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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

暑さ=発情 ?

Grand champ 190628

昨日はとうとう30℃を超えたボラン農場です。曇り空でカラッとせず、風もなくて、暑苦しいので、午後はオスカルと家に閉じこもってました。

今日もまだ暑いけれど、昨日ほどでもなく、明日からは平常の気温に戻るそうです。

Jおじさんは、乾草作りの真っただ中。トラクターのフロントグラスを開けて走る(エアコンなんて付いてない)ので、暑くても平気だそうです。

さて、今日のタイトル。どちらもフランス語では同じ言葉 “Chaleur“ で、暑いと発情しやすいんでしょうか。みみちゃんの発情の話はしましたが、このところ、みんな一斉に・・・。

まず、夏至の日にルーシーさん。ペップスちゃんを産んだ後、ちょっと遅くなったけど、ようやく発情。発見したのが人工授精午後の部締め切りのすぐ後で、翌日になってしまったけど、どうかな。

ルーシーの人工授精をした日は、オーリーちゃんが発情。これで2回目。サイクルも正常で、15カ月を過ぎるのを待つばかり。

その数日後、リリーさんをはじめ、クロシェットちゃん、いちま姐さんが次々に発情。リリーは、もう目付きだけでわかったけど、大げさに興奮するのがいる時は、他に発情したのがいてもわかりにくいです。リリーとクロシェットは、まだ早すぎるけど、いちまは今回種付け可能。でも、やり損ねました。

次はみみちゃんで、昨日はみよこさん。

10時ごろセンターに電話して、お昼ごろみよこを牛舎に入れておく予定だったのが、授精師さんから、30分後に来る、と連絡が。

Jおじさんは、刈った草をかき混ぜに行こうとしていたところでした。大急ぎで牛舎の用意をして、牛たちがいる“大畑“に駆けつけると、みよこさん、放牧地の入り口すぐ前で、お友達のヌテラとイチャイチャ。即、みよこだけ外に出し、息子のポパイは置きざりにして、牛舎まで走らせました。

その間、5分程度。牛を一頭だけ放牧地から牛舎に入れるまでの速さ、新記録です。

授精師さんが、例外的にすぐに来てくれたおかげで、午後の暑い時間に、みよこを牛舎に閉じ込めておく必要はありませんでした。タイミングも良かったし、何よりも、Jおじさんから『ええ牛になったやん。』とお褒めの言葉をもらったのは、みよこにとってラッキーでした。

これで、この冬はもうボラン農場にいない牛リストの 1番と2番が確定しました。
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霧のち夏

Grand champ 201906

よそでは、今まで6月にこんなに暑くなったことがない、というのに、雨が降ったり、霧が出たりで、涼しい顔をしていたボラン農場です。

天気予報によると、これからしばらくは晴れまたは曇り。昨日の最高気温はまだ22℃だったけど、今日はいよいよ30℃。(30℃に達したかどうかは不明。)

そんなわけで、待ちに待った草の収穫開始です。もう昨日からご近所中トラクター総出で、朝から晩まで刈取機の音が聞こえます。

Jおじさんも、遅ればせながら、今日の午後(やっと)草刈りを開始すべくジョンさんち牧場に向かいました。

まあ、うちは牛(や馬)の頭数が少ないし、120センチのロールが90個も獲れれば充分。天気予報にあれだけお日さまが並んでるんだから、あわてる必要なし。

さて、暑くなったと同時に発情して、今朝から大声で叫び出したみみ(本名おうみ)ちゃん。土手の向こうにお隣のリムーザンがいるので、その前をうろうろしては呼びかけてました。(お隣の牛は去勢と未経産なんだけど・・・。)

これで一年生の女の子3頭とも発情を確認することができました。実際に種付けしてみないと、本当に繁殖能力があるかどうかわからないけど、まあ、第一段階はクリア。今からサイクルをチェックしておいて、15カ月を過ぎたらトライです。

午前中あんなに騒いでたみみちゃんも、午後になると急におとなしく。暑さのせいでしょうか。

今、ボラン農場の牛たちがいるのは、2ヘクタールちょっとの“大畑“。ちょっと広すぎて使いにくいけれど(1ヘクタール前後がベスト)、周囲の土手に木が植わってるので、一日中どこかが日陰。牛たちは木陰に寝そべってゆっくり反芻。まだ赤ちゃんの子牛たちもそれをやるので、笑ってしまいます。

