ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

ひとりぼっちじゃないよ

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きのう、ごはんをたべてるあいだに、おともだちのるーちゃんがいなくなりました。
それからずっと、るーちゃんのことばかりかんがえていました。
でも、きょう、おんまさんのおかずくんとおともだちになりました。

ももたろう

(いそがしいmasayoおばさんのかわりに、きょうは、ぼくがかきました。)

イジドール=377キロ、マリオ=77センチ

イジドールが出発したのは、今週の月曜日。
その日の夜中、火曜日になってから生まれたのが、マリオ。
ジュリーの子です。

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ちょうどその日は《低温注意報》などというものが出ていて、ああ、夜中に外で生まれる子牛に注意、ってことか、と解釈して、ジュリーは牛舎にお泊まりでした。

子牛の名前はいつもすごく悩むけど、だいたい年末に近づくとテキトーになってしまいます。
で、(スーパー)マリオ。めずらしく白が多くて、おでこにハートのかわいい男の子。胸囲77センチで、ごく普通の大きさです。

マリオのママ、ジュリーは、あまりにも太っていて、お腹が大きくなっているのかどうかわからず、おっぱいも発達せず、一ヵ月前までは『この子、ほんとに産むの?』と疑ったけれど、この数週間で納得の姿になりました。(そして、出産後はまるで乳牛。)

さて、枝肉になったイジドール。小さい時から発育が良くてコロコロしてたのに、40ヵ月で377,5キロと、小さめです。(運搬トレーラーにもすんなり入ったもんね。)今回も、脂身の付き具合3(中間)で、歩留り57%の予想ですが、きっと開けてみたら『脂身だらけでお肉が足りない』と業者さんから電話がかかって来るでしょう。

一頭いなくなって、一頭生まれて、時の流れを感じます。

ええっ、だんぼくん!?



ボラン農場のメンバーがジョンさんち牧場に移動したその次の日、みんなの様子を見に行ったJおじさんから、電話がありました。
J :『ふみが発情してん。』
私:『そう言われても、人工授精は無理やで。』
J :『それが、小さいのが乗ってんねん。本気で。』
私:『???』

Jは、その体型(小ささ)から見て、ランかリュリュのどちらか、と思っていたようですが、耳標番号を読んでもらうと
・・・、

だんぼです。(写真を撮ってるとポーズしに来る子。)

確かに、まだ2歳になっていない二年生並みの大きさしかありません。でもそう言えば、Jが、だんぼだけいやに頭でっかち、って言ってたっけ。

もちろん、去勢牛でも発情した牛に乗っかることはあります。でも、Jによるとそんなんじゃなくて、他の牛は追い払い、真剣にやってた、と。

去勢の失敗はジョジョとジャコの例があるけれど、目的は達していました。よくあるように、半分だけ(2個あるうちに1個)しか処理されていなかったか、今さら最悪の事態です。

ふみは良いとしても、まだ1歳になっていない女の子たちは(ルーシーとみよちゃん)いつ発情してもおかしくない年頃です。もしものことがあったら、と考えただけで恐ろしくなります。

ということで、できるだけ早く獣医さんに来てもらって、去勢のやり直しです。

でも、そのために、だんぼを捕まえて、ボラン農場に連れて行かないといけません。しかし、

種雄牛って凶暴です。
種雄牛ほど恐ろしい動物はありません。

いろいろと作戦を練ってみたけれど、気が重くなるばかり。最悪の場合、その場で麻酔銃で眠らせて・・・とかも考えました。

いよいよその日。

いつものように、まずマルキーズに先頭に立ってもらって、はるばる出荷柵前まで全員を連れて来ました。
そして、去勢の群れの中で一番大きいイジドールと、一番偉そうにしているだんぼが、出荷柵に入りました。

捕まえてみると、だんぼは今まで通りおとなしいもので、難なくボラン農場まで連れ帰れました。

獣医さんによると、両方とも萎縮していたけれど、男性ホルモンの分泌はできてたそうです。今回、切り取ってしまったから大丈夫。1年もすれば男性ホルモンの影響も完全に消えるから、去勢と変わらないお肉になるだろう、と聞いて一安心。

ふみも無事だった可能性が高く、種雄牛出現大事件も一件落着です。

そして三頭だけに

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ずいぶんご無沙汰してしまったのは、翻訳の仕事で手がいっぱいだったせいです。(すみません。)それももうすぐ終わり、というところで、その倍以上の仕事が飛んで来て、もう年内分の受付は終了、という事態に。他の翻訳のお客様は全てお断りしているので、今日は手短かに。

