用事が終わって家に戻った時には、Jおじさんは、オスカルを連れて(ひとりで留守番させない)家の工事に必要な工具を買いに行ったようで、留守でした。時刻は、11時半を回ったところ。まだ、午後の人工授精に間に合う時間だったので、私は、みよちゃんの様子を見に放牧地まで走りました。
牛たちのいる放牧地への道を走りながら、毋牛が三頭集まっているのが見えました。近くまで行って良く見ると、その三頭の中にみよがいました。でも、みんなそこに突っ立っているだけで、何事も起りません。
ふだんなら、もう少し待ってみるか、また後で見に来るのですが、そんな余裕はありません。時間が気になって、じりじりしながら見ていると、みよはどうもベルナデットを挑発しているようでした。まあ、それだけでも発情のしるしだろう と人工授精センターに通報することにしました。
放牧地を出るところで、もう一度振り向いて見てみると、ベルナデットに乗っかられて、みよがかわしたところでした。これなら、自信を持って授精師さんに来てもらえます。家(小屋)に戻ると、12時15分前で、ギリギリで間に合いました。
そのうちにJおじさんもオスカルも帰って来て、大急ぎでお昼ごはんを食べ、牛たちを牛舎裏に移動させました。これで、続けて3日目ですから、牛たちも慣れたものです。みんな、道草を食べながらも、迷わず来てくれます。みよだけは、さすがに興奮していて、ハンサムな雄牛でもいないか といそいそ牛舎に向います。そして、いつも好奇心で見に来る子牛たちを牛舎に入れて、その中のふみちゃんだけをつないで、その他の子牛は外に放り出し、みんなを元の放牧地に戻しました。
ふみちゃんは、今まで長時間つながれたことがなかったので、今回は、学習の機会になりました。はじめは、わけが分からなくておどおどしていたけれど、おいしいにんじんの葉っぱを食べさせてもらったり、ブラシをかけてもらったり、つながれるのも悪くない と理解してくれたようです。

ふみちゃんは、メス7ヵ月にしてはかなり大きい方で、冬まで待たずに、今のうちにつながれる練習ができて好都合でした。それにしても、ふみは、お父さんのすもうに体つきや毛の色や質がそっくりで、私達が期待をかけている牛です。
さて、午前中あちこちのお店を走り回ったのに、必要な工具が見つからなかったJおじさんは、授精師さんはまだ来ないだろう と友達のところにその工具を借りに行ってしまいました。
Jおじさんが留守の間、ふみがパニックになったら首輪の留め環を外すこと、興奮状態のみよには注意して、そばに寄らないこと、と命令を残して行きました。
でも、Jおじさんは、かなりの鉄砲玉で、それに行ったところが、いつもちょっとやそっとでは帰って来ない友達の家。心配したように、いつまで待っても戻って来ませんでした。
そのうち、車の音がし、オスカルが走り出したので、見に行くと・・・、授精師さんでした。いつも、牛が動かないように押さえるJおじさんが留守で、どうしようか なんて言っている場合ではありません。
Jおじさんには、みよに触るな と言われたけれど、一応、ロープを用意し、必要ならばお手伝いするつもりでした。でも、それまでかなり動き回っていたみよは、う~んとおとなしくなり、私が手を出さなくても、授精師さんだけで大丈夫でした。
さて、用事は済んだし、いつまでも牛舎につないでおくのはかわいそうなので、みんなのところに戻すことにしました。良く考えて見ると、みよは、私でも首輪をかけたり、外したりできるし、ふみちゃんもおりこうさんにしていたので、危ないことなどありませんでした。こうして、毋子を外に出してやり、私が先頭に立つと、ちゃんとみんなのいる放牧地までついて来ました。
もともと、昨日は、牛たちの要望に答えて、隣の牧草地に移動させることになっていたので、水桶がほとんど空になっているのを確認した上で(一杯だと重くて移動できない)、柵を開けてやりました。

ここは、白や紫のクローバーがぎっしり生えていておいしそうです。牛たちが入り口のところからすぐに草を食べ始めて動かないのは、おいしい証拠です。牛たちも、大満足。私も、帰りがけに、新しい放牧地に牛がいるのを見てあわてたJおじさんを見て、大満足でした。
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