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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

ずっと友達:プルートとポパイ

2Veaux 190426

本格的な春のスタートを告げる復活祭も過ぎ、日に日に緑の増すボラン農場です。

暑い日が数日続いたあと、また3月のような晴れたり降ったりのお天気に後戻り。牛舎でお泊りだった母子二組を、他のみんながいる放牧地に放りこんだとたん寒くなったけど、子牛たちは元気にしています。

上の写真、こっちを向いてるのがいちま姐さんの息子、プルート (頭文字はPですのでおまちがいないように)。背が高くて、細長い子です。おでこに斑点があるのが、ポパイ。プルートに比べると小柄に見えるけど、しっかりした体格の子です。どちらも女の子みたいに顔が細いのが安産の秘訣でしょうか。

ごらんのように、いつもいつもいっしょの大の仲良し。

そこに、ペプシー(愛称ペップス)が加わるともう大変。とにかくかわいい。

そして、かけっこなんて始まるともっと大変。3頭で猛烈なスピードで走る、走る。よくあれで柵の外に出てしまわないわ。こんなのに逃げられたら、捕まえるのはとうてい無理ですから。

そんな子牛たち。一生の(短いけど)お友達同士です。
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いちま姐さんの家系

4月になり、適当に雨が降ったり、たまに晴れたりのボラン農場です。納屋にはツバメが戻って来たそうだけど(私は見てない)、朝は霜が降りるほど寒くて、本格的な春はまだまだ先のこと。

そんな朝、南の“大畑”にいる牛たちを見に行くと、いちま姐さんがそわそわ歩き回っては、時々何か叫んでます。他の牛たちはのんびり朝ごはんを食べてるのに。

まるで何かを探してるように、2ヘクタール以上ある放牧地を、縦に、斜めに、歩きっぱなし。発情したみたいだけど、そんなはずありません。出産予定日が数日後だから、産気づいた!

子牛が生まれたら牛舎まで連れて行くので、その用意を済ませ、午前中に何度も見に行ったけど、いちまは歩いてばかりで、叫ぶばかり。見たところまだ破水もしていないようで、座ったら(伏せたら)産道を確認しようと思っても、ひたすら歩くばかりで、止まってもくれません。

昔、ファンタがダンボくんを産んだときもこんなだったよね。逆子だったけど。去年、ルーシーが前の晩から落ち着きがなくて、翌朝見に行ったら、ヘンなとこに入り込んでたよね。死産だったけど。・・・とイヤな予感しかしません。

あんなに叫ぶのはどこか具合が悪いのだから、すぐに産まないとしても牛舎裏まで連れて行こう、と決断したのが、午後2時ごろ。Jおじさんとお迎えに行ったら、すんなり来てくれました。

牛舎裏の小さな放牧地(運動場程度)に入れても、歩くのと叫ぶのは変わりません。でも、狭い場所だし、傾斜も大したことないので、“大畑”で歩き回るよりはマシだけど、やっぱり、いくら待っても座ってくれません。

時間が経つにつれて、本人(牛)はいいかげん疲れてるだろうし、難産で私たちの手に負えないようなことになったらどうしよう、と心配が募るばかり。

7時をまわった頃、ひとつ上の放牧地で木こり仕事(もうやってます)をしていたJおじさんからメッセージが :

『いきみ始めたで。』

急いで見に行くと、いちまは立ったままで、特にいきんでもいなかったけど、歩き回るのはやめてました。産道から白いもの(子牛の爪)が少しだけ見えていたけれど、それが前足(正常)なのか、後ろ足(逆子)なのか、判断できませんでした。

もう少ししたら、また見に来よう、と30分位で戻ると、

いちまは、子牛を舐めてるところでした。

なに、あの大騒ぎは!と思ったけれど、安産だったから良いとしましょう。だいたい、あのいちまが難産なんてありえない。マルキーズの子ですから。今回5産目でいつも安産。それに今まで人工授精のストローを1本も無駄にしたことがない優秀な牛です。

その繁殖能力は、長女、次女(あとは2頭は去勢)にも受け継がれて、どちらも今のところ安産で、ストロー1本で子牛一頭産んでます。

こんなに優秀な牛なんだけど、性格がちょっとね。背がずば抜けて高いせいか、偉そうにして、自分が先頭でないと気にくわないたちです。ほんとは、姉のげんきが怖くて、頭が上がらないんだけど。

いちま姐さんの誇らしげな姿をご覧ください。子牛は、母譲りの脚の長〜い男の子です。

Ichima 190413

その次の日、いちまと同じ日に人工授精した次女、みよこ、が知らないうちに出産していて、大あわて。

午後4時ごろ見に行ったときはふつうにしていたのに、8時に念のためもう一度見に行ったら、小さい子牛がみよこのおっぱい飲んでました。ちょうど暗くなる頃は、牛たち、特に若い子たちが興奮しやすい時間で大騒ぎになったけど、どうにか母子を群れから離して牛舎に入れることができました。

放牧地から出してもらえず、抗議する他の牛たちの先頭に立ってブーブー言ってたのは、あの小さな小さなペプシーでした。末恐ろしい子です。