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ボラン農場の牛たち

アルモリカの小さな村からアルモリカンArmoricaine牛たちのお話をお届けします。

ピコリンちゃん、もう下痢

Nouria + Pico 1907

気温は20℃台で風もある、乾草日和が続くボラン農場です。(今日はなんか夕立になりそうな気配だけど。)

先日生まれた子牛ちゃん。Jおじさんの提案で“ピコリン”と命名。とってもかわいい名前、ということで。

そのピコリンちゃん、生後3日ですでに下痢。こんなに早く下痢した子は今までにいなかったので、私はパニック寸前。獣医さんに行ってお薬をもらって来るべきか、毎日迷ってます。

幸い、おっぱいもそこそこ飲むし、外に出すと飛び跳ねるし、ホメオパシーだけで大丈夫かな、と楽観してるそばで、液体のうんち。ぜんぜん良くなってません。

そんなこんなで、子牛は命令通りしっかりおっぱいを飲んでくれず、ヌリアママは苛立ち気味。

昨日なんて、あんまり飲みたがらないヌリアに水の入ったバケツをしつこく勧めたら、角でバケツをぶっ飛ばされました。ものすごいけんまくで。あのおっとりヌリアちゃんが・・・。

その前に、おっぱいの状態を確認しようと、いじくりまわしてたら、お尻を角で押されました。はじめはまんざらでもない様子でおとなしくしてたのに。硬いところがあったので触られると痛かったのかも。それで気が立ってた?

ママになったら、今までのようにボーッとしてられないもんね。自己主張のできる大人になった、ってことかな。

母は強し。私はぶっ飛ばされないように気をつけます。

ヌリアちゃん、ママに

Nouria + P 190701

数日前はあんなに暑かったのに、あっという間にごくふつうの気温に戻ったボラン農場です。今日の最高気温は19℃。Jおじさん、今朝はヒー◯◯ックなしでは寒かった、とか。

さて、昨日、あのおっとりヌリアちゃんが、めでたく女の子を産みました。

このところおっぱいがぐんと大きくなって、予定日より早く生まれそうかな、その方が子牛が大きくなり過ぎなくて良いけどな、とか思っていたところでした。

ヌリアちゃんが朝からしんどそうにしていたので、お昼前にもう一度見に行こう、と外に出たとたん、牛の叫び声が。

あわてて牛たちのいる“大畑”に駆け下りると、みんな放牧地入り口の水桶の周りに集まっていて、そこからちょっと離れたところにヌリアちゃんが。おしりから子牛の前足の爪が見えていて、立ったままいきんでます。

それから座って、もっといきむと子牛の舌が見えて、もっともっといきむと鼻が見えて、順調に進んでいるように見えたけど、ヌリアちゃんはその度に叫び声を上げます。初産なんで、ほんとに辛そう。

それに、子牛の舌が紫色で、足を触ったら冷たかったので、去年のルーシーを思い出し、すぐに納屋までロープを取りに走りました。Jおじさんは乾草獲りに行って留守。メッセージだけ送って、私だけでどうにかするつもりで、放牧地に駆け戻ると、

地面にベタベタに濡れた子牛が落ちてました。

母親は何をしてたのか、子牛からちょっと離れたところにいたので、ロープといっしょに持ってきたタオルで子牛を拭いていると、ヌリアはすぐに子牛のところに来て、一生懸命なめ始めました。

私は、物珍しそうに子牛を見にやって来るやじ牛を押し戻すだけ。

他の牛たちが、見物に飽きてよそに行き始めたので、とりあえず母子はそっとしておくことにしました。

夕方、ヌリアと子牛を牛舎に収容するため、Jおじさんとお迎えに。子牛は、生まれた直後はなかなか立てなくて、フラフラしていたし、寝てることが多かったので、遥か遠い牛舎まで歩けないかも、とJおじさんは抱いて連れて行くつもりでした。なにしろ、予定より10日も早く生まれた小さな子ですから。

あいかわらず放牧地に入り口近くに子牛と寝そべっていたヌリアちゃん。お迎えに来たのをすぐに理解してくれて、ためらわず歩き始めました。

すると、寝ていた子牛ちゃんも、立ち上がってママの後をせっせと追い始めました。

そうして、牛舎までの長い長い道程をママといっしょに走破した子牛ちゃん。小さいけれど元気な子です。

結局、牛舎まで歩けなかったのはペピートだけ。それも、あの時はもう少し近かったよね。

そのペピートくん、生まれたばかりの子牛ちゃんのそばを一時も離れようとしませんでした。ペピートくんのママも、他の牛たちも遠くに行ってしまったのに。

新しく子牛が生まれると必ず、それまで一番年下だった子が、仲良しになりに来ます。体の大きさには関係なく、一番歳の近い子です。子牛がどうやってそれを認識するんでしょうね。

まだ名前のない子牛ちゃんは、これから一週間ほどママと牛舎にご滞在です。

ベピートくん、子牛ちゃんがみんなに合流しに来る日を楽しみに待っててね。

暑さ=発情 ?

