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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

大統領選挙 from T村

今日は 日曜日だというのに 6時半に起きました。普通の日でも 7時半にやっと起きるくらいなので、今日のは努力賞ものです。今日は 大統領選挙の決選投票の日なのです。Jは いつものように 村役場の投票所が開く8時から10時まで 選挙のお手伝いに行きました。投票所管理は 3人で 2時間毎に交代します。ふだんなら 朝はぐずぐずしているJも 今日だけは いやに張り切って、ちゃんと時間通りに出かけて行きました。

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10時になり、バトンタッチをしたところの写真を Jがおみやげに撮って来てくれました。今回は どの時間帯も 選挙権を得てから初めての選挙になる若い子たちが 投票所の管理を手伝っています。彼ら 明け方まで 他の仲間たちと うちのすぐ隣のA君のところで騒いでいたので(太鼓たたいて、うるさかった)大変お疲れのようです。

T村のことは まだご紹介していませんでしたね。人口171人の 日本で言えば なんとか地区くらいの面積しかない ちっちゃな村です。手元にある Guide du Routard という ゆっくり安く旅行したい人向けのガイドには T村のことを こう書いています。

《昔ながらの村で このあたりでも特に感動させられるものの一つ(フムフム)。まるで過去に取り残されたかのように(ええっ?)まわりのあわただしい社会には知らん顔をして(うん、それはね)。今では 古い石造りの家の多くが 空き家(うそばっかり)。》

ここに書いてあるのは 15年以上前のことであって、今 T村で 空き家など見つかりません。そのために 新しく宅地にしても良い場所を 定めたばかりです。それほど T村への移住希望者が多いのです。このあたりは 丘が何重にも連なり、緑が多く、手付かずの自然が残った 環境抜群のところです。でも、T村の人気の秘密は それだけではありません。ここの住人たちが またユニークなんです。

T村は その昔 それはそれは貧しい農村でした。斜面と岩ばかりで 土が浅く、近代的な農業ができるようなところではありません。そのために どの農家も後継者がなく 村にはお年寄りしかいなくなりました。ちょうどそのころ 髪の長い“ヒッピー”と呼ばれる若者たちの 自然に帰ろう という運動がありました。T村は そんな若者たちにしたら 田舎暮らし体験に格好の場所でした。安い空き家も土地もいくらでもあり、村の人たちも よそ者の若者たちを抵抗なく受け入れてくれました。それが 今のT村の始まりです。そして 今では その時代の若者たちの二代目が大人になって、世代が交代しつつあります。

T村は 今ではエコロジー村として知られ、村に住んでいるというだけで 一目置かれます。農家もほとんど“有機”ばかリで、化学肥料や薬品を使う人は 肩身の狭い思いをしています。もちろん、みんながみんな いつも良い人というわけではないので、いさかいも、中傷もあります。でも、根本的な考え方は私たちと同じ と思うと心強いし、国がこれからどんな方向へ行っても、T村にさえいればどうにかなる という安心感があります。

T村での 大統領選挙の第一回投票結果なんですけど、第一位がセゴレーヌ・ロワイヤル 38%、第二位がジョゼ・ボベ 26,5%(笑わんといてください)でした。ジョゼ・ボベは 反グローバル化、農民運動のリーダーで 全国では 投票率たった1パーセント代だったんですよ。今までの選挙では 緑の党がいつもトップでしたが 今回は 第五位(5,8%)にとどまりました。ちなみに サルコジ 8,3%、極右のルペンとドビリエ共に 2,48%と T村では少数派でした。(パイルは 9%。)

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これは 村の中心にある教会です。教会、お墓場、納骨堂、石の十字架でワンセットになった この地方独特の造りです。村には 村役場と集会場とカフェが一軒あるだけです。現在 下水処理場(葦を植えて浄化)建設中で ごたごたしていますが、いつもは 静かで なんとなく懐かしい村です。
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