さて、あんなにたくさん(と言っても16頭)いた牛たちが、

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3頭だけになったボラン農場。

いえ、売ってしまったのではなくて、他の13頭は、マルキーズも含めて、ジョンさんち牧場に移動したからです。

毎年、夏が終わるころにはボラン農場の草がなくなるので、あちらに移動するのですが、今年はあちらにも草がなく、今ごろになってようやく出発しました。

ボラン農場居残りのメンバーは、もうすぐお産のジュリーともうすぐお嫁に行くルー、それに、単にルーと仲良しだから、という理由で残したももたん。私のお気に入りです。

この一ヵ月ちょっとの間、Jおじさんも家に工事で忙しかったのですが、一番大きなニュースは、馬のおかず二世の去勢。立派な体格になって、しかもハエがいなくなるのを待って、いよいよです。

去勢手術(?)自体は、大出血もなく無事に終わったのですが・・・、

数日後、そのあとが化膿して大変なことに。幸い、本人はべつに苦しんでいる様子はなかったものの、それから一週間、ほとんど毎日獣医さんに来てもらいました。

それでわかったこと。

おかずは獣医さんが怖くて、大嫌い、

それも、痛いことをされたからではなくて、最初、去勢に来てもらった時から何かを感じたようで、私はその場にいなかったけれど、獣医さんの顔を見るなり大暴れしたそうです。

獣医さんが毎日来るようになってからは、車を見るだけで暴れ出したとか。
怖がりなのか、頭が良いのか・・・。あんなに大きなのに暴れられると、止めるのも大変です。


さて、牛たちがジョンさんち牧場にいる去勢くんたち6頭に合流した直後、とんでもない事件が。
この話は来週ご報告しますが、おかずだけではなく、私たちも獣医さん不信になってしまいそうです。

ママがいなくなった



と昨日から大泣きしているルー。
そう、ママのジゼルが、よその牧場に行ってしまったんです。

もともと定員13頭のボラン農場に18頭もいると、草の伸びが牛たちの食欲に追いつきません。夏以来まとまった雨が降らず、草が全く伸びないので、もうすでに冬用の乾草を牛たちやお馬さんたちに食べさせる、という予想外の事態です。

そのために、いつもは『よそには絶対売らない。』と言っていたJおじさんも、とうとう牛を手放す決心をしました。おかずの相方にする子馬(ごはん)を買う資金が必要、というのもあるけど。

そこにタイミング良く、『もう何年もアルモリカン牛を探しているけど、見つからない。』という方から電話があり、あっという間に話が決まりました。

こういう時、一番気にいらない牛を売るのがふつうでしょう。
私は《ジゼル》、Jおじさんは《イティー》、の2頭で決まりです。

あのデブ牛《ジュリー》も候補に上がったけれど、Jおじさんはキライな牛じゃないし、お産を11月末に控え、もう移動やら環境の変化は避けた方が良いので、まだしばらくはボラン農場に置いておくことにしました。

さて、お迎えの時間にはおとなしく牛舎につながれた出発組のママたち。ルーは、ママにしっかり付いて来たけれど、ももたんは、全く関心なしで、他のメンバーと放牧地でくつろいでました。

トレーラーを牛舎の出口に着けると、すぐに興味を示したママたち。イティーも、ジゼルも、ルーがいっしょに来ないのも全く気にせず、もう本当にうれしそうに乗り込むんです。『そんな、行き先も訊かないで、乗っていいの?!』と私は思うのですが。

後で見たら、あんなに山盛りだった餌箱が空っぽ! ママたちが喜んで牛舎に入ってくれるよう、それぞれのつなぎ場所に乾草を詰め込んだけど、まさか・・・。こんな大食い牛が2頭いなくなると、私たちは大助かりです。

ママたちが出発するのを見ていたルーは、わかったのか、わからなかったのか、しばらくおとなしくしていました。でも、夕方になって暗くなり始めると、ママがいないのに気づいたみたいで、大声で泣き始めました。

それが一晩中続き、朝になるといっそう泣く頻度が増え、だんだん、ドスのきいた声に。

ママのお見送りにも来なかったももたんも、やっぱり泣いてるけれど、泣き方はルーに比べるとずっと地味。でも、涙をポロポロ流して、かわいそう。

ルーはもうすぐ10ヵ月、ももたんは8ヵ月を過ぎて、ふたりとももう大きいんだから、って言っても、なぐさめにはなりません。悲しいんだから、思いっきり泣いてね。

本人(本牛)はまだ知らないけど、ルーは、来月になったら友人Aのところにお嫁に行く予定です。人生(牛生)には、いろんなことがあるものです。

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