Grand champ 190628

昨日はとうとう30℃を超えたボラン農場です。曇り空でカラッとせず、風もなくて、暑苦しいので、午後はオスカルと家に閉じこもってました。

今日もまだ暑いけれど、昨日ほどでもなく、明日からは平常の気温に戻るそうです。

Jおじさんは、乾草作りの真っただ中。トラクターのフロントグラスを開けて走る(エアコンなんて付いてない)ので、暑くても平気だそうです。

さて、今日のタイトル。どちらもフランス語では同じ言葉 “Chaleur“ で、暑いと発情しやすいんでしょうか。みみちゃんの発情の話はしましたが、このところ、みんな一斉に・・・。

まず、夏至の日にルーシーさん。ペップスちゃんを産んだ後、ちょっと遅くなったけど、ようやく発情。発見したのが人工授精午後の部締め切りのすぐ後で、翌日になってしまったけど、どうかな。

ルーシーの人工授精をした日は、オーリーちゃんが発情。これで2回目。サイクルも正常で、15カ月を過ぎるのを待つばかり。

その数日後、リリーさんをはじめ、クロシェットちゃん、いちま姐さんが次々に発情。リリーは、もう目付きだけでわかったけど、大げさに興奮するのがいる時は、他に発情したのがいてもわかりにくいです。リリーとクロシェットは、まだ早すぎるけど、いちまは今回種付け可能。でも、やり損ねました。

次はみみちゃんで、昨日はみよこさん。

10時ごろセンターに電話して、お昼ごろみよこを牛舎に入れておく予定だったのが、授精師さんから、30分後に来る、と連絡が。

Jおじさんは、刈った草をかき混ぜに行こうとしていたところでした。大急ぎで牛舎の用意をして、牛たちがいる“大畑“に駆けつけると、みよこさん、放牧地の入り口すぐ前で、お友達のヌテラとイチャイチャ。即、みよこだけ外に出し、息子のポパイは置きざりにして、牛舎まで走らせました。

その間、5分程度。牛を一頭だけ放牧地から牛舎に入れるまでの速さ、新記録です。

授精師さんが、例外的にすぐに来てくれたおかげで、午後の暑い時間に、みよこを牛舎に閉じ込めておく必要はありませんでした。タイミングも良かったし、何よりも、Jおじさんから『ええ牛になったやん。』とお褒めの言葉をもらったのは、みよこにとってラッキーでした。

これで、この冬はもうボラン農場にいない牛リストの 1番と2番が確定しました。

霧のち夏

Grand champ 201906

よそでは、今まで6月にこんなに暑くなったことがない、というのに、雨が降ったり、霧が出たりで、涼しい顔をしていたボラン農場です。

天気予報によると、これからしばらくは晴れまたは曇り。昨日の最高気温はまだ22℃だったけど、今日はいよいよ30℃。(30℃に達したかどうかは不明。)

そんなわけで、待ちに待った草の収穫開始です。もう昨日からご近所中トラクター総出で、朝から晩まで刈取機の音が聞こえます。

Jおじさんも、遅ればせながら、今日の午後(やっと)草刈りを開始すべくジョンさんち牧場に向かいました。

まあ、うちは牛(や馬)の頭数が少ないし、120センチのロールが90個も獲れれば充分。天気予報にあれだけお日さまが並んでるんだから、あわてる必要なし。

さて、暑くなったと同時に発情して、今朝から大声で叫び出したみみ(本名おうみ)ちゃん。土手の向こうにお隣のリムーザンがいるので、その前をうろうろしては呼びかけてました。(お隣の牛は去勢と未経産なんだけど・・・。)

これで一年生の女の子3頭とも発情を確認することができました。実際に種付けしてみないと、本当に繁殖能力があるかどうかわからないけど、まあ、第一段階はクリア。今からサイクルをチェックしておいて、15カ月を過ぎたらトライです。

