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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

古いピアノ



古い牛:本文とは関係なし

一週間ほど前から(依然として工事中の)家に、古いピアノが来ました。

これから家の中の壁を塗るので、じゃまになるものは全てまとめて、使わないものは捨てたばかりなのに。
すごく場所を取ります。グランドピアノだから。

私が県で一番大きい街にバスで行くと、どうしても前を通る楽器屋さんがあって、もう何年も前から、カワイの白いグランドピアノが置いてありました。『ああ、ピアノもいいなぁ。』といつも見ていました。

良くある話ですが、私も、小さい時ピアノを習いたかったけれど、ピアノなんて買えないからダメ、と言われた一人です。そうして、ピアノを始める時期を逃してしまい、大きくなってからやっとハモンドオルガンを習い始めた、というわけです。

ボラン農場に引っ越す前、私は中古で買ったハモンドオルガンを持ってました。それを親戚の家に預けてあったのですが、その家に雷が落ちて、電化製品全てダメに。私のハモンドオルガンも焦げて、廃棄するしかありませんでした。

だから、新しい家ができたらまた中古のハモンドでも、と思っていたのですが、今は骨董品のハモンドオルガンしかないようで、お値段も私には手が出ないほど高いし、メンテナンスなんてどうするのよ、とかあって、あまり実現できそうにありませんでした。

じゃあ、この際、ピアノにしよう、と決めていました。

そうしているうちに、家はなかなか完成せず、白いグランドピアノも誰かに買われたようです。

そこに、急に降って湧いた古いグランドピアノの話。ワケあり物件なので、ここではお話しできないのですが、引き取る人がいなければ、その場で壊して金属だけ回収する、という運命でした。

クラッシック音楽愛好者のJや、ピアノが欲しい私が、それを放っておく訳がありません。

決める前に、あの楽器屋さんに行って、修理費がどれ位かかるものか訊きに行きました。やっぱり、あまり古いものは修理が高く付くので、それよりももっと新しい中古または安い新品を買った方が良いのでは、と言うことでした。その時に、中古のピアノをいろいろ触らせてもらって、『ねっ、最近のピアノって良い音でしょ。』とお店のマダム。Jは、あの古いピアノをたたいてみたので、マダムの意見に賛成でした。でも、私は・・・。

もっと新しいのを買った方が安く付く、と言われて、しばし迷ったのですが、答えは・・・、

古いピアノ!

1927年にドイツの職人さんたちが一生懸命作ったピアノです。それを買ってもらった子(大人かも知れないけど)が大喜びした顔を想像すると、絶対にこれを壊してはいけない、と思ったのです。

私達が運送費を払って、タダ同然で譲ってもらいました。そして、先週、修理の見積りも兼ねて、調律師さんに来てもらいました。ずっと長い間調律されていないピアノなので、その日は大まかに、月曜日にもう一度調律してもらいます。

そう、調律できるんです! 弾けるんです!

もちろん、ちゃんとした修理をするともっとお金がかかりますが、それは、また少しずつしてもらいます。その修理費に運送費を足しても、お店で見せてもらった一番安いピアノの5分の1。ホッとしました。

あれから、ヒマを見つけてはピアノをたたいてるJおじさん。私が《ド》を教えてやったら『えっ、なんでそんなすぐに《ド》がわかるの?』と驚いたド初心者ですが、なんか勝手に耳で覚えた曲を弾いてます。もしかしたら天才かも。

はじめは、もしかしたらこのピアノ、呪われてるかも、と心配していたJだけど、壊される運命から救ってやった私達を呪ったら、私たちの方こそ呪ってやる、と言うことにしました。
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