社と、回線ケーブルを触ることができる会社が別々なんです。どちらもO○○○geの下請け会社ですが、まず、接続ボックス屋さんが来て、それでも直らなかったらケーブル屋さんの出番です。

でも、12月31日になってもケーブル屋さんは来ませんでした。

1月2日に(元日から腹を立てたくなかったので)もう一度O○○○geに問い合わせました。

答えは、『1月4日に修理の予定です。』

電話したのはJで、とても丁寧な応対で怒る気にもならなかったとか。インターネットが使えなくて困ってる、と言ったら、3G/4Gでデータ通信ができるボックスを貸し出しましょうか、と言ってくださったのですが、それを遠くまで借りに行く時間がないので、その時はお断りしました。

でも、1月5日になっても、電話回線は故障のまま。

ここはフランスですから、べつに驚くほどのことではありません。ただ、黙っていると後回しにされるので、私がO○○○geに電話を。

事態を説明すると、コールセンターの方、しばし絶句してはりました。何の情報もないので、この地区担当の者にお電話させます、と言うことに。

Jの携帯に電話があって、説明はこうでした。

問題の回線は、地下に埋まっている箇所で、全部で5軒が影響を受けている。今、どこを掘ったら良いか知るために、図面を取り寄せている。それが手に入って、実際に重機で掘り出して、工事をして、復旧は早くて今月末だろう。

えぇっ、1月末までインターネットが使えない、とさすがのJおじさんも怒りました。すると、向うの方は、
『そんな言い方しはるんやったら、電話切るで、ほんとに切るで!』と言ったとか。

ここはフランスです。相手がお客様でも、絶対にあやまったりしません。

それなら、この間話の出たボックスを借りよう、とそのための手続きをしてもらって、翌日、私がはるばるバスに乗って(往復2時間、帰りのバス待ちが2時間)取りに行くことになりました。

その電話の後、翌日の段取りもあるので、私は、近くのスーパーまで買い物に。

その途中、前から気になっていた、電話線が電信柱から外れていて、かなり引っ張られてそうな箇所に、高所作業車が来てました。その車が、かわいいと思うほどちっちゃくて、かなり古そうで、みすぼらしくて、ゴンドラに乗ってる人大丈夫かな、と思いながら通り過ぎました。

買い物を終えて家に帰ると、Jはニコニコ、こきげんで、
『電話回線、復旧したで。』

さっきの電話は、完全に人まちがいでした。このあたりの電話回線は、みんな電柱の上ですから。

いかにもフランスらしい、新年早々の笑い話でした。

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