牛は、もともとは、森の動物。牛の放牧は必ず木のあるところで。道路ぎわで広告の看板の陰に集まる牛なんて、あまりにもかわいそう。(実話です。)

格付けと味の関係 : マルセルくん出発

Marcel 190617

話は前後しますが、リラさん出発の前日にマルセルくんを出荷しました。

立派な角のマルセルくん。本当はもっとハンサムで、見た目がとってもきれいな牛・・・でした。前日にジョンさんち牧場から連れて来て、翌朝トレーラーに乗って出発するまで(そのあとも)ずっとおとなしかった、本当に良い牛でした。

年齢順で行けば、マリオくんの番だったけれど、マルセルくんの方がずっと大きかったので、先に行ってもらいました。まだ30ヶ月に数日足りない若さですが、同級生の去勢があと5頭もいるので、待ってられません。

まあ、夏はバーベキューだとか焼いて食べるのがメインだから、味わいよりも柔らかさ優先でいいか、ということで。

さて、枝肉の結果と言うと、

364,4キロ、R 3。

驚きの結果です。

30ヶ月に満たないので多分軽いだろう、と思っていたら、私たちが狙う360キロ、ありました。このところ、なぜか36ヶ月を待たなくても、大きくなるのが早くなっています。草しか食べさせてないのに。

本当に、ボラン農場の牛たちは、牧場に自然に生える草とそれを刈って乾草にしたものしか食べていません。赤ちゃんの時からそうです。(母乳以外は。)少しぐらい穀物を与えてるでしょう、と思われるかも知れませんが、全くなしです。やっても食べません。食べたことがないので、おいしそうとも思いません。もちろん(お肉をまずくする)サイレージも知りません。

本当に、野原の草だけで大きくなるんです。

それも、Rの3。

某カリスマお肉屋さんが理想とする枝肉です。

この(良い方から順に)E - U - R - O - P のクラス分けは、おしりの肉付きを基準としています。おしりが異常に発達したベルジアンブルーを思い浮かべてください。あれが“E“です。ブロンダキテーヌやリムーザン(なんでムが伸びるんでしょうか)で、でっかいおしり!と言うと“U“でしょう。反対に、乳牛のおしりだと、せいぜい“O“。

だから、乳肉両用種のアルモリカンで“R“は優秀です。ちなみに、ダブルマッスル(ブタ尻)め牛のガラ(もちろん未経産)でさえ“R+“でした。

1 ~ 5の数字の方は、脂身の割合です。脂身が多いほど数字が大きくなります。“3“は、フランス人の感覚で、少な過ぎず、多過ぎず、というところでしょうか。

アルモリカンで“3“は、脂身が少ない方で、“5“まで行くことも稀ではありません。“5“は業界では嫌われます。捨てるとこばかりで歩留まりが非常に悪いため。

でも、お肉のおいしさと格付けは比例しません。

前回のももたろうくんも、その前のまさおくんも、O 3。どちらも納得のおいしさでした。特に、ももたろうくんのとろける脂身が甘くておいしくて、いったいどうなってるん?と思ったほど。

そのもう一つ前のだんぼくんは、R 4だったけれど、ごくふつうにおいしかっただけで、特に記憶に残りませんでした。

要するに、EUROP格付けは、枝肉取り引きの値段を決める基準でしかありません。業界は、枝肉を製品にする段階で、できるだけ多くの利益を効率良く得るために、高く売れる部位が大量に取れ、余分な脂身のない枝肉を好みます。もちろん、硬いお肉なんて論外ですから(でも、スーパーのお肉は硬いことが多いよね)、味よりも柔らかさ(=若い牛)優先なんでしょうね。

業界から見ると、非常識なことばかりのボラン農場。今後も、肉専用種ではないアルモリカンが、環境にやさしく、かつフランスで一番おいしいお肉である、と信じる非常識なスモールファーマーでありたいと思います。

ちなみに、マルセルくんは、本日完売(予約完了)しました。ボラン農場をご支援くださるみなさまに感謝します。

オージーくんの悲劇

雨が続いた後、やっと晴れ間が(ちょっとだけ)出た、ボラン農場です。でも、相変わらず寒いです。

今朝も日の出と同時に泣き出したオージーくん。オージーくんのママが、よその牧場に行っちゃったから。

昨日の朝、Jおじさんに連れられて、いつものトレーラーで出発したリラさん。オージーくんもリラといっしょに牛舎まで来て、おとなしく繫がれ、ごはんを食べてました。

ママがいなくなっても、オージーくんは何も言わず牛舎で寛いでたし、みんながいる放牧地に戻してもこんな感じで, げんきおばさんにしばらくくっついていました。

Pepi Guen Osi 190619
(ペピート - げんき - オージー)

