今日は アルモリカン牛とは何か というテーマです。

典型的なアルモリカンを紹介するとしたらイッジー(女の子だから正しくはアルモリケヌ)です。(写真はイッジーばあちゃんとその娘たち。)色は赤みがかった茶色で,お腹の部分が白です。背丈はだいたい130センチ位だと思います。もう少し大きいユーチカやバランチーヌで135センチだそうですから。私(156センチ)でも 牛たちの背中が見える高さです。
これはチビのユゴリンです。背が低い以外はアルモリケヌらしい牛です。

ボラン農場の名物,マルキーズ(と産まれたばかりの みよ)です。こういう角は 古代の牛のものです。

これみんなアルモリケヌなの と疑問を持たれる方も多いと思います。アルモリカン牛は 体型も,顔つきも多様な牛です。
今はまだ頭数が少ないので(牝牛が全部で100頭程度)よそよりも小さくて,乳牛タイプでスリムなうちの牝牛たちも全員純粋種に入れてもらっています。
では、なんでまたこんな時代遅れの牛が良いのか と言うと,
1 - 粗食に耐える,
2 - 病気知らず,
3 - 子育てが得意,
4 - 人なつっこい
というのが理由で,牛は初めての人でも飼いやすい牛です。でも,物事 良いことだけというのはありません。
1 - つい食べ過ぎてデブになる,
2 - 元気余って,柵を飛び越える,
3 - 自分の子供が見えなくなると騒ぐ,
4 - 牧草地に人が来ると,頭を掻けとうるさい
という困ったこともあります。
乳牛に分類されながらお肉もおいしいので,うちではオスを去勢して、最低3才までお肉用に育てます。牧草と乾草だけを食べさせて,1トン近くまで大きくなります。脂肪が付くので,歩留りは55パーセント前後ですが,お肉には細かい網目のサシが入ります。
Jがぜひ皆さんにアピールして欲しいと言っているのですが,フランス(突然ですが,ブルターニュというところに住んでいます。)では つい50年前まで それぞれの土地にその土地産の牛がいた ということなのです。日本では今でもそれぞれの地方に その気候,その土壌に育った、黒毛・赤毛・褐色と様々な牛がいますよね。それなのに,フランスでは 市場がある一定の種類の牛を求めるからと,それまで飼い慣れた牛を捨てて,みんなが新しい、改良された種類の牛に走ってしまいました。そのため,アルモリカンのように急激に頭数が(最低19頭まで)減少して,果ては絶滅してしまった牛は数えきれません。だから,私たちのような零細農家に役割があるとすれば こういった忘れられた牛で収入を得ることによって お互いいっしょに生き延びることだと思います。よく,保護プログラムに入れられた家畜を飼っていると,援助金が貰えるんでしょ とか聞かれますが とんでもない。あったとしても,うちは小さすぎて、対象になりません。言わば,うちにお肉を買いに来てくださるお客様が 保護活動のスポンサーのようなものです。
アルモリカン牛についてもっと詳しくお知りになりたい方,一度アルモリカン牛肉を食べてみたい方,アルモリカン牛を飼ってみたい方,日本または世界のどこかで忘れられた牛を飼っている方 がいらっしゃいましたら,どうぞご連絡ください。お待ちしております。