ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

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ボラン農場はなぜ《牧場》ではなく《農場》なのか

もうずっとお天気が悪く,今朝は一時どしゃ降りの雨でした。こんな時,いくら牛でも,外にいて楽しいはずはないので,いつもより早く食堂を開けました。お昼になると、急に晴れ間が出て久しぶりに青空がひろがりました。気温もお天気も春の感じです。

牧草地にいる子牛たち、ベラとカシューは雨にも風にも負けず元気です。牛舎までの道のり,ちゃんとみんな付いて来られるか少し心配だったのですが,どうにか迷子にならずにすんでいます。ベラは お母さん,ユーチカがちゃんとめんどうを見るので良いのですが,カシューは ひとりでどこへでも行ってしまうので困ります。ちゃんと牛舎の入り口まで来るのですが,すんなり中に入ってくれないのです。今朝は みんなをつないだら呼びに行こう と放っておいたら,なんと牛舎の反対側の入り口からトコトコ入って来ました。(図の中、赤線で描いたルートを通って。)この歳でこれだから,先が思いやられます。

さて,本題に入ります。
ボラン農場には秘密があります。なぜ,電気の通ったワイヤ一本で 牛や馬を食い止めることができるのか。もう一度ボラン農場案内図をご覧ください。
グリーンの丸は 木のつもりなのですが,それぞれの区画が土手で囲ってあります。ボラン農場の写真に必ず写る《土手》です。この土手のおかげで こんな斜面でも生きて行ける 大事な土手です。図を見ていただければお解りになると思いますが,ワイヤ一本の柵は 土手のすぐ前を通っているので,ワイヤに触れず くぐることは不可能です。飛び越えるのも無理です。それに土手の向こう側はよく見えませんから,向うに行こうという気にもなりません。

20070110121242.jpg


でも,土手の偉力はそれだけではありません。ここは 風が強いのですが、土手とその上に植わった木が 風をさえぎってくれます。暑い夏には,木陰ができます。土手の前には溝が掘ってあるので,大雨が降っても 水はゆっくり斜面を下りて行きます。こういう、すごいシステムが ボラン農場にはあるのです。聞くところによると,この地方(ブルターニュと言います)の土手建設大工事は 中世(12世紀)に始まったらしいのです。(そのへんの歴史を知りたいのですが,文献が見つかりません。)考えてみてください。まだ,ブルドーザーもトラクターも無かった時代です。土地を守るために たくさんの人達が協力して 手で作ったものです。ここは 岩の上に乗っかっていて,土はその上にかぶっているだけのやせた土地なのに。それほど,土地は貴重なものだったのでしょうか。

ということで,ここはあくまで昔風の農家なのです。トラクターよりも馬の方が似合う農場です。母牛は8頭までしか飼えない小さな農場です。うちの4頭の去勢雄牛がいる《羊飼いのジョンさんち》は たしかに《牧場》です。全部で何ヘクタールあるのか知りませんが,ジョンさんの家から牧場が見渡せます。ほとんど平地ですから 土手はもうありません。トラクターが導入された時代に壊してしまったのです。当時,トラクターが溝に落ちる事故がよくあったので,安全のためと もちろん、生産性向上のためです。私たちにしたら効率は悪くても,昔風の農場がお気に入りです。昔の人たちがつくったエコロジーシステムなんて,すごーいと思います。

私たちがここに来たばかりのころ、私たちの前にここを使っていた 今は亡きアルセーヌおじさんに聞いたことがあります。アルセーヌおじさんは 私たちのお師匠さんでした。《なんで,こんな斜面のやせた土地に 手間かけて土手なんか作ったんやろか。》アルセーヌおじさん曰く《隣の家との境界線に柵を作っても,ごまかそうと思えば,一晩で移動できるやろ。でも,木の植わった土手は動かされへん。》これが土地の人たちの考え方です。
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コメント

昔の人はえらい

確かに、昔の人のエコシステムってよくできてるよね。
土手埋めて、木を倒したから地すべりがおこって、洪水が起こって、、、って言う話、よくきくもんね。
masayoさんちの土手にはそういう利点があったのね。なるほどー。

  • 2007/01/11(木) 09:26:00 |
  • URL |
  • ぺんぎん #-
  • [ 編集 ]

こんばんは。
先日はコメント、メールをいただきましてありがとうございました。
和牛ばかりではなく、他地域も勉強したいと思っていた私にはお蔭様でフランスのことも情報を得られると喜んでいます。
どうか今後ともよろしくお願いいたします。

  • 2007/01/11(木) 13:52:19 |
  • URL |
  • 照長土井 #-
  • [ 編集 ]

ぺんぎんさんへ

そうなんですよ。昔の人をばかにしたら,ひどい目にあうよ。

  • 2007/01/11(木) 16:12:17 |
  • URL |
  • masayo #-
  • [ 編集 ]

照長土井さんへ

どうも,どうも,いらっしゃいませ。こちらこそ よろしくお願いいたします。こんな時代遅れの牛ですけど,話を聞いてくださるプロの方がいると思うと もう,すごくうれしいです。
ただ,アルモリカン牛は フランス畜産界の《はみだしもん》なので,そのへんはどうぞご了承ください。肉牛失格なのは《お尻が大きくない》のと《脂肪が付き過ぎる》からなんです。こういった,消費者の好みの話もいつかしてみたいと思います。

  • 2007/01/11(木) 16:38:56 |
  • URL |
  • masayo #-
  • [ 編集 ]

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