今まであまり話題にのぼらなかった お馬の親子(リュチックとポポット)が このごろ活躍中です。農耕用の馬ですから、たまには働いてもらわないと 割に合いません。首輪も 馬の首に合わせてアジャスト可能な 最新式のものを揃えてありますから。

どちらも 一頭立てだったら 朝メシ前なのですが、二頭立てとなるとまた話は別です。おかず君が落第したのも 二頭立てがダメだったから。だから、リュチックとポポットは 冬の間 二頭立てでタイヤ引きのトレーニングを受けました。一昨日も 念のために もう一度タイヤ引きから始めました。

今日は このカルチベーター(カナディアンとも呼ぶ)で 畑を耕す前に草の根を引き抜いてしまいます。歯が土の中に刺さるので これを引っぱるには大変な力が要ります。そういう時、普通は(おかずくんは)嫌がって進まなくなるのですが、リュチックとポポットの場合 よけいムキになって 無理やり弾みを付けて進もうとするので 注意が必要です。

写真だけだと おとなしく、言われたようにやっているように見えますが、相手は動物です。ちょっとでもスキがあると 自分たちがやりたいようにやろうとします。仕事がスタートしてから、私はいなかったのですが、リュチックが途中で進むのを拒否したため 一頭だけで カルチベーターを引くという罰を受けたそうです。そういう力関係って 私はイヤだと思うのですが、その後 リュチックは完璧に働いたそうですから、それも必要なんでしょうね。
昨日は そうして何時間もかけて ほんの小さな畑を作りました。トラクターだと 30分もあれば 耕すところまで終わっていたはずです。でも、効率は悪くても、あのトラクターのエンジン音を聞かなくてすんだし、軽油の消費はゼロです。
昔の人たちは トラクターが売り出されるようになると 喜んで馬と交換したそうです。言うことを聞かない馬よりも キーを回すだけで いつでもエンジンスタートしてくれるトラクターの方が ずっと楽です。ただ、それまでの習慣で トラクターに乗っていても ついうとうとする人がいて 畑のまわりに巡らした溝に落ちる事故が よくあったそうです。馬だったら、たとえ運転手が眠り込んでしまっても 溝の前で止まってくれていました。それで、事故防止のために どうしたかと言うと・・・ 溝は危ないので 埋めて、ついでにじゃまな土手も取り払ってしまったのです。近代的な大規模農業の始まりです。
昨日は まずまずのお天気だったのに 今日は とうとう雨も降って来ました。たまには 雨も降ってもらわないといけないのですが、いやに寒い(最高気温で15℃程度)今日このごろです。
どこの家庭にも にんじんが嫌いな子 っていると思います。うちには 人間の子はいませんが にんじんが嫌いな子はいます。ポポットがそうです。

前にいた ロバのフォーチュンや馬のおかずは 進まなくなったら にんじんで釣ったものです。だから、ポポットの調教のために、小さくすぎて お料理に使うのがめんどうなにんじんを取っておいたのに。しょうがないので、Jは 細かく切ったビートを使っています。
まず、始めは《お手》のレッスンです。ポポットが小さかった時は ちゃんと前脚も、後ろ脚も上げさせていたのですが、いつの間にかしなくなって、蹄の手入れが満足にできません。だから、今回は 一からやり直しです。ちゃんと《お手》をしたら、ごほうびにビートがもらえます。
次に 首輪を付けてタイヤ引きです。タイヤだと パニックになっても けがをする心配はありません。トラクターのタイヤですから かなり重いのですが この通りずんずん引いて行きます。

特に大事なのは 土手ギリギリのところまで進んで、そこからUターンして止まることです。止まったところで 後ろに引いているお道具の位置を確認します。ストップも大事ですが その前に 右に回るか、左に回るか、はっきり指示しなければなりません。その時、手綱を引くのではなくて、声だけで《右》か《左》か わからせるのがベストです。いつもぼーっとしていたおかずは 右も左もよくわからなかったのですが、ポポットはよく理解しているようです。
これで、ポポットが慣れたら いよいよ 雨のせいでほったらかしになっていた 牧草地のやり直し作業です。実は 私の期待を裏切って、今日も雨なのですが(雨など平気で調教してます。)今度晴れたら、一気に始めないと 遅くなってしまいます。
本当は 私、ポポットの背中に乗ってみたいんです。脚が長くて、うんと背の高いポポットに乗ってお散歩に行くと、よそのやせっぽちの乗馬用の馬たちは 驚いて逃げ出すと思います。早く農作業が終わって、遊びに行けるといいな。

