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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

出発の日

今日は 洗濯物がたまっていたし、来週仕事に行く時の電車の切符を買っておきたかったので 朝早くから 隣の県にあるカレと言う町まで行きました。カレは(カレーではありません。念のため)毎年7月に開催される音楽フェスティバルで有名な町です。私はいつも その町の小さなショッピングセンターにあるコインランドリーに行きます。コインランドリーなら うちから15キロの隣町にもあるのですが、洗濯機の性能が悪いし、料金も高いので わざわざ2倍も遠いカレまで行きます。カレのコインランドリーだと 洗濯に1時間かかりますが すぐ横にスーパーがあるので 待っている間に買い物ができるし ここの洗濯機だと 洗濯物はほれぼれするほどきれいになります。

ただ、今朝は 予定通りには行きませんでした。コインランドリーは マシンが壊され コインが全部盗られていて 私と同時に洗濯物を抱えて入って来た人が オーナーに通報 ということになりました。そのうち オーナーが駆けつけて、結局 マシンを修理するまで閉店。そんなことがあったので 思ったよりずっと遅くうちに帰ったのですが、今日の本題は ここからです。

もう1ヵ月も前から決まっていたのですが、今日は ユゴリンがPさんのところに行く日でした。昨日のうちに連絡がなかったので きっと 前回のつぼみちゃんの時のように お迎えは夕方だろう と勝手に思っていました。だから、午前中に用事を済ましておきたかったのです。

私がうちに戻ったのは 12時過ぎでした。Jはちょうどその時 Pさんからの留守電メッセージを聞いていたところで ひどく慌てています。折り返しPさんに電話をせよ という主旨だったのですが、どうやら Pさんがいつも頼んでいる牛の運送屋さんが 今日のお昼にうちに来るつもりらしいのです。それに Pさんは2時にならないと自宅に戻れないので Jにユゴリンを牛舎に入れて欲しいということでした。JはPさんに電話をして お迎えのトラックが何時に来るのか 確認して欲しいと頼んだのですが、その返事をもらったのは トラックがうちに着く15分前でした。

さあたいへん。牛たちは すぐ横の牧草地にいるとは言え みんなの中からユゴリンだけを捕まえて 牛舎につなぐのには ある程度時間が必要です。Jは そんなことだったらもっと早く知らせてくれればいいのに とか トラックが着くまでに捕まえられない とか かなり不機嫌です。

牛は繊細な動物です。私たちの気が立っているとすぐに見つかってしまいます。牛舎の後ろのパドックから呼ぶと、牛たちは次々入って来てくれました。ユゴリンが入ったとこで 入り口を閉めると イッジーばあちゃんと、ユーチカだけ みんながいた放牧地に残されてしまいました。とにかく パドックに入った牛たちといっしょに ユゴリンを牛舎に入れようとすると だれもそちらには行こうとせず 狭いパドックを駆け足でぐるぐる回り始めました。みんな興奮状態ですから 回っているうちに 子牛たちが数頭 隣の牧草地に押し出されてしまいました。そうなると 今度は毋牛たちもそちらに行きたがります。すると今度は 放牧地にいたユーチカが入り口まで来て《私も入れてー》。

どうにも収拾がつかなくなったので、Jに入り口を抑えていてもらい 私はイッジーばあちゃんを呼びに行きました。ばあちゃんはあまり気が乗らなかったようですが それでも無理やりパドックに入れ、牛舎まで行ってもらいました。そうすると 他の牛たちは牛舎が気になり始めて、強い方から順番に 一頭ずつ牛舎に入り始めました。下っ端だけになると 全員一斉に牛舎に駆け込み めでたくユゴリンが捕まりました。と 同時に 大きな家畜運送トラックが大きな音をさせて 坂を下りてきました。

その時は1時頃で そのままPさんちに向かうと Jはお昼ごはん抜きになってしまいます。案の定 運転手さんも食事前だったので、Jといっしょに軽く食事をしてもらうことにしました。その間 私はひとりで牛舎につながれているユゴリンを見に行きました。食事をしてもらわなかったら お別れを言うひまもなく出発してしまったところです。

ユゴリンは 生まれた時からかわいがってきた私の牛です。お母さんのスターレットに似て 生まれつき小さかったユゴリンは 私が呼ぶと走って来て 服でも何でも舐めました。そうすると お母さんが心配して 大慌てで後をついて来ました。

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ユゴリンは 離乳しても良い時期にお母さんがよそに行ってしまったので 他の子牛のように母乳を飲みたいだけ飲めませんでしたが、太る体質のようで いつもコロコロしていました。一度目のお産で アリスと名付けてあった(絶対にメスだと信じきっていた)牝牛を死なせてしまい、今年も心配だったのですが、立派に産めるのを見せてくれました。お産をして、ミルクを出すと少しは痩せるかと期待したのですが、やっぱり脂肪太りのままで うちの目標に合わず手放すことになりました。Pさんは ユゴリンのことを 完璧なアルモリケヌ(アルモリカンの女性形)と思ってくれているので うちにいてJから ちびデブ と罵られるよりずっと良いはずです。

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ユゴリンの並外れて良いところは性格です。人間好きで、誰か来ると必ず頭を掻かせます。トラックに乗る時も 素直にJの後をついて行きました。トラックの敷居の前で肘をついてしまったけど、すぐに起き上がって トラックに乗り込みました。そして あっと言う間にトラックは出発しました。

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他の牛たちが心配しないかな と思ったのですが、見事に無関心です。ユゴリンの息子カシューさえ お母さんがいなくなったのに気がついていないみたいに 無心に草を食べていました。後で泣いても知らないよ。
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