ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

ボラン食堂(やっと)開店



この冬は、12月にルーシーとルー、1月末にももたろうとまさおが生まれ、牛舎にお泊まり組が続きました。(まだ続いてるけど。)夜の直に加えて、牛舎にごはんを食べに来る昼の直を行うと大変なので、生まれたばかりの赤ちゃん連れ以外は、外でごはんを食べてもらっていました。

でも、乾草を入れた草架の周りは、牛たちが歩き回るので泥んこになり、かわいそうです。また、力の強い大きな牛が独り占めしようとするので、小さい子たちはゆっくり食べていられません。

先日、大きな牛の横で背伸びしてもくもくと乾草を食べるルーシーが、大変な目にあいました。

子牛が泣いているのに気付いたJが、草架のところまで見に行くと、頭が抜けなくなったルーシーがじたばたしていました。わざわざ牛が頭を入れないようにしてあるところに、子牛だから入っちゃったわけです。入ったんだから抜けないはずはない、と痛くないように気をつけながら耳を一つずつ出して、どうにか抜けました。

幸い、すぐに気が付いたから良かったものの、知らずにいたら大変なことになっていたでしょう。ルーシーもこれにこりて、もうこんなところに頭を入れなければ良いけれど、とちょっと心配でした。

数日後、たまたま側を通った時、念のために草架の周りを見てみると、ルーシーの体だけがありました。

前と同じ所で、頭は草架の中で乾草に埋まってました。頭が抜けないのに気付いていなかったのか、どうせ私達が出してくれる、と思っていたのか、泣くことも、じたばたすることもなく、ただそこに突っ立っていました。急いでJおじさんに通報です。

ルーシーの方はもう慣れたもので、怖がりもせずに、頭を出してもらうのを待っていました。Jおじさんも、コツがわかったようで、難なく救助できました。だからと言って、こんなことを毎日されたら困ります。

と言うことで、草架はやめて、ボラン食堂の開店です。

母牛たちは、毎年のことなので、多少場所が変わっても、おとなしく席に付いてくれます。去年経験済みのジュリーまでは、まるで毎日やってるようにすんなりつながってくれます。

ところが、月齢で言うと次のランくんが、とんでもない暴れ方をしてくれました。

去年、何度もママ(ジゼル)の横につないだので、この子は大丈夫だと思っていたのに。予想に反して、ランくんは怖がりでした。

初日は大暴れ。2日目は壁をよじ登ろうとして餌箱を破壊。3日目からは落ち着いたものの、未だにまともにつながってくれません。

それにひきかえ、リュリュくん、らなちゃん、りらちゃんのかわいいこと。ちょっとおしりを押さえておくだけで、チェーンを首にかけさせてくれます。

そして、もう一頭手がかかるのがりりーです。

生まれた時からこの子は神経質だとわかっていたので、予想通りです。赤ちゃんの時に下痢をして、薬を飲ませようとしたら、餌箱に飛び込んだ子です。動きが取れなくなったのを利用して、口を開けて飲ませたけど・・・。

はたして、この二頭の怖がりがまともな牛になれるかどうか。(続く)
(写真は、まさおと新米ママ、ダネット。)
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古いピアノ



古い牛:本文とは関係なし

一週間ほど前から(依然として工事中の)家に、古いピアノが来ました。

これから家の中の壁を塗るので、じゃまになるものは全てまとめて、使わないものは捨てたばかりなのに。
すごく場所を取ります。グランドピアノだから。

私が県で一番大きい街にバスで行くと、どうしても前を通る楽器屋さんがあって、もう何年も前から、カワイの白いグランドピアノが置いてありました。『ああ、ピアノもいいなぁ。』といつも見ていました。

良くある話ですが、私も、小さい時ピアノを習いたかったけれど、ピアノなんて買えないからダメ、と言われた一人です。そうして、ピアノを始める時期を逃してしまい、大きくなってからやっとハモンドオルガンを習い始めた、というわけです。

ボラン農場に引っ越す前、私は中古で買ったハモンドオルガンを持ってました。それを親戚の家に預けてあったのですが、その家に雷が落ちて、電化製品全てダメに。私のハモンドオルガンも焦げて、廃棄するしかありませんでした。

だから、新しい家ができたらまた中古のハモンドでも、と思っていたのですが、今は骨董品のハモンドオルガンしかないようで、お値段も私には手が出ないほど高いし、メンテナンスなんてどうするのよ、とかあって、あまり実現できそうにありませんでした。

じゃあ、この際、ピアノにしよう、と決めていました。

そうしているうちに、家はなかなか完成せず、白いグランドピアノも誰かに買われたようです。

そこに、急に降って湧いた古いグランドピアノの話。ワケあり物件なので、ここではお話しできないのですが、引き取る人がいなければ、その場で壊して金属だけ回収する、という運命でした。

クラッシック音楽愛好者のJや、ピアノが欲しい私が、それを放っておく訳がありません。

決める前に、あの楽器屋さんに行って、修理費がどれ位かかるものか訊きに行きました。やっぱり、あまり古いものは修理が高く付くので、それよりももっと新しい中古または安い新品を買った方が良いのでは、と言うことでした。その時に、中古のピアノをいろいろ触らせてもらって、『ねっ、最近のピアノって良い音でしょ。』とお店のマダム。Jは、あの古いピアノをたたいてみたので、マダムの意見に賛成でした。でも、私は・・・。

もっと新しいのを買った方が安く付く、と言われて、しばし迷ったのですが、答えは・・・、

古いピアノ!

1927年にドイツの職人さんたちが一生懸命作ったピアノです。それを買ってもらった子(大人かも知れないけど)が大喜びした顔を想像すると、絶対にこれを壊してはいけない、と思ったのです。

私達が運送費を払って、タダ同然で譲ってもらいました。そして、先週、修理の見積りも兼ねて、調律師さんに来てもらいました。ずっと長い間調律されていないピアノなので、その日は大まかに、月曜日にもう一度調律してもらいます。

そう、調律できるんです! 弾けるんです!

もちろん、ちゃんとした修理をするともっとお金がかかりますが、それは、また少しずつしてもらいます。その修理費に運送費を足しても、お店で見せてもらった一番安いピアノの5分の1。ホッとしました。

あれから、ヒマを見つけてはピアノをたたいてるJおじさん。私が《ド》を教えてやったら『えっ、なんでそんなすぐに《ド》がわかるの?』と驚いたド初心者ですが、なんか勝手に耳で覚えた曲を弾いてます。もしかしたら天才かも。

はじめは、もしかしたらこのピアノ、呪われてるかも、と心配していたJだけど、壊される運命から救ってやった私達を呪ったら、私たちの方こそ呪ってやる、と言うことにしました。

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