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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

終わりよければ全てよし



8月も15日を過ぎ、夏はもう完全に終わってしまったボラン農場です。

牛たちは、とうとう南側の牧草地南端の牧区まで来ました。北側の草がもう少し伸びるまで、そこで待っていてもらうために、草架を入れました。

この夏は、乾草収穫が遅くなった分、量がたくさん穫れたので、牛たちに好きなだけ乾草を食べさせられます。

一時、ジョンさんち牧場の除草にかり出されていたお馬さんたちも、ボラン農場に戻り、通常通り牛たちの後を追って、牛たちの食べ残しを片付けています。

新入りのにゃんこちゃんは、借りて来た猫状態が終り、やんちゃし放題。それにおびえたのか、オスカルが一時体調を崩して、ごはんを一切拒否。お腹のマッサージをしたり、ホメオパシーのレメデイーをやったり、いろいろ試したけれど、効果テキメンだったのは、高級ドッグフード。おいしいごはんのおかげで、どうにかご機嫌を取り戻しました。

さて、これで終わってくれれば全てよし、なのは、らなちゃんのことです。

6月に希望しないお父さんのタネを付けられたらなちゃん。その話はここ。

べつに願っていたわけではないけれど、今ごろになって発情!

6月の時に付かなかったわけです。いつもなら人工授精のやり直しは気が重く、計画上もう種付けは全て終了のはずで、牛たちは牛舎から遠い所に行ってしまったので、時間と手間がかかります。

でも、今回だけは、笑顔でらなちゃんをボラン農場南端の牧草地までお迎えに行きました。らなちゃん用に注文していたディアウリグ(種雄牛の名前)は、あれからちゃんと届いて、授精師さんのボンペに入っています。

らなちゃんは、ひとりだけ群れを離れて、私たちについて来るのをイヤがったので、すぐ近くでぶらぶらしていたダネットもいっしょに捕まえて、牛舎まで連れて来ました。ダネットは、息子のまさおがいなくて、時々大声で抗議したけれど、授精師さんが早めに来てくれたので、その叫び声もガマンできる範囲でした。

6月の時はけっこう暴れたらしいらなちゃん。今回はおとなしいものでした。そう言えば、らなちゃんと同い年のリラも、リリーも、7月に人工授精した時、驚くほどおとなしかった。と言うことは、らなちゃんが6月に発情した時は、人工授精のタイミングが遅すぎて、本人もあまりその気がなく (?) 、そのせいで付かなかったのかも知れません。

同い年のLトリオで一番年上のらなちゃんだけ、みんなより遅くお産をすることになるけれど、それは良いとしましょう。気に入らない父親の子を産まれるより、ずっとマシです。


ボラン農場では、お産は2才になったらすぐ、で計画しています。24ヵ月で出産は、世間よりずいぶん早いです。

なぜそうするか、と言うと、アルモリカンは、たとえ野草だけ食べさせていても、脂肪太りになりやすいからです。

もちろん、生まれつき太りやすい子と、そうでない子で違いはありますが、24ヵ月以降なるべく早くお産をさせると、太り過ぎの予防になります。

太り過ぎのアルモリカンは、発情しない(またはわからない)、発情してもなかなかタネが付かない、いつまでたってもタネが付かないのでお肉にしたら、脂身ばかりで歩留り最悪、の運命をたどります。

今年、2才で出産したダネットは、まだ体が小さいままけど、これから5才まで成長するので心配ありません。同じくイッチーは、太り気味だったけれど、今はいい感じになりました。

反対に、ダネットの7ヵ月後に生まれたジュリーは、タネ付けの時期を逃してしまい、今年の12月にお産の予定。ダネットから一周遅れて、29ヵ月でママになります。ジュリーははっきり言ってデブ。小さい時は母親のげんきに似て、スリムで骨細だったように記憶しているのに、今は、骨太のぶよぶよ牛になってしまいました。

いくら性格は良くても、私は太った牛は絶対にイヤ。ジュリーにしろ、ジ○○にしろ、希望者がいたら売ろう、とJに言っても、答えは《No!》。そちらは私が説得しますから、どなたか、太った牛が好みの方、いらっしゃいませんか。
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片目子牛3頭



きっとあそこの牧場で頼めば一本ぐらい譲ってもらえるだろう、と思っていた角膜炎の特効薬。
結局、そこのお家では常備していませんでした。そのお薬の本来の用途である乳房炎は、予防策に効果があって、最近は治療することが無くなったそうです。

あてが外れて、私たちは完全に行き詰まってしまいました。
ももたろうの左目はいっこうに良くならない。どうしよう、とか言ってる間に、

まさおが目をしょぼしょぼさせてる! ルーも涙が止まらない!!

という事態に。

こうなったら、12本入りで高かろうがとにかく特効薬、とJおじさんは、獣医さん病院に走りました。

小ちゃなハエが媒介する感染性の角膜炎ですから、ももたろうだけではなく、他の子牛にうつる可能性はありでした。治療が必要な子牛三頭とそれぞれのおかあさんを牛舎に入れる前に、念のため子牛の全検を行いました。

みよちゃんとルーシーは、ちょっと目が赤いだけで大丈夫。マックスは全く平気。こういうのも、抵抗力が強いのと弱いのがいるのでしょうか。

ということで、三頭の子牛の治療が始まりました。
薬を塗るために1日に二回牛舎につなぐので、三組の母子は、群れから離して牛舎近くの牧区で生活です。

当初、まさおとルーは大したことはないから、2〜3回で完治するだろう、と思ったのは大まちがいでした。結局、一番症状がひどかったももたろうも含めて、全員しっかり一週間治療を受けました。

まず、目の周りを清潔にして、薬を塗って、ハエ除けのラベンダーを頭にすり込んで、ホメオパシーのレメディーを飲ませました。そのために、1日に二回総勢6頭を牛舎に入れて、つないで、終わったら牧草地に戻して、牛舎を掃除して、と手間がかかります。でも、おかげで子牛3頭ともおとなしくつながれる教育ができてしまいました。

その結果、まさおはすっきり完治。ももたろうも、角膜に白い斑点が残ったけど、涙を流さなくなり、治療終了。斑点は、時間がかかるだろうけれど、消えて行くはずです。

ただ、ルーだけは、一週間治療しても、良くならず(悪くもならず)、全く効果なし。

目に塗るのは抗生物質なので、ひとまず一週間で止めて様子を観ることにしました。


追記:それから一週間、朝晩ルーの目を見続けたところ、全く良くならないので、もう一度治療を再開。

ルーとママのジゼルを捕まえて、牛舎裏の小さな牧草地に入れて、1日に二回治療して、今度は3日目に効果が確認できて、みんなの所に帰りました。

いつの間になったのか、ルーもももたろうのように角膜に斑点ができたけれど、ほんの少しだからそのうちに消えるでしょう。

この数年、子牛の角膜炎はなかったのに、今年はさんざんでした。
12本入りの特効薬は、なんと6本使ってしまいました。そんなことなら、最初からおとなしく一箱買っておけば良かったのに・・・。残りは、あと2年(1年ではなく)使えるので、当分安心です。