ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

ラストスパート

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お肉販売の案内状をお客様に送るのと 同じ位大事な緊急事項が もう一つありました。それは 毎年5月15日締め切りの ヨーロッパ共通農業政策の農地申告です。これがありとあらゆる農業の助成金のベースとなっていて これを提出しないと 何ももらえません。

いつも、その書類が4月の中旬には届いて,毎日それを横目で見ながら、雨が降ったらね とか まだ、時間があるよね とか、気にはなっていても なかなかやる気になれない 葛藤の1ヵ月を送ることなります。

ところが、今年は それがいつまで経っても届きませんでした。毎年,締め切り直前に大騒ぎになることだから,私も 今週はそちらに専念できるように予定していました。それなのに,5月になり,締め切りまでもうあと一週間になっても,書類は届きませんでした。

そうなると,いつもはのんびりのJおじさんもさすが心配になって 申告の提出先である県の機関に電話しました。すると,環境保護措置の書類が遅れて,それに関係する人たち(Jおじさんもその一人)への書類が発送待ちになっていたけれど もう届いても良いはず という返事でした。

係の人の言う通り,書類は その日の郵便で届きました。心配した県の係の人が,午後に 届いたかどうか確認の電話をしてくれたのですが,係の人に質問されて 郵便局の消印を見たら,4月30日 となっていました。要するに,それが配達されるまで一週間かかったわけです。もともと,発送が遅れたのだから 急いで欲しかったのに・・・。

さて,ようやく届いた書類は いつもに比べてイヤに軽く感じました。受け取った時は Jおじさんも,私も忙しかったので,農林水産大臣のレターをちらっと読んだ程度でした。その中に 申告の簡素化 とか書いてあったので,そのせいで紙を減らしたんだろう と思っていました。

確かに、今まで その書類には 個人データが入った使い切れない数のラベルが付いていたり,コストを考えると もったいない と思ってしまうものでした。山のような書類は 全部感圧紙で オリジナルを送って,コビーは保存 というシステムです。うちはどれも数行で済むことなのに,同じ用紙が何部も入っていたりして、結局 使わないで捨てていました。

今年は 締め切りが5月17日 となっていたので,土日でできる と少し気を抜いていたのですが,お肉販売の案内状ができた木曜日に 私はJおじさんに そろそろ始めた方が良いのでは と言いました。幸い,金曜日は 時々雨だったので Jおじさんは ジョンさんちの放牧地拡大作業を中断して 午後から書類に取りかかることにしました。

記入する前に読む説明書だけでも二冊。今年はシステムが変わって,木の植わった土手の長さとか,畑の中にある木の本数とかも 農地面積に換算される とか聞いていた(でもそういうのはなかった)ので 特に、注意して読む必要がありました。読書は Jおじさんに任せて,私は ひたすら申告する数字の計算 といつものように連携プレーです。

そして,記入し始めてJおじさんが気が付いたのですが,今年は感圧紙ではありませんでした。だから,何でも控え用に二回記入しないといけません。コスト節減のためなら これくらいどうってことはないのですが,環境保護措置の書類は どれも一部だけ。それも いつもなら すでに記入してある去年のデータもなし。もう,遅くなってどうしようもなくなって送った のがありありと見えます。

さて,肝心の航空写真(これも一部ずつしかなかった)ですが その写真に 自分が使っている農地を示し、それをコンピューターに入力して出た数字が正式な農地面積になります。今年は その計算ソフトが進化したらしく,去年提出した通りだと ボラン農場の面積は 300平方メートル少なくなってしまいました。それに,お隣に線が入っていたようで(お隣がうちに入ったのではなくて?)、もう100平方メートル削除されていました。

今回 ジョンさんちの放牧地を拡げた分 新たに記入しないといけません。Jおじさんは 自分で杭を打ち、柵を作ったので その場所は良く知っています。でも、それをその通り正確に紙の上に線を引け と言われても無理です。線自体の太さもあるし,ほんの1ミリ違うと、すぐに100平方メートルの誤差が出るからです。でも,計算ソフトがそう言ったから と紙に引いた線が《真実》となるのです。

数字上の100平方メートルなんて,1ヘクタールに付きXXXユーロの助成金に換算したら微々たるものですが,実際の100平方メートルは尊いものです。牛がそこまで草を食べに行く というのが《真実》であって、紙やコンピューターの画面上の線は バーチャルなものでしかありません。と言うのに、農業従事者が こんな非現実的なことに(お天気の良い)5月の数日を割いて(もしくは公認会計士に頼んで)、少しでもたくさんの助成金をもらおうと必死になる事自体がおかしい と私は思います。

ヨーロッパやフランスが貧乏になっても 農業は支援し続ける と誰かが言っていました。都会で一生懸命働いているのに,まともな住いもなく、食べて行くのに精一杯の人が 今 全国の農業従事者が仕事放ったらかしでやっていることを見たら どんな気持ちになるでしょうか。

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こんなことを言いながら、金曜日 遅くまでかかり、全部記入し終り,コビーを取って、確認したのは土曜日の朝でした。説明書を読むと 5月17日必着(消印有効ではなくて)となっていたので,おじさんが大急ぎで郵便局まで走り、一件落着となりました。
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