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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

格付けと味の関係 : マルセルくん出発

Marcel 190617

話は前後しますが、リラさん出発の前日にマルセルくんを出荷しました。

立派な角のマルセルくん。本当はもっとハンサムで、見た目がとってもきれいな牛・・・でした。前日にジョンさんち牧場から連れて来て、翌朝トレーラーに乗って出発するまで(そのあとも)ずっとおとなしかった、本当に良い牛でした。

年齢順で行けば、マリオくんの番だったけれど、マルセルくんの方がずっと大きかったので、先に行ってもらいました。まだ30ヶ月に数日足りない若さですが、同級生の去勢があと5頭もいるので、待ってられません。

まあ、夏はバーベキューだとか焼いて食べるのがメインだから、味わいよりも柔らかさ優先でいいか、ということで。

さて、枝肉の結果と言うと、

364,4キロ、R 3。

驚きの結果です。

30ヶ月に満たないので多分軽いだろう、と思っていたら、私たちが狙う360キロ、ありました。このところ、なぜか36ヶ月を待たなくても、大きくなるのが早くなっています。草しか食べさせてないのに。

本当に、ボラン農場の牛たちは、牧場に自然に生える草とそれを刈って乾草にしたものしか食べていません。赤ちゃんの時からそうです。(母乳以外は。)少しぐらい穀物を与えてるでしょう、と思われるかも知れませんが、全くなしです。やっても食べません。食べたことがないので、おいしそうとも思いません。もちろん(お肉をまずくする)サイレージも知りません。

本当に、野原の草だけで大きくなるんです。

それも、Rの3。

某カリスマお肉屋さんが理想とする枝肉です。

この(良い方から順に)E - U - R - O - P のクラス分けは、おしりの肉付きを基準としています。おしりが異常に発達したベルジアンブルーを思い浮かべてください。あれが“E“です。ブロンダキテーヌやリムーザン(なんでムが伸びるんでしょうか)で、でっかいおしり!と言うと“U“でしょう。反対に、乳牛のおしりだと、せいぜい“O“。

だから、乳肉両用種のアルモリカンで“R“は優秀です。ちなみに、ダブルマッスル(ブタ尻)め牛のガラ(もちろん未経産)でさえ“R+“でした。

1 ~ 5の数字の方は、脂身の割合です。脂身が多いほど数字が大きくなります。“3“は、フランス人の感覚で、少な過ぎず、多過ぎず、というところでしょうか。

アルモリカンで“3“は、脂身が少ない方で、“5“まで行くことも稀ではありません。“5“は業界では嫌われます。捨てるとこばかりで歩留まりが非常に悪いため。

でも、お肉のおいしさと格付けは比例しません。

前回のももたろうくんも、その前のまさおくんも、O 3。どちらも納得のおいしさでした。特に、ももたろうくんのとろける脂身が甘くておいしくて、いったいどうなってるん?と思ったほど。

そのもう一つ前のだんぼくんは、R 4だったけれど、ごくふつうにおいしかっただけで、特に記憶に残りませんでした。

要するに、EUROP格付けは、枝肉取り引きの値段を決める基準でしかありません。業界は、枝肉を製品にする段階で、できるだけ多くの利益を効率良く得るために、高く売れる部位が大量に取れ、余分な脂身のない枝肉を好みます。もちろん、硬いお肉なんて論外ですから(でも、スーパーのお肉は硬いことが多いよね)、味よりも柔らかさ(=若い牛)優先なんでしょうね。

業界から見ると、非常識なことばかりのボラン農場。今後も、肉専用種ではないアルモリカンが、環境にやさしく、かつフランスで一番おいしいお肉である、と信じる非常識なスモールファーマーでありたいと思います。

ちなみに、マルセルくんは、本日完売(予約完了)しました。ボラン農場をご支援くださるみなさまに感謝します。
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