午前中あんなに騒いでたみみちゃんも、午後になると急におとなしく。暑さのせいでしょうか。

今、ボラン農場の牛たちがいるのは、2ヘクタールちょっとの“大畑“。ちょっと広すぎて使いにくいけれど(1ヘクタール前後がベスト)、周囲の土手に木が植わってるので、一日中どこかが日陰。牛たちは木陰に寝そべってゆっくり反芻。まだ赤ちゃんの子牛たちもそれをやるので、笑ってしまいます。

牛は、もともとは、森の動物。牛の放牧は必ず木のあるところで。道路ぎわで広告の看板の陰に集まる牛なんて、あまりにもかわいそう。(実話です。)

格付けと味の関係 : マルセルくん出発

Marcel 190617

話は前後しますが、リラさん出発の前日にマルセルくんを出荷しました。

立派な角のマルセルくん。本当はもっとハンサムで、見た目がとってもきれいな牛・・・でした。前日にジョンさんち牧場から連れて来て、翌朝トレーラーに乗って出発するまで(そのあとも)ずっとおとなしかった、本当に良い牛でした。

年齢順で行けば、マリオくんの番だったけれど、マルセルくんの方がずっと大きかったので、先に行ってもらいました。まだ30ヶ月に数日足りない若さですが、同級生の去勢があと5頭もいるので、待ってられません。

まあ、夏はバーベキューだとか焼いて食べるのがメインだから、味わいよりも柔らかさ優先でいいか、ということで。

さて、枝肉の結果と言うと、

364,4キロ、R 3。

驚きの結果です。

30ヶ月に満たないので多分軽いだろう、と思っていたら、私たちが狙う360キロ、ありました。このところ、なぜか36ヶ月を待たなくても、大きくなるのが早くなっています。草しか食べさせてないのに。

本当に、ボラン農場の牛たちは、牧場に自然に生える草とそれを刈って乾草にしたものしか食べていません。赤ちゃんの時からそうです。(母乳以外は。)少しぐらい穀物を与えてるでしょう、と思われるかも知れませんが、全くなしです。やっても食べません。食べたことがないので、おいしそうとも思いません。もちろん(お肉をまずくする)サイレージも知りません。

本当に、野原の草だけで大きくなるんです。

それも、Rの3。

某カリスマお肉屋さんが理想とする枝肉です。

この(良い方から順に)E - U - R - O - P のクラス分けは、おしりの肉付きを基準としています。おしりが異常に発達したベルジアンブルーを思い浮かべてください。あれが“E“です。ブロンダキテーヌやリムーザン(なんでムが伸びるんでしょうか)で、でっかいおしり!と言うと“U“でしょう。反対に、乳牛のおしりだと、せいぜい“O“。

だから、乳肉両用種のアルモリカンで“R“は優秀です。ちなみに、ダブルマッスル(ブタ尻)め牛のガラ(もちろん未経産)でさえ“R+“でした。

1 ~ 5の数字の方は、脂身の割合です。脂身が多いほど数字が大きくなります。“3“は、フランス人の感覚で、少な過ぎず、多過ぎず、というところでしょうか。

アルモリカンで“3“は、脂身が少ない方で、“5“まで行くことも稀ではありません。“5“は業界では嫌われます。捨てるとこばかりで歩留まりが非常に悪いため。

でも、お肉のおいしさと格付けは比例しません。

前回のももたろうくんも、その前のまさおくんも、O 3。どちらも納得のおいしさでした。特に、ももたろうくんのとろける脂身が甘くておいしくて、いったいどうなってるん?と思ったほど。

そのもう一つ前のだんぼくんは、R 4だったけれど、ごくふつうにおいしかっただけで、特に記憶に残りませんでした。

要するに、EUROP格付けは、枝肉取り引きの値段を決める基準でしかありません。業界は、枝肉を製品にする段階で、できるだけ多くの利益を効率良く得るために、高く売れる部位が大量に取れ、余分な脂身のない枝肉を好みます。もちろん、硬いお肉なんて論外ですから(でも、スーパーのお肉は硬いことが多いよね)、味よりも柔らかさ(=若い牛)優先なんでしょうね。

業界から見ると、非常識なことばかりのボラン農場。今後も、肉専用種ではないアルモリカンが、環境にやさしく、かつフランスで一番おいしいお肉である、と信じる非常識なスモールファーマーでありたいと思います。

ちなみに、マルセルくんは、本日完売(予約完了)しました。ボラン農場をご支援くださるみなさまに感謝します。