
おとといの日曜日、羊飼いジョンさんちにいなりをお迎えに行きました。
いなり始め9頭の去勢くんたち。今は牧場の真ん中を残して、その周囲を遠くまで行けるようにしてあるので、見つけるのに時間がかかりそう、と思っていたら・・・
家畜運搬トレーラーを出荷柵前に配置しているうちに、大きい順に1列に並んで、わさわさと出荷柵の中まで入って来ました。
きっと、おなじみのトレーラーの音が聞こえるところにいたのでしょう。トレーラーに乗るとお家に帰れる、と思っているみたいで、乗り遅れまい、ということでしょうか。
みんなの羨望のもと、いなりくんが乗車。
大きくなり過ぎて、トレーラーからはみ出しそうでした。去勢は、3歳を過ぎるとおそろしく大きくなります。
ボラン農場に着くと、あらかじめ並木道沿いの牧区に移動していた女の子たち(と子供たち)が、大騒ぎでいなりくんを迎えました。
こんなに大きな牛を見たことのない子牛たちは、いつまでも、いなりくんを取り巻いて眺めていました。
次の日は、いなりくん出発の日でした。
(お肉をご予約いただいているお客様へ。今回は、特別なご注文で、恐れ入りますが、直接販売はありません。次回販売分は、7月1日からの予定で、6月中旬頃ご案内いたします。)
ボラン農場始まって以来、初めてお肉屋さんに買い取っていただくことになり、いつもより入念な出荷準備でした。
できるだけストレスのないおいしいお肉になるように、というお肉屋さんの計らいで、いなりくんは、最高の条件で大切に大切に運ばれて行きました。
いなりくんが乗ったトラックが並木道を通って出て行くと、お母さん牛たち、子牛たち全員が(マルキーズさえも)それを追って走り出し、口々にお別れの言葉をかけていました。
その騒ぎにまぎれて、私も《バイバイ、いなり !》

(いなりのママ、ふぶきと)
スポンサーサイト

5月20日は、マルキーズの公式の誕生日。生まれて10日目頃、まだ子牛登録をしていない時に買って来たので、正確な誕生日はわかりません。
まあ、とにかく、マルキーズが20歳のお誕生日を迎えることができて、おめでたいことです。
もう20年前のことですから、マルキーズがはじめてボラン農場に来た日のことなど、すっかり忘れてしまいましたが、トラックに乗せて来てくれたRさんが、本当にこんな子牛を飼うのか、と心配したのは覚えています。マルキーズは、それほど暴れん坊で、すばしっこい子牛だったからです。
最初は哺乳瓶、慣れたら哺乳バケツでミルクを飲ませたのですが、ミルクは飲んでやるけど、馴れ馴れしくするなよ、という態度を見せる子でした。だから、名前が、マルキーズ=公爵夫人、なんです。
本当にかわいげがなく、呼んでも知らん顔、スキがあったら逃げてやる、寄るな、触るな、という子でしたが、歳を取るに従って、だんだん賢いお母さんになってくれました。
近年は、ますますかわいいばあさんになって、みんなを移動させたい時など、本当に役に立ちます。マルキーズに『みんな連れて、あそこに行ってね。』と言うだけで、理解して、行動してくれますから。そう言った私自身がびっくりします。あまりにも良くわかってくれるので、マルキーズがいなくなったらどうする? といつも思います。
短命と言われていたアルモリカン種のマルキーズが、20歳になった今も元気にしているなんて、想像もできませんでした。子牛は全部で14頭。そのうち、オスはたったの4頭で、最後の三姉妹、ふぶき、げんき、いちまは、私の好みの牛です。
先日、マルキーズが発情した時は『もう一頭?』と一瞬Jと顔を見合わせました。いえいえ、危険なことはさせません。いくら超安産で、子育て上手なマルキーズとは言っても、もう無理でしょう。
ボラン農場の現在のメンバー全員にとって、お母さん、または、おばあちゃん、または、ひいばあちゃん、または、ひいひいばあちゃんのマルキーズ。ボラン農場で1日でも長く幸せな日々を送って欲しいものです。

