ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

教育訓練牛舎

不安定なお天気も数日だけで、今日も 昨日に続き 青空が広がる穏やかなお天気になりました。

牛舎での子牛(+かな)の眼の治療も今日で6日目で、だいたいみんな 自分の場所を覚えました。《みんな》と言うのは 大きいのがみんな牛舎に入ってしまわないと 治療をしないといけない子牛たちが来ないからです。

カランバーとだごべえは それぞれ10ヵ月半と8ヵ月なのにほとんど同じ大きさで 場所が足らないので 馬のボックスに入れています。もう慣れたもので 2頭そろって牛舎を横切り ボックスに行く柵が開くのをその前でちゃんと待っています。

反対に 一番わかっていないのはみよで、必ずマルキーズの横に行ってしまいます。まだ子牛の時にいた場所です。そこからテコでも動かないので、毎回Jがロープで正規の場所まで連れて行きます。

小さい子たちは まだ決まった場所はないけれど 治療のためにつながないといけないので それが教育になっています。

Carte 081009

つながれる時 他の子たちより強く抵抗するデラックス。かわいそうに思っていると 餌箱に突進して 乾草を食べ始めるので笑ってしまいます。

土曜日の夜 みんなを牛舎に入れた時、すもうのことが心配でした。何しろ、うちで去勢していない雄牛を飼うのは 初めてのことです。すもうも もう10ヵ月で 一目で雄牛なのがわかる体格をしています。背は カランバーより低いけれど 体重はずっと重そうです。そんなのが つながれるのを嫌がって暴れたらどうしよう とびくびくしていました。

ところが、怖そうな顔に似ず、すもうはおっとりしたおとなしい子で、『席に行きや。』とやさしく言うと ちゃんと行ってくれます。昨日の夜は お母さんのユーチカと居残りのお泊まりだったのですが チェーンを外してやるとお母さんの横に来て そこで寝ていました。

でも、なぜすもうがお泊まりになったのでしょうか? 

昨日、牛たちを牛舎に入れていた時 すもうは かなのおしりに貼り付いて来ました。かなのことはずっと前から疑っていたのですが やっぱりタネが付かなかったのです。それで そのまま放っておくと良くないことが起こりそうなので 今回のかなの発情が治まるまで離しておいた というわけです。

はじめは 冬でもないのに牛たちを毎日つなぐのはめんどうだ と思ったのですが こうして結構楽しくやっています。放牧地でみんなが草を食べてるのを眺めるのも良いけれど やっぱり近くで見たり、触ったりすると牛を飼っている実感がわきます。

子牛の眼騒動

先週の週末は お肉の販売で大忙しでした。土曜日は 友達のAも大口注文を取りに来てくれ 家の工事もお休みで 久しぶりにのんびりできました。

夕方、Aと牛たちを見に南の放牧地に下りて行ったはずのJが ものすごい勢いで 小屋に駆け込んで来ました。

『大変や。早よ、獣医さんを呼ぶんや。』《獣医さん》 と言うことは けが人は AでもJでもないと一応安心したのですが Jの様子を見ると ただごとではなさそうです。

Jがあわてていたので いったいだれがどうなっているのか はっきりしなかったのですが 大まかに言うと 子牛のほとんど全員の眼がつぶれている というようなことでした。

昨日も柵を開けに行ってみんなの顔を見たのに、なんで気が付けへんかったんや、牛飼い失格や とかJは自分を責めるのですが、私もその前日 暗くなる直前に牛たちを見に行っています。かなが数日前から眼をしょぼしょぼさせていたので注意していたのですが 子牛たちの眼までいちいち見ていませんでした。

6時過ぎに獣医さんが到着し、私もいっしょに牛たちを見に行きました。来てくださったのは一番若い先生だったのですが 一目見て、今流行っている角膜炎 と診断されました。隣のLさんが言っていた眼の病気です。隣では 種雄牛が失明したとかで 私も気になっていました。

先生によると角膜炎にかかっているのは3頭で 症状がかなり進んでいるだいご以外は 薬で治るだろう と言うことでした。お薬をもらったので 暗くならないうちに牛たちを牛舎に入れて すぐに治療です。

