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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

ある晴れた昼下がり

昨日のことです。とうとう アトム君のドナドナの日が来ました。まだ27ヵ月で 枝肉400キロにはほど遠いのですが、他に適役もいません。人一倍臆病なアトム君。角が大きいせいか このごろは去勢君たちのリーダーになってしまい、他の子たちへの悪影響が心配で 先に行ってもらうことにしました。

私たちが 去勢くんたちがいる羊飼いのジョンさんちに出発したのは 11時頃でした。お迎えが来るのは午後の2時半の予定だったのですが、少し余裕を見て 早めにアトムを出荷柵に入れることにしました。

放牧してある牛を捕まえてそのままお肉にする と言うと驚く方もいらっしゃると思います。牛は《肥育》するんですよね、普通なら。うちでも 枝肉で400キロないともうけが薄いので《肥育》したいのですが、さて 何を食べさせよう ということになります。いろいろ調べた結果 おいしいお肉には《草》が一番だそうです。草なら うちにいっぱい生えています。うちの牛たちは 一年中草(青草)が主食です。冬も雪が積もらない限り草があるので、足りない分を乾草で補う程度です。特にジョンさんちは一頭あたりの面積が広いので 去勢くんたちはほとんど乾草も食べません。

じゃあ、私たちは肥育も草で行おう ということにしました。草だったら放牧地にいろんな種類が生えています。だったら わざわざ牛を牛舎に入れて 草を刈って食べさせるよりも 牛に自分で好きなものを好きなだけ食べてもらおう ということになりました。私たちがずぼらなんですけど、牛にしても きっと 自然の中で自然にしてる方が元気だと思います。(こんなことをしていると、枝肉で400キロに3年以上かかります。)

ジョンさんちに着いて 木の下で寝そべった去勢くんたちを見るなり Jが『これから何が起るか 想像もしてないんや。』と言いました。朝のうちにも 今度から野菜作りに転業しようか と言っていたJです。牛をお肉にするのが よっぽどつらいようです。

時間はたっぷりあるので、去勢くんたちがいた放牧地から出荷柵の前まで しずしずとゆっくり歩かせました。途中 栗の木の下で みんな夢中になって葉っぱを食べ始め 進まなくなってしまいましたが、ある程度お腹に詰め込んだら またゆっくり歩き始めました。去勢くんたちが出荷柵の前の小さな牧草地に入り、後にいた私が柵を閉めると 燕麦の入ったバケツにつられて 年長組の3頭が出荷柵の中に入って行きました。

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いつも 年長組から一歩下がってついて来る 年少組の(でも、大きくなった)アスプロ(左)とブルータス(右)です。出荷柵には入りませんでした。
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その後 年長組が燕麦を食べ、少し落ち着いてから アトム君を柵につなぎました。後の2頭は 外に追い出されました。

この顔(特に目)に見覚えありませんか。イッジーばあちゃんの息子(よく似てません?)アルフォンスです。ボリュームもあり 36ヵ月が楽しみです。
20070905194940.jpg

こちらは つぼみちゃんの子、アルセーヌです。年長組の中では一番若いのに 一番重そうです。Jいわく、《脂肪だらけ》だそうですが 私が見た感じではおいしそうです。
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ひとり取り残されたアトムくん。
20070905195113.jpg

こうして見ると 怖がりで、足くせの悪い牛には見えません。このたれ目と 顔の下の方に付いたばかでかい耳は 《リリー》系の特徴です。ボラン農場最初のアルモリカン牛(のつもり)だったリリーも アトム君が最後の末裔でした。

業者さんのトラックにも 暴れず素直に乗ってくれました。いつも そうなんですけど みんなすんなり乗ってくれるので かえってかわいそうになってしまいます。
バイバイ、アトム。今度は牝牛になっておいで。
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コメント

かわいがっていた牛を出荷するのは悲しいけど、柵につなぐのもトラックに乗るのもスムーズにいってよかったですね。でも、いろいろな形の角があるんですね。アトム君のは、すごく立派v-12。 「たれ目」に笑っちゃいました。ほんとにたれ目なんですもの(笑)

  • 2007/09/06(木) 05:56:32 |
  • URL |
  • jordefarms #-
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アルモリカンってしっぽがステキv-238

  • 2007/09/06(木) 10:09:03 |
  • URL |
  • 牛飼い #-
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jordefarmsさん、こんにちは


