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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

自然に任せるのもいいけれど

このところ寒い日が続きましたが 今朝は大西洋から暖かい空気が入って来て雨になりました。今朝の気温は3℃。もうほんの少し寒かったら雪になるところでした。

午後になってやっと雨が上がったので、牛たちを見に行きました。まだまだ産みそうな気配はないといっても やっぱりバランチーヌのことが気になります。おっぱいはかなり大きくなったけれど お腹がまだ下がって来ません。まだ一週間はかかりそうなのですが、次の満月が24日なので それまでには産んでもらいたいものです。

バランチーヌのことがこんなに気になるのも バランチーヌはネオスポラ陽性なのを知っているからでしょうか。以前 ネオスポラ菌うんぬん という話をしたことがありますが ネオスポラは原虫であることを 兵庫県北部農業技術センターの獣医先生に教えていただきました。

その後 インターネットで調べてみると なかなか手ごわいものであることがわかりました。ネオスポラ症として現れる症状は流産だけ と思っていたのですが 母親から感染して産まれた子牛にも 症状が出る場合があるそうです。

母親のバランチーヌから感染したらしく 陽性の反応が出たボラン君は ごく普通に成長しました。また ボラン君の前に人工授精センターに入ったアルモリカン雄牛たちも 同じ検査を受け、陽性判定されことがありました。そのうち一頭は 精液を採取する年齢になったら 陰性になったそうです。だから べつに心配する必要はない と思っていました。

ところが もうかなり前の話ですが シュパが行った先で血液検査をしたら ネオスポラ陽性の反応が出た と飼い主さんから電話がありました。私たちは シュパを引き取るしかないと思ったのですが 飼い主さんは シュパが気に入って手放す気にもなれなくて 困ってられました。ネオスポラを持った牛を繁殖牛にしようなんて 普通では考えられませんから。

その後 県の家畜衛生局のようなところから うちから来た牛にネオスポラが発見された と通知が来ました。それに添付されていた資料によると 感染の元になっている母牛をつきとめて 感染している牛は優先的にお肉にして 陰性の牛だけを繁殖牛にするのが好ましい ということでした。

でも、その通りにすると アルモリカン牛は絶滅します。牛を放牧する限り、ネオスポラを持った犬やきつねとすれ違うことは避けられません。アルモリカン牛全頭を調べても 牧草地に一度も出ない牛はいないはずです。今までに検査を受けたことがある牧場では 少数ですが 陰性の牛もいました。でも 放牧を続けると いつ陽性に変わるかわかりません。

年中放牧することは 牛にとって理想的なことのように見えますが、必ずしも良いことばかりではありません。毒草をかじったり、どんぐりを食べ過ぎたり、どこから来たのかわからない牛と接触したり、いろんなリスクがうようよしていて 牛たちが全員元気なのが奇跡のように思えます。

だからと言って 一年中牛舎につないでおかないといけないのなら アルモリカン牛は飼いません。私たちがもともとアルモリカン牛を選んだのは 雑種と同じ位丈夫な牛だからです。ボラン農場は 土が浅くて大した作物はできないけど、牛が食べる草だけは一年中あります。雨風をしのぐのに土手や木があります。アルモリカン牛は こういう環境でずっと暮らして来た牛です。

それで 私たちなりの結論なんですけど 私たちが牝牛たちに望んでいるのは 毎年健康な子牛を一頭産んでくれることです。それができない牛は 原因が何であろうとお肉になります。それだけでも淘汰されているはずです。血液検査の結果が100点の牛よりも たとえネオスポラ抗体陽性でも症状が出ない牛の遺伝子 って強そうじゃないですか。

バランチーヌの遺伝子(マルキーズ系)も病気に強いことを祈って 元気な感染子牛が生まれるのを待っています。

Carte 071118

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