さあ、いよいよ寒くなってきた、と思ったら、またお天気が悪くなり、ごくふつうの気温に戻ったボラン農場です。
今日は、新年早々去勢牛の出荷。でも、昨日まで、誰を行かせるか決めていませんでした。
順番で行くと、今月で3歳になる、あのももたろうくん。夏にジョンさんち牧場に行った時は、ももくんだけ他の同年代の去勢たちに比べてやせていたので、この子はみんなより後かな、と思っていました。
ところが、10月に見に行くと、やっぱり、まさおくんが一番大きかったけれど、ももくんもけっこう良い体型に。

その時、もう一頭11月に出荷を予定していて、候補にあげていたマックスくんよりも、ももくんの方が良いかな、とか・・・。
今回の行き先は、パリのレストラン。もう何年も前に、レストラン開店に先がけ、生産者の顔が見えるおいしい食材を求めてフランス中を旅した方たちです。その時ボラン農場にも立ち寄られて、残ったもので良いから、と何度もお声をかけていただいたけれど、うちのアルモリカン牛各部位詰め合わせは、レストランでは使いづらく、実現しないままになっていました。
そこに、夏ごろ、そのレストランの方から、枝肉の半分ならお店の冷蔵庫に入るから、とお話が出て、残り半分の引き取ってくれるレストランを見つけるべく、私が営業さんをやりました。でも、慣れないことはやめといた方が良かったです。あちこちツテを探し、電話をし、メールを送りまくったけれど、全く売れず。
やっぱりダメか、とがっかりしていたところ、レストランの方から、知り合いのレストランと枝肉を半分ずつ分けるから、と連絡が。なんでも、アルモリカン牛の宣伝をしてくださったとかで、こんなにありがたい話はありません。何がなんでもアルモリカン牛をお届けしなくては、といつもお世話になっていると畜場とも連絡を取って、準備を進めて来ました。
当初11月の予定が遅れて、と畜場が混みあう12月を避けて、いよいよ今日が出荷の日。さて、だれを連れて行こうか、というところに戻ります。
月齢を考えると、ももたろうくんを先に出した方が良い。- 次のボラン農場でのお肉の詰め合わせ販売は3月の予定で、それまでももくんを待たせると、400キロをはるかに超える枝肉になって、冷蔵庫に入りきれず困る可能性が。
今回のお客様は、なるべくサシの入ったお肉を希望されてるから、マックスくんの方が良い。- マックスくんの兄、iマックくん、は、サシがビシビシ(フランスの基準では)入ってたし、同じく兄のリュリュくんも、けっこう入っていたとか。ももくんは巻き毛で、ママから DM(ブタ尻)遺伝子をもらった疑いがあるので、サシなしの真っ赤なお肉の可能性が。
と、ほんとに最後まで迷ったのですが、Jおじさんの一声で決定。
『マックスは問題牛やねん。柵を壊して、みんなを連れて外に出るのがあいつや。』
マックスくんをトレーラーに乗せて、ジョンさんち牧場からボラン農場に戻った時には、もう暗くなっていました。
マックスくんは牛舎のおんまさん用ボックスに。牛舎側に母牛全員と子牛たちがつながれているのを見て、安心するかな、と思ったら、他のみんなが牧草地帰って行く時、事件は起りました。
マックスくんは、みんなといっしょに行きたくて、ボックスの柵(横木)を乗り越えそうに。
おんまさんボックスの1メートルほどの壁より上は、横木が数本通ってるだけです。一番上の横木は、マックスくんが上を向いた時の鼻の高さ。それを乗り越えようと、後ろ脚で立って、顔を外に出して・・・。
そう簡単には飛び越えられないだろうけど、失敗してケガをする恐れがあります。それで、あわてて、そこらにあるものでバリケード。ちょうどサイズの合う金網があったので、それを釘で打ち付けて、とにかく顔を外に出せないようにしました。
他の牛たちが行ってしまって、牛舎の扉を閉めた後も、何度も後ろ脚で立って外に出ようとしたマックスくん。ジョンさん牧場の柵を乗り越えて、壊してしまうのも納得です。
今まで、出荷前夜の去勢牛はもちろん、もっと背の高いおんまさん(おかずくん)さえ、ボックスから外に出ようとしたことは一度もありません。おかげで、今回、ボックスのもう少し上まで横木を付けた方が良いのがわかりましたが。
きっと、マックスくんは、自由がないとイヤだったんだよね。子牛の時はおとなしかったんで、全く予期してなかったけど。そこまで閉じ込められるのが嫌いな性格だとわかっていれば、もうちょっと早めに出荷してたのに。
去勢くんたちは、1歳を過ぎるとジョンさんち牧場に行ってしまうので、どんな性格に育っているのか、私にはわかりません。それがすごく残念で、行き届かないところだと私は思います。これは、早いうちに何とかしたい課題の一つです。
スキさえあれば、必死に逃げ出そうとするマックスくん。心配していたわりには、今朝は、素直にトレーラーに乗ってくれました。トレーラーの小さな窓から鼻を出していたので、手を振って、『マックスくん、バイバイ。』
あとは、おいしいお肉になってくれて、レストランの方たちに気に入ってもらえることを祈るばかりです。
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