おかげさまで しっかりかわいがられた おりこうさん牛のようなふりをして行ってくれました。アトム君の意外な一面でした。
立派な角なんですけどね、危なくて。今度からオスは除角しようか って本気で考えています。

  • 2007/09/06(木) 10:09:05 |
  • URL |
  • masayo #-
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牛飼いさん、こんにちは


あの、《しっぼ》って 先だけ白くて たて巻きカールのところでしょうか。そう言えば これ、アルモリカン牛の特徴かしら。

  • 2007/09/06(木) 10:17:49 |
  • URL |
  • masayo #-
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MASAYOおばちゃん、4コマはまるでサーカスの馬調教ですね。
ヒヒーン とムチ打って、曲技ができますね。

  • 2007/09/06(木) 14:39:19 |
  • URL |
  • 照長土井 #-
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いろんな想いが行ったり来たりの、ドナドナですね。

ありがとうございました。
さよなら。
ごめんなさい。
来世でも逢おうね。

次に生まれてくる時も、巡り逢おうと誓ったね♪
次に生まれてくる時は、牝牛でと祈ってるね♪

こんな日は、青い空が慰めてくれたり、
いっそ、土砂降りの雨の方がいいって思ったり・・・です。

牛さんのお陰で大人になったのに、まだまだ修行が足りないままに、??歳の私。
(「子牛の論語」によれば、惑わないはずの年頃・・・なのに。)
今日も牛さんに感謝のてるでした!!

  • 2007/09/06(木) 15:43:51 |
  • URL |
  • てる #ACZVxEjU
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照長土井さん、こんにちは


ハーイ、ここはボランサーカスです。でも、日によっては ボラン園芸(演芸)もやってます。大根の笑い話もありますよ。

  • 2007/09/06(木) 16:26:25 |
  • URL |
  • masayo #-
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てるさん、


泣かせてくれるやないですか。
てるさんって 牛さんたちにめちゃめちゃやさしい人なんですね。
私もあらためて 牛さんたちに感謝です。

  • 2007/09/06(木) 16:31:20 |
  • URL |
  • masayo #-
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にてる。

おいしいお肉が食べれるのはうれしいけど、
やっぱり切ないねぇ。

ところで、アルフォンスってイッジーばあちゃんににてるー。
おいし。。。あ、失礼失礼。

  • 2007/09/07(金) 14:47:52 |
  • URL |
  • ぺんぎん #-
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あちゃ~~~。
綺麗なおねぇさんを泣かしちゃ駄目だって、小学校の時に
教えてもらったのに、泣かせちゃった・・・・。

でも、
子牛君たちとのドナドナなら、
「元気でね!!」って言えるのに、
乳牛でも肉牛でも、大人の牛さんたちとのドナドナは、
ほとんどの場合、
「元気でね!!」のひとことがが言えないドナドナだし・・・・・・。

子牛君たちとのドナドナより、
大人の牛さんたちとのドナドナは悲しいです・・・。

ぐぁ~~~ん!!
しくしく・ぐびぐび・ぷはぁ~~~~!!

まさよおねぇさま、ちょっと準備するから、つきあってください。
湯飲み茶碗+一升瓶(ぽんしゅ)+どぼどぼどぼ!!

ボラン君がこれからいっぱい頑張ってくれることとと、
ボラン農場に雨が降らないことと、
お星様になった牛さんたちにまた巡り逢えることを祈って、
かんぱ~~~~い!!!

ぐびぐびぐび!!!!
(牛さんにたちに感謝+泣いちゃだめの)ぷっはぁ~~~!!!!

いつもお騒がせしてすみません。。。。










  • 2007/09/07(金) 17:40:49 |
  • URL |
  • てる #ACZVxEjU
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ぺんぎんさん、


似てるでしょう。でも 男の子で良かったわ。
いつも うちのお肉を食べてくれてはるぺんぎんさん。切ないけど おいしいのよねー。

  • 2007/09/07(金) 19:22:59 |
  • URL |
  • masayo #-
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てるさん、


だいじょうぶですかぁー。(あっけらか~ん。)
あらあら、そんなに飲んで。(ええんかいな ?)
あのー、それから 私ってばあちゃんなんですけど・・・(あきません ?)

  • 2007/09/07(金) 19:28:30 |
  • URL |
  • masayo #-
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