
ボラン食堂が開店して、もう二週間になります。お天気しだいでお昼前もしくはお昼過ぎに食堂へ、というリズムに慣れた牛たちは、牛舎裏に通じる柵の前でのんびり待つのが日課に。
あの二頭の問題児は、ようやく、どうにか、いやいやながら、自分の席まで行くようになりました。でも、Jおじさんが近づくとバックして逃げようとするので、おしりを押さえておく必要があります。
毎年、一年生を教育する時、必ず劣等生が一頭いるものですが、こんなに時間がかかったことはありません。しかも、二頭。みんな同じように教育してるつもりなのに、持って生まれた(悪い)性格を矯正するのは無理なんでしょうか。
去勢牛のラン君は、これでジョンさんちに連れて行って去勢組に入れて大丈夫でしょう。ただ、こんなに怖がりだと、おいしいお肉にはなれないかも知れないけど。
お肉になる時の牛のストレスは、私達にはどうにもできない大問題です。と畜場までの移動は改善できたものの、Jが自分で連れて行くことで、と畜場の環境の悪さがわかりました。Bio牛だから、普通の牛たちよりもマシな扱いを受けるはずなのに、トレーサビリティーの考慮以外は、特にストレス軽減については何もしてくれないようです。これについては、また改めて書きたいと思います。
さて、怖がり牛二頭もふつうにつながせてくれるようになって、ホッとした昨日のことです。
(工事中の)家の中にいたら、突然牛舎からすさまじい叫び声が聞こえました。牛が非常事態に遭遇した時の叫び方です。あわてて牛舎に駆けつけると、
Jが牛舎の入り口にいて、中を見ていました。乾草をいっぱい食べて喉が渇いた牛たちに、バケツで水を飲ませていたところです。
なんだ、いたのか、と思ったのですが、Jはあわてている様子はありません。なぜなら、
(超怖がり牛の)リリーの横にバケツを置いたら鼻で触って、水が動いたのを見て、パニックになり、大声を上げ、餌箱に飛び込もうとした、
のだそうです。
子牛はみんな、赤ちゃんの時にバケツで遊んでいるはずなのに。リリーは遊ばなかったのか? ほんとに怖がりにもほどがあります。
もうすぐ一歳になるリリー。あと6ヵ月ほどしたら人工授精をして、来年は母牛になるはずです。でも、今のままでは、人工授精なんてさせくれないだろうし、子牛が生まれたとしても、正しい教育ができるわけありません。
リリーは大柄の美女だから売れるだろうし、種雄牛を持っている完全放牧の牧場なら、こんな性格でも問題にはなりません。
でも、Jの方針で、どんな牛でもとりあえず初産はボラン農場でさせることになるでしょう。
あの(実は大の怖がりで)野生牛だったマルキーズも、今はおとなしいおばあちゃんになりました。
時間はかかってもあきらめない、といつまで言ってられるかわかりませんが。
スポンサーサイト