ずっと牛舎にお泊まりだったげんき-ペピート親子も、この機会に放牧地へ。他の牛たちが興味津々でペピートくんを追いかけるんで、息子を見失っては大声で叫ぶげんき。

そんな騒ぎもおさまった夕方。また、大声で泣き叫ぶ牛が。げんきとは違う声です。

見に行くと、子牛たちは全員おっぱいタイム。叫んでるのはオージー。そう、オージーくんのママ、いないもんね。

オージーはもう10ヶ月。もうおっぱいはいらない歳のはずなんだけど・・・。でも、やさしいママがいないとさびしいよね。

そして、それからは泣きっぱなしです。

生まれて間もなくトラブル続きだったオージーくん。こんな話 こんなのも これも

今も、他の一年生に比べて小さいけれど、私の理想とする体型はそのまま。(お腹がちょっと出てるけど。)この試練を乗り越えて、立派な成牛になって欲しいものです。

きっと、リラも行った先の牧場で泣いてることでしょう。あんなにやさしいママだったから。Jおじさんが、リラはデブでアルモリカンの短所の見本、と言うので、手放すことにしたけれど、私は好きな牛でした。

とにかく食いしんぼで、冬のボラン食堂に来る時も、どこかで道草をしていて、先輩や同級生がもう牛舎に入ったのに気が付き、あわてて牛舎に駆けつける姿がめちゃかわいかった。

もうあの姿が見れないと思うとさびしいけれど、確かに、Jおじさんが言うように、リラがいないボラン農場は一段と品格が上がったような・・・。

大きな大きなペピートくん

Guenki Pepito 190614

もう6月も中旬になるのに、相変わらず寒くてパッとしないお天気のボラン農場です。

出産予定日から1週間経っても、いっこうに産みそうになかったげんき姐さん。いよいよその気になって、産みたそうにしてるな、と一日中何度も放牧地に行って監視していたけど、ぜんぜん変化なし。夜中になってやっと生まれたのが、大きな大きな男の子。

ママが大きな声で叫んでくれたので、すぐに駆けつけることができました(真夜中に)。子牛は元気そうだし、ママも子牛を舐めてしっかりめんどうを見ているので、朝までそっとしておくことに。

翌朝、ママといっしょに牛舎に入れようとしたら、ちっとも歩いてくれない子牛ちゃん。いえ、歩けないんじゃなくて、ママについて行く必要性を感じてないみたいで、だんだん離れて行くママをボーッと見てるだけ。

ママは、子牛がついて来ないのであわてて引き返す、で、全く先に進みません。そうしてるうちに、子牛ちゃんはとんでもない方向に行っちゃって、Jおじさんが捕まえて、抱き抱えようとしたけれど、重すぎてダメ。

とにかく動かない(逃げない)子なので、ハーネスを付けて引っ張ったり、おしりを押したりして、やっと牛舎に到着。他の子はみんな、生まれて数時間で、ママに貼り付いてトコトコ牛舎まで来てくれたのに。よっぽどのんびりした性格なんでしょうか。

その重くて持ち上げるのがやっとだった子牛くん。胸囲をはかったら、79センチ。ごく普通です。背が高くて骨格がしっかりしてるから重いのかな。

名前は、ペピート。げんきママの5番目の子で、初めての男の子です。いくらなんでも女の子ばかり続けて5頭はないやろうし、予定日を過ぎていたので、男の子であることを確信して、名前も決めてありました。

ペピートくん、牛舎にいる時はずっとママの横で寝てばかり、お外に行っても寝てばかり。大丈夫かな、と思ってたら、牛舎裏から脱走したようで、ママが大騒ぎ。捕まえに行くべきか見ていたら、猛スピードで柵をくぐって戻って来たので、運動能力は充分そうです。

それにしても、げんきさん。去年は、おうみ(みみ)ちゃんがはるか遠くまでお昼寝に行っても知らん顔してたのに、ペピートくんがちょっと見えなくなっただけで大声で叫んでくれます。

女の子と男の子では母親の態度が変わるのかなぁ。