Carte 081008

牛たちが牛舎から遠いところにいたので 通路に柵をして 牛舎横のパドックまで連れて行くだけで もう暗くなってしまいました。久しぶりに牛たちを牛舎に入れると どっちを向いても大きな牛だらけで 暗かったせいか 押しつぶされそうな気がしてちょっと怖かったです。

牛舎にみんなが一斉に入って来て押し合いにならないよう ほとんど一頭ずつ呼びに行ったので 子牛以外の全員をつないだ時はもう9時過ぎでした。そこで やっと正確な状況がわかりました。一番危ないだいごの片目以外は デラックス、だなえ、かながそれぞれ両眼(普通は片目だけとか・・・)、すもうが軽症だけど両眼 と思っていたより多い患者です。

あるったけの薬をそれぞれの眼に塗り、診療所まで予防のための別の薬を取りに行ったり、放牧地に水桶を置いて水を入れたり と牛たちが牛舎を出て 放牧地に寝に帰ったのは夜中の12時半でした。やれやれ、これも大事な監視を怠ったせい と深く反省しています。

治療も今日はもう5日目で すもうは治ったし、デラックス、だなえ、かなの片目はもう大丈夫 と効果がはっきり出ています。眼が痛そうにしている だふねをのぞいた(すごい丈夫!)一番小さい3頭が特にかわいそうだったけれど、だいご以外は大事に至らずほっとしています。

くじらの脂

今日は 箱に詰まったアルフォンスが お客様にお知らせしていたより一日早く 業者さんから戻ってきました。

先週、業者さんと箱の内容を打ち合わせた時は 22箱で見積もっていたのですが、Jは 売れ残るのを心配して20箱しか作らないよう頼みました。ところが 今日受け取った20箱の詰め合わせは 一箱10キロ未満です。枝肉で452,8キロあったのが いったいどこに行ったのか 私は首をかしげてしまいました。(業者さんの手間賃は枝肉の重量がベースなので 特に気になる。)

Jが箱を冷蔵庫に納めている間 私は 業者さんからのデータを 表にインプットして行きました。ステーキやローストにする柔らかい部分の重量を見ると 今回のアルフォンスは 枝肉の重量が384キロしかなかった前回のアルセーヌとほとんど同じ位しかありません。

ははー、ネックだとかスネだとか煮込み料理にするところが多いのか と思って 続けてデータのインプットを続けて行くと そうでもありませんでした。

そうすると 答えは一つだけです。今回、考えがあって 余分なバラ肉を別売りのソーセージにしたり、煮込み用に形を整えないで 骨を抜いたままの状態でもらいました。アルフォンスは ちょうどそのバラ肉分 体重が重かったのです。

脂身を落として加工すると だいたい25キロ位に減るものが 今回は 45キロのバラ肉の山。だいたい1キロ前後の真空パックになっていて、手に取って良く見ると 半分以上は脂身です。確かに こういうのを見ると『食べるとこがない。』と嘆きたくなるでしょうね。肉用牛の場合は この部分もほとんど赤身ですから。

でも、昔はこの牛脂も 大切な資源でした。アルマンゾ(大草原の小さな家です。)のお母さんが これでろうそくを作っていました。その他 皮の手入れもにも使ったし、石けんにもなります。今でも 北フランスやベルギーでは フライドポテト用の牛脂をスーパーで売っているのを見かけました。

そういう風に見てみると この大量のバラ肉も 私の感覚で言うと くじらのようにありがたいもの(歳がわかる?)のように思えます。

さて、(大急ぎで話題を変える)今日のお昼にさっそく品質検査をしました。いつものように ステーキの中で一番かたいソトモモの部分です。同じパックに この2種類が入っていました。いつも検査に使うのは前の丸い方です。

081002 1

これをフライパンでこんがり焼いて(うちは焼き過ぎの方)、写真を撮る間もなく食べてみると・・・ お肉に張りがあって かたそうに見えるわりには 今までになく柔らく、おいしかったです。(ぺんぎんさん、安心してください。)脂身だらけで 私たちは儲からないけど みんな おいしいお肉になってくれて ありがとう。

今日は またまた不安定なお天気でした。晴れた と思ったら突然どしゃ降りになったりで Jは家のブロック積み作業をあきらめました。それでも、なぜかJが外に出る度に、しかも出ている間だけ雨になって、私はつい『わざとしてるんちゃう。』と言ってしまいました。ちなみに 私はJの反対で 家に入ると雨が降ります。