今日、とうとうおかず君が行ってしまいました。おかず君はブルトン種の馬です。乗馬の馬ではなくて(乗らせてくれないわけではありませんが)農耕用の馬です。買われて行った先が この地方で名の知れた馬(およびポニー,ロバ,牛)の調教師、Mさんのところなので安心ですが、でもやっぱりさびしいです。ずっと前から 馬3頭は多すぎるので,リュチック(母),おかず(息子),ポポット(娘で末っ子)のうち一頭は売らないといけないとは思っていたのですが,だれを犠牲にするか なかなか決められなかったのです。
ところが、先日 決定的なことがありました。牧草地の一区画にシダ類がはびこって、草が少なくなってしまったので J(夫)はそこに犂を入れてシダの根を引き出してしまってから牧草の種を撒くつもりでした。そのために、ほとんど新品の犂(馬用です)を買ってありました。リュチックもおかずもはじめて2頭で作業をすることになるので,あらかじめ訓練をして,犂を入れる前に草の根を散らすカルチベーターという農具を引かせてみてOKとなりました。さあ,いよいよ犂を入れる時です。犂はコンテストがあるほど、技術度が高いものです。土をひっくり返して作っていく畝がまっすぐでないと,ひっくり返せていない部分ができて 雑草だらけになってしまいます。まず,最初の畝を引いて,今度戻ってくる時は 右手の馬(うちの場合おかず)が畝の底を歩くようになっています。ところが,行きは完璧だったのですが,帰りがめちゃくちゃになってしまいました。初めてだから,犂もちゃんと調整できていないし,仕方ないことです。今は日も短いし,あわてずに毎日少しずつ と3回やったところ,全く進歩なし。行きはまあまあなのに、帰りはいつもひどいことになります。それでは仕事が進まないので,いったいどうなってるのか良く見てみたら,犯人がわかりました。おかずのしわざです。要するに,行きは畝の底を歩くリュチックが 犂とおかずをどんどん引っぱっていくので どうにか形が付くのですが,帰りは畝の底のおかずがなかなか進んでいかないので,しびれを切らしたリュチックがおかずの前を歩いてしまって、右にそれるのです。そうです。おかずはできるだけ楽をしたいなまけ者だったのです。お母さんは体が大きくて,働き者なので,ついついおかあさんをあてにするくせが付いてしまったようです。こういうくせは なかなか直りません。ということで,おかずの運命が決まりました。
今,こうして思い出してみると,おかずが生まれた時(2002年3月)はほんとに大変でした。

私は当時ちゃんとした職があって,週末しか家に帰らなかったので,これはみんな聞いた話です。
夜中にリュチックのお産が始まったのに,なかなか生まれなくて,Jは獣医さんを呼びました。子馬を引っぱるのに数人集めよ という獣医さんの指示で 隣の(とは言っても車で行く距離です)F君を起こして来てもらいました。おかげで,子馬は呼吸できなくなる寸前でやっと生まれました。みんながやれやれと帰った後,Jが見ていても子馬はおっぱいを吸おうとしなかったのです。朝まで待って,友達のPYさんに聞いたら,すぐ見に来てくれました。PYさんはロバを飼っていて、毎年子ロバ(?)が生まれるので,こういうことはよく知っています。やっぱり,おかしいと言うことで,今度は 知り合いでブルトン馬を飼っている人やまたその知り合いで《おっぱいが飲めない子馬におっぱい飲ませる名人》という人を連れて来てくれました。やり方は 無理やり飲ましたら,子馬を寝かして休ませ,また無理やり飲ませる ということの繰り返しだったと記憶しています。そうして、夜になって ようやく子馬が少しずつ飲むようになった時,ふと気がつくと,お母さんの後産が出ていない。これは大変 とまた獣医さんを呼ぶことになりました。(また,時間外です。)幸い,お母さんのリュチックは おとなしくて少しもいやがらなかったので、時間はかかりましたが、無事にすみました。(獣医さんの支払いだけは大変でした。)こうやって、たくさんの人のおかげで大きくなれたおかずです。多少なまけ者だけど、しっかり調教してくれる人のところに行けて良かったと思います。
おっぱいを飲まなかったおかずの話の続きがあります。これは私が見たことです。金曜日の夜,私を駅まで迎えに来てくれたJが『家に着いたら また,子馬におっぱいを飲ませないといけないから手伝ってね。』とまじめな顔で言いました。私は 電話で話を聞いてたし,大変なんだなぁ と思いました。家に着いた時 私はまっすぐ馬のいる牛舎をのぞきに行きました。子馬の顔が見たかったので。そしたら,子馬は何をしていたと思います? はい,おっぱい吸ってました。もちろんひとりで。Jがそこに来たので言いました。『何か問題?』Jはもちろん呆気にとられてました。電話で話したことウソじゃないよ って。ただ,ひとつだけ気が付いたことがあります。子馬はおっぱいを吸う時 首を横に曲げます。Jは子牛の時のように 頭を下げて首を上に伸ばして吸わせていたそうです。かわいそうなおかず君。子牛といっしょにされて。だから,うまく飲めなかったんだよね。
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