久々に朝から気持ちよく晴れた昨日、去勢くんたちに会いに、ジョンさんちへ。
これから来年の春にかけて出荷になる、イニシャル《I》(2013年生れ)の4頭。きれいに並ぶと、みんなほとんど同じ大きさに。
3月に見に行った時から、かなり変化がありました。
写真先頭:胴が長くて、おいしそうだった《イノックス》が、四角に!
二番目:4頭の中で一番若くて、ひょろっと背が高かった《イジドール》が、充実傾向、
三番目:痩せていて、来年まで待たないとダメかなと思っていた《イマジン》が太った、
四番目:子牛の時から群を抜いて立派だった《いなり》がみんなに追い付かれた。
やっぱり、アルモリカン去勢は3才完成です。
Jおじさんによると、全員しっぽの付け根の両側に脂肪のかたまり(ラクダのこぶのようなもの?)ができていて、脂肪太りの状態だそうです。それが、よけいな脂肪ではなくて、赤身のサシになっていれば良いのですが・・・。
前回販売した《iマック》くんは、私としては理想的なお肉になりました。それ以前は雌牛が続き、それはそれでおいしいかったのですが、他の種類の牛と比べて大きな特徴はありませんでした。でも、3才になったアルモリカン去勢は、これも私の勝手な意見ですが、他にまねのできないお肉になります。
ボラン農場のアルモリカンは、野草で育ちます。本当は、冬の草が生えない時にビーツを食べさせてやれると良いのですが、今のところ年中草(+自家製乾草)だけです。タネを蒔いた草ではなくて、自然に生える野草です。すなわち、アルモリカンは、耕すことができない斜面や、石ころだらけのところに生える雑草を除草してくれる牛なんです。
環境にも良くて、お金もかからない方法で、赤身と脂身のバランスが取れたおいしいお肉ができる、なんて画期的じゃないですか。
私としては、今後も、アルモリカンらしいそんなお肉をコンスタントに提供したい、と思います。
でも、そのためには、今まで以上の数のお客様が必要になります。
今までは、体の小さなメスが多かったので、一頭で取れるお肉の量は160〜180キロ、箱にすると16〜18箱で、常連のお客様だけですぐに売り切れる状態でした。
ところが、今後、体の大きい去勢牛が続くと、一度に24箱、場合によっては30箱近く売らないといけません。それだけの数があると、今までのお客様だけでは売れ残ってしまいます。
ボラン農場では、お客様に販売開始日をお知らせして、予約していただき、ご都合の良い日(販売開始日から10日以内)に取りに来ていただいています。
お近くにお住まいの方、ブルターニュ方面にいらっしゃる機会のある方で、アルモリカン牛肉を食べてみたい方。ぜひ、
こちら(仏語) またはこのコメント欄からご連絡ください。
ボラン農場コマーシャルでした。

今朝もうっすらと霜が降りたボラン農場です。もう5月なのに。
寒いなりにも、木々は日に日に緑を増して、春はちゃんと来てるんだ、と信じるしかありません。
私がうそみたいに忙しくしていた間、牛たちは、南側牧草地の最南端の牧区を掃除して、昨日からボラン農場で一番大きい《大畑》に(上の写真)。
子牛たちは、心配していたとおり下痢気味で、おしりがちょっと汚れてるけど、みんな元気なので良いとしましょう。
先週、削蹄師さんに来てもらって、爪切りをしてもらってから、ちょっと元気がないマルキーズ。たくさん削ったので、もしも歩きにくかったら、もう一度見に来る、と削蹄師さんは言ってくれたけれど、それほどのこともないし。まあ、歳が歳だから、毎日子牛たちと同じくらい注意して見ています。
来週から気温が上がりそうだけど、牛たちが《大畑》の草を食べている間に、よその草が伸びてくれますように。
| ホーム |