ラクダのコブ

ラクダのコブは お水ではなくて脂肪が入っていて 食べるものがなくても そのコブの脂肪をエネルギーに ラクダは生き延びることができます。で、アルモリカン牛もそうなんです。

とは言っても、コブは背中にはありません。胸から垂れ下がった 胸垂と言うものだそうですが その先端に脂肪が溜って ボールのようになります。アルモリカン牛は 食べ物がふんだんにある時に食いだめができる種類 と言うので有名です。そのもしもの時の脂肪の蓄えが このボールなのです。

でも、なぜ突然こんな話をするか と言うと、アルフォンスが出発した日、脂肪太りではないと思っていたアルフォンスが 意外にも 大きなボールをぶら下げていたのを見たからです。それだけではなく まだ28ヵ月のブルータス(左)のも アルフォンス(右)に負けない位大きくなっていました。

080928 1

それから そのことはすっかり忘れていたのですが 先週、アルフォンスがお世話になっている(冷蔵庫の中で)業者さんから 枝肉の等級を聞いたとき ふと上の光景を思い出したのです。

枝肉の重量:452,8キロ、等級:Rの5。ガーン!です。肉付きの《R》というのは真ん中で(上からE-U-R-O-Pの順)アルモリカンとしたら立派な方ですが、脂肪の《5》はこれより上がない5です。これだけ脂肪が付いていると 枝肉対精肉の歩留りが悪く、業者さんの推定では たったの55%です。

子牛の時はやせっぽちだったアルフォンス。でも、今まで去勢は みんな36ヵ月を過ぎると それなりに良い体格になったので あまり心配はしていませんでした。それが《5》まで脂肪が付くなんて・・・

アルフォンスもブルータスも あのイッジーばあちゃんの子です。見てください、イッジーばあちゃんの胸のポール。

080928 2

元気だった時には 首が痛くならないのかな と思うほど重そうでした。

これは イッジーばあちゃんのひ孫にあたるユゴリンです。

080928 3

このボールは ふつう歳を取ると大きくなるのですが ユゴリンの場合は 若いうちからもうすでに巨大化していました。あんなにかわいかったユゴリンを手放したのも この体質のせいです。

脂肪を蓄えておいて 食べ物がなくなっても生き延びて行けるアルモリカン牛ですが、脂肪過多のせいで繁殖障害も珍しくありません。どうしてもタネが付かないから 頭に来てお肉にしたけれど 脂身だらけで食べるところがなかった と踏んだり蹴ったりの話を良く聞きます。

だから 食べ物をやり過ぎたらあかんのよー と言うのですが 土地が肥えているところは 草だけでぶくぶく太るので どうしようもありません。だったら、ラクダの代わりに砂漠で飼ったら なんてアホなことを考える私です。

秋晴れの日曜日

朝方の濃い霧も 朝ごはんを食べているうちに晴れ、一日中青空の日曜日になりました。朝晩はぐんと冷え込み ストーブを点けていますが、日中は なんで今さらこんなに暑くなるの と思うほどです。

家の方は Jが一週間一日の休みもなく作業して やっと一段目の半分まで来ました。慣れると速くできるようになるかと思っていたら ブロックの寸法がまちまちだったり、ぼこぼこだったりで かなり苦労しています。でも、一周してしまえば 後はその上にブロックを乗っけて行くだけなので 楽になるはずです。

私は Jの手を借りれないので 一人で野菜の収穫を続けています。エシャロットとタマネギは もう全部掘り出し、乾かしてしまいました。この数日間 ジャガイモを全部取り入れようとしているのですが ものすごい量で まだまだ終わりません。

今年は タマネギもジャガイモもニンジンも巨大です。ジャガイモやニンジンは毎年良くできるのですが タマネギが こんなにまともに大きくなったのは初めてです。今年はイヤになるほど雨が降って、タマネギは水分が必要なのがわかりました。

秋になると またこんな心配が・・・

C 080928

そう言えば お馬さんたちも土手の前にいたので やっぱりどんぐりを食べていたのでは と疑っています。でも、今年は去年ほど多くなく、去年あれだけ食べて病気にならなかったから大丈夫だろう と楽観しています。

この時間になると りんりん、カネル、ふわが 晩ごはんの催促に来ます。《秋》と言うと、《食欲の秋